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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1167.ファルダミノ迷宮(11)

「満足できる結果を得られましたか?」

 隆一がコボルトの死骸から歯形と魔石をゲットしている間に昼食の準備を手配してくれていたフリオスが戻ってきた隆一に尋ねた。


「野生の魔物だと魔石のサイズだけでなく、歯やその他の肉体部分にも違いがあるから標準的な生産用の素材としては迷宮産が使いやすいんだろうと言う事が分かった。

 未攻略なペルワッツ迷宮のがどうなっているかが非常に楽しみだから、是非とも歯形と魔石とを持ってきてくれるよう手配してくれるとありがたい」

 にこやかに歯形の紙を見せながら隆一が応じた。


 歯形は完全に迷宮で集めたプロトタイプとは違うものばかりだった。

 また、面白いことに魔石のサイズも3体でどれも違った。


「ああ、そういえば生産用には迷宮のものの方が品質が一定ランクになるという話を聞いたことがありますね。

 ……外の魔物の方が変な怪我が多いという話だと思っていたのですが、成長度も違うんですね」

 フリオスが隆一の言葉に一瞬考えてから、頷いた。


「ああ。

 迷宮のコボルトは殆どサイズが同じで歯も魔石も同じような成長段階だった。

 まあ、コボルトに関しては俺たちが討伐しまくってリポップさせているからというのはあるんだろうが。

 ……下層の下の方の強い魔物なんかだと長く討伐されないとずる賢くなって危険だって聞いたから、そういうのは肉体的にも強度が増している可能性はあるか」

 どちらにせよ、迷宮産の方がちゃんと成体になった状態でポップしているので素材の状態がよさそうだ。


 野良の魔物の場合、餌が豊富だったり、主的に育った個体だったら大きな魔物もいるだろうが、栄養失調気味だったりテリトリー争いに負けて怪我をしていたりしたら魔物の素材も微妙なランクになるだろう。


「ずば抜けていい素材が欲しい場合は、まだ攻略されていない迷宮の探索者があまり来ていない部分で得るか、野良の大きくなった個体を探すかした方がいいってことか。

 大陸側の探索者から職人に依頼するときに本当にいい物を作って欲しかったらいい素材を取ってこいって言われるって聞いたことがあるが、そういう意味なんだな」

 ぽんっと手をたたきながらデヴリンが言った。


「デヴリン達だって国外の迷宮に行ったことがあるんだろう?」

 確かペルワッツ迷宮に挑む前に大陸側でそれなりに経験と名声を培ってきたと聞いた気がする。


「野良の魔物なんて、ずば抜けて大きな個体が居るような場所は大抵は街から遠く離れた辺鄙なところになるから、牙ならまだしも皮とかだったら持って帰ってくる間に腐っちまう。

 迷宮の方がまだましだが、探索者が滅多に来なくて古い個体が残っている迷宮だったら未攻略で転移門も少なく、目当ての個体を探して倒すのに疲れすぎるからなぁ。

 普通にそこそこ探索されている迷宮の深いところでランクの高い魔物の標準的素材を持っていく方が楽なんだよ」

 デヴリンが説明した。


「軍用の装備でしたら品質がばらつくと困りますしね」

 フリオスが付け加える。


 なるほど。

 生き物の素材を使うという時点であまり品質の標準化なんて考えていないのだろうと漠然と想像していたが、実は迷宮というのは素材の生産に関しては工場産の素材と同じように品質の標準化が可能になるようだ。

 まあ、討伐してくる探索者の腕次第で劣化は起きるだろうが。



「今回は色々と俺の我儘に付き合ってくれてありがとう。

 迷宮と魔物という存在に対する理解が更に深まったように感じるよ」

 王都に着き、解散する前に隆一は皆に感謝の意を伝えた。


 今度、お礼代わりに第二騎士団にタルニーナのケーキでも大量に差し入れしてもいいかも知れない。

 実は隠れ甘いもの好きが多いという話をフリオスが漏らしていたから、喜ばれるかも知れない。




いい加減、最初の方の設定とかを確認しようかなとカクヨムの方で『実は召喚したくなかった』を見直ししつつアップしています。

多少読みやすくなっているかもですので、読み直そうかな~と思った場合はこちらをどうぞ。

https://kakuyomu.jp/works/16818093093144901279


最初の頃は攻撃魔術が『矢』と『槍』ではなく『球』だったのに見直しを始めて気付いたんですが、取り敢えずカクヨムでは全部『矢』に修正中。これっていつの間に変わったんだろう……。この話は特にエタった時期はなかった筈だから、『再開した際に思い違いしていた』なんてこともない筈なんですけどね。

ちょっと不思議。


他にも何か突っ込みどころがあったらこっちならまだ直せるかも?

なろうは流石に量が多すぎて、全部直しつつ見直す気力がないんですよね・・・。

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