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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1155.魅惑の素材(5)

 ちょっと意外なことに、ファルダミノに行く予定の前日にファルノが何やらシソっぽい感じに葉がギザギザな植物を植木鉢に入れて持ってきた。

 どこで見かけたか、しっかり思い出せた上にそれがまだ生えていたらしい。

「こちらが以前猫がじゃれついているのを見た植物だと思います。

 近所の猫に一枚差し出してみたら物凄い体を摺り寄せていましたし」


「おお~。

 そうなのか、ちょっと鑑定させてくれ。

 鑑定」

『ネコシソ:多年性シソ科植物。食用可。肉などの香り付けやサラダに使われる』

 猫と言う名称が名前の一部なところが中々有望だ。サラダにもオッケーと言う事は庭に育てたらアリスナが使ってくれるのだろうか?

 一度味を確認しなければならないが。


 更にもう一度猫との関連性を念頭に詳細な鑑定をやり直す。

「鑑定」

『BMD473(通称:ネコシソ)E21:猫を興奮させる成分を含む。効果は30分程度で切れ、中毒性はない』


「おっしゃ!!

 これが欲しかった草だ。

 ファルノ、これを庭の一角に植えて、増やしてもらえるかな?」

 定期的に購入できるなら買うのでも構わないが、取り敢えず自宅用に欲しいと隆一はファルノに頼んだ。


「庭に植えるんですか?

 これってうっかりすると庭を占領しかねないので、鉢植えで良いですか?

 あと、匂いが強いので虫が引き寄せられるかもですよ?」

 ファルノがちょっと嫌そうな顔をした。


 そう言えば、日本でもお刺身なんかに下に敷かれていた紫蘇は虫が付きやすいせいでスーパーなどで売っている綺麗な紫蘇は農薬まみれなのだとどこかで読んだ記憶がある。


 どうやら異世界でもそこら辺の事情は変わらないらしい。

「鉢植えなり、大型の箱に植えるなり、良いと思うようにやってくれ。

 ちなみに魔術とか魔道具で虫を排除できないのか?」

 折角なのだ。

 そこら辺は異世界式に解決したい。

 猫のおやつに混ぜるかも知れない物に大量の農薬を使うのは躊躇われる。


 人間の食材だって農薬を使うのは微妙という説があったのだ。

 更に身体が小さい猫が口にする食材に農薬が使われていたら危険そうだ。

 ただでさえ、庭にあった植物の猫に対する有毒性の圧倒的な多さを鑑みるに、猫は意外と食べる物に関してはデリケートなようだし。


「ええっと、世話をしている時以外、生き物が近寄れないようにする結界を張る魔道具はありますが、それだと受粉が出来ないかも?」

 ファルノがちょっとあわあわしながら答える。


「シソ科だったら受粉しなくても勝手に根っこを伸ばして増えなくないか?」

 しぶとい雑草なんかは根っこが残ったらガンガン増える筈だが、これはダメなのだろうか?


「いえ、これは多分種で増えますね。

 ただ、種が細かい上に大量に出来るのでガンガン増えちゃうから、地植えはしない方が無難なのですが」

 ファルノが応じる。


「う~ん、種を作る分だけをファルノなり外の農家なりに頼んで育てて貰い、この庭では虫除けを常時使った状態で育てるのはダメかな?」

 種を集められた方が良いのだろうが、虫が湧くのは御免な隆一だった。


「……そうですね、知り合いの農家にちょっと相談してみます。

 適当に森との間の土地に育てて種を採取する程度だったらやってくれるかも知れません」

 ファルノが多少自信なさげに応じた。


「うん、頼む。

 ちなみに虫除けが必要になるのって今すぐなのか?

 現時点ではそれ程匂いが強いと感じないが」

 植木鉢に顔を近づけてスンスンしながら隆一が尋ねる。


「いえ、花が咲いてからなのであと数週間は大丈夫かと思われます」

 ファルノが言った。


「じゃあ、鉢植えをそこの角一角分ぐらい増やすのと、種の確保をよろしく。

 虫除けの魔道具は錬金術ギルドに行けば入手できるのかな?

 それとも農業ギルド?」

 自作するつもりな隆一だが、先ずは完成品を入手してからそれを分解して模倣する方が楽だろう。

 設計図モドキが入手できるなら錬金術ギルドに直行しても構わないが。


「錬金術ギルドにもあるとは思いますが、我々は雇い主が匂いを抑えて欲しいと苦情を言ってきた際には農業ギルドで買っていますね」


「俺みたいに猫にあげたいから変な草でも育てようって言う人間以外に、態々魔道具を使って庭の植木の臭いや虫を防ぐ人間なんて居るのか?

 それだったらその植物を植えなければ良いだろうに」

 ちょっと好奇心を感じて隆一が尋ねた。


「見た目が凄く綺麗な樹木とか、花は香りが良いけど実がなると悪臭がするとか、色々と都合が悪い植物もあるのです」

 切なげにファルノが言った。


 世の中、色々と都合よくいかない物が多いらしい。

 まあ、魔道具で何とかなるならまだ全然OKだが。


「分かった。

 じゃあ、その臭い消しもしくは虫除けの魔道具の購入もお願いして良いか?」

 ついでなのでファルノに頼み込んだ隆一だった。


 明日からファルダミノなのだ。

 行っている間にに購入して貰えれば、帰ってきてすぐに分解して模倣出来るだろう。


考えてみたらシダ系だったら虫じゃないくて風で受粉しそう?

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>ちなみに魔術とか魔道具で虫を排除できないのか? 某白魔術師なら
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