1202.若葉入りポーション試作(11)
「おや。
ゼラチンは回復薬の薬効部分と相性が悪いのかな?」
ゼラチンを入れてゆっくり水分を抽出しながらグミっぽい形に固めた物体を鑑定したところ、回復効果が2%に下がっていた上、体力回復効果もなくなっていた。
素材を足すことで効果が打ち消されたというのは初めて見た気がする。
「鑑定」
一応の為、ゼラチンを詳細鑑定してみる。
『ゼラチン:CRF156(通称突進豚)の皮と骨、腱から抽出したコラーゲンに熱を加えて乾燥させた物。水を加えて熱するとゲル化する』
特にゼラチンに毒があるとか回復機能を阻害するというような情報は出てこない。
何らかの理由で、回復成分と結合して人間への回復効果を失わせてしまうのだろうか?
ゼリーなんて介護食としてそれなりに出てきそうだが、下手をしたら薬の効果を打ち消す可能性があるというのはちょっと驚きである。
しかも、鑑定してもどこにもそんなことは記されていない。
胃の中で混ざる程度ならば関係ないと期待しておこう。
……この継続的回復薬を神殿の製薬部に持っていく際に、ゼリーを使って薬を飲ませたりするのか聞いてみて、その際にゼリーに混ぜたり包ませて飲ませた薬の効果がどうなるのか、ちょっと鑑定してみてもいいかも知れない。
「ふむ。
取り敢えず、グミは諦めて飴の作り方をちょっと工夫出来ないか、試してみるか」
ギリギリ加熱する温度を抑えるなど、何通りかの作り方をしながら他の継続的回復薬サンプルを飴にしていく。
最後に、薬草入りの継続的回復薬と普通の継続的回復薬をもう一度少量新しく精製し、作っている加工段階で砂糖を足して直接飴にしていってみた。
『飴型継続的回復薬タイプBQ52:BQE211(通称:トレント)#A3の薬効成分を魔力水に抽出する途中で砂糖を加えて飴にしたもの。口にある間は軽度〜中度組織損傷に対して12%程度の回復効果が続く。かみ砕くと残っていた飴の量に応じた一時的回復効果が生じる』
『飴型回復薬改(トレント若葉入り)タイプBMQ612:BMS145(通称:薬草)#A3とBQE211(通称:トレント)#A3を合わせて薬効成分を魔力水に抽出する途中で砂糖を加えて飴にしたもの。口にある間は軽度組織損傷に対して5%程度の回復効果が続く。かみ砕くと残っていた飴の量に応じた一時的回復効果が生じる』
「お? 最初から作る段階で砂糖を足すと体力回復効果が消える代わりに怪我の回復効果が上がるし、薬草と半々で作ったのでも継続的回復効果が高まるね」
どうも継続的回復薬は液体状態よりも飴にする方がいいらしい。
薬草で嵩増しさせても5%の効果が出るなら安価バージョンはこれで作るのが一番だろう。
トレント若葉だけのも、もう少し作り方を工夫してタイミングとかの見極めをうまく出来たら15%ぐらいまで回復量を上げられるかもしれない。そうなったらそれこそ本格的に攻略を狙っている層に高額で売りつけるのも十分にありだろう。
飴の形にして、どの程度薬効が続くのかは要研究だが。
回復薬の様に瓶に入れなくて済むとなったらそれも有難られるだろう。
とは言え、瓶には薬効が抜けるのを防ぐ効果もある。飴だったら小さめなポケット入れられるような薄い缶でも何通りか素材を試して、薬効の状態を確認してみたい。
2,3週間保てば取り敢えずは良いという事にして、何通りかの金属や合金を使って缶を作ってみよう。
缶だったら乱暴に扱ってへこんでも割れはしないから、そういう点でも歓迎されそうだ。凹んで開かなくなったら困りそうだが、そうなったら剣で叩き切って中身を取り出してもいいだろう。
……魔力が抜けにくい魔石保管ケースに使われている金属を使ったら、薬効成分も抜けにくいかも?
グミって歯にくっつきそうで、あまり好きじゃないんですよね〜




