表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1185/1303

1185.16階の素材

「さて。

 ちょっとそこら辺の素材を鑑定しまくるから、イチゴを集めておいてもらうのを頼んでもいいか? 俺も欲しいんで一部買わせて欲しい」

 14階で穴兎を集めまくり、15階は実質素通りして16階に辿り着いた隆一は周囲を見回してからデヴリンに頼んだ。


「トレントの傍に行かないんだな?」

 デヴリンが念を押す。


「後でトレントのエリアにも入り込んで下草とかを調べたいと思っているが、先にそこら辺の草原っぽいところを調べる。ダルディールも一緒だしそっちだったら安全だろう?

 食肉イチゴの方に行く時はデヴリンも傍にいることになるんだし」

 隆一が答える。


 基本的に、この迷宮の各階層の素材に関しては前もって話を聞いているのでそれを鑑定して調べるだけだったのだが、考えてみたら素材扱いされていない雑草っぽい草とか、小さな虫っぽい生き物も一応存在するのだ。

 探索者が持ち込んで勝手に生息することになった生物なのか、単に迷宮という環境を循環させるために必要だとダンジョンマスターが考えて最初に攻略されたときの取り決めに含まれていないものの勝手に付け加えたのかは不明だが。


 そう言った物がリポップするかも興味があるところだし、何か効果があるかも確認しておこうと思っている隆一だった。


「まあ良いが……。ダルディールも要るんだよな」

 デヴリンが渋々合意する。


「おう。3対1対1でどうだ?」

 ダルディールが提案する。


「この階層だけだぞ?」

 デヴリンが頷きながら食肉イチゴの泉の方へ向かった。


「さて。

 まずは雑草だな」

 この階層では魔防効果を高めるネルク草と魔力保持量を高めるタルキ草が草の素材としては有名なのだが、それ以外にも草は生えている。


 それを一本抜き取り、手に取る。

「鑑定」

『BMD258(通称:クロバイ草)E21:食用可。微細なカリウム、ビタミンCを含む』


 根の方に集中してもう一度鑑定。

『BMD258(通称:クロバイ草)B02:茹でれば食用可。微細なポリフェノール、カルシウムを含む』


 最後の茎に集中して再度鑑定。

『BMD258(通称:クロバイ草)A01:微細な毒があり、下痢を起こすこともある』


 どうやらあまり役に立つタイプの素材ではないらしい。


 ポリフェノールがあるならそれなりに有用かも知れないが、微細なのだったらそれこそ葡萄なりお茶なりから抽出する方が効率が良さそうだ。


 諦めて似たような、だが微妙に違う雑草を手に取る。

 街の中にあっても、意外と雑草の種というのは探索者の服についているのか、そこそこの種類な草があるようだ。

 まあ、探索者だったら王都外への護衛依頼などで外に出ている可能性もあるから、意外と遠くの地域から種を運んできている可能性もある。


 そんなことを考えながら次々と鑑定していくが、ほぼ全て微細に何かがある程度で、毒性も薬効も『ないことはない』程度の様子だった。


「ダメか?」

 次から次へと草を鑑定して地面へw投げ捨てている隆一にダルディールが尋ねる。

 いつの間にか、デヴリンも戻ってきている。

 どうやらイチゴも一人で取っても許容される範囲では取りつくしたらしい。


 コボルトを虐殺するのはまだしも、食用の果物や木の実系はリポップするとは言え全部は取りつくさないのが探索者の礼儀とされている。

 3人で取るならまだしも、一人で採取しているとなると、デヴリンが取っても周囲から顰蹙を買わない量はそれ程多くはないのだろう。


 まあ、現時点では遠くの方に一組パーティがいるだけで、他に目撃者は居ないが。


「流石雑草。

 うんざりするほど大量に食べなきゃ毒にも薬にもならないようなのばかりだな。

 ちなみに、迷宮内の素材って定期的に確認しているのか?」

 探索者の服について持ち込まれた雑草などは徐々に増えていくと思うのだが。


「いや、余程目立つほど増えた素材でもない限り、わざわざ調べはしないな。

 極まれに鑑定持ちな斥候役や魔術師が何か役に立つ新素材を見つけて報告することもあるが」

 ダルディールが答える。


「ちなみに、そういう後から見つかった素材というのはリポップするのか?

 最初にヴァサール辺境伯とダンジョンマスターが合意したラインアップの一部じゃないんだろ?」

 かがみこんで調べるのに疲れた隆一が草原の上に座り込みながら尋ねた。


「少しだけ生えているような草を取りつくすとリポップしないことが多いな。

 大量に目につくほど増えている場合は、全てを取りつくさない限りリポップすることが多いから、有用な効能のある新しい素材が見つかった場合はしっかりリポップするのが確認できるまで情報が漏れないように手を打ってそこの階によく行く探索者に保護を依頼することもある」

 ダルディールが応じた。


 一応新しい有用な素材が増えることはあるらしい。

 今回はそれを見つけられなかったが。


「よし!

 諦めてトレントが居る森の中の下草を調べよう!」

 デヴリンに活躍してもらうための斧もちゃんと持ってきてある。


『雑草……恐ろしい子!』by ダンジョンマスター

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
日本の植物だと葛がアメリカで大繁殖して グリーンモンスターと呼ばれているらしいです ダンジョンに持ち込んだらどうなることやら
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ