表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1131/1303

1131.近所付き合い(3)

皆が大体集まったのでバーベキューを始めたところ、やはり穴兎は大人気だった。

バーベキューだったら牛肉とか、一応準備しておいたハンバーガーのパテとかの方が美味しいかと思ったのだが、穴兎の群を抜いた美味しさには負けている。


「美味しいですね、これ!

今度、迷宮内での範囲魔術なり攻撃魔術の連続発射の訓練なり、手伝いに行きましょうか??」

感激したように穴兎の肉を貪っていたフリオスが隆一に気が付いて提案してきた。


「……まあ、それもありかも?」

ダルディールが防御側を受け持っているのだから、攻撃する方に関しては剣と斬撃で攻撃するデヴリンだろうが、攻撃魔術で倒すフリオスだろうがどちらでも問題はない筈。


とは言え、フリオスが拠点に居なくなったら第二騎士団が回らなくなるのではないだろうか?

デヴリンが有事の暴力装置、フリオスが平時の管理担当というイメージだったのだが。


「おいおい、俺が騎士団のペーパーワークを回すのは無理だろ。

その為にフリオスが居るんだから。機会があったらもっとお土産に持って帰るようにするから無茶を言わんでくれ」

デヴリンが慌てたように口を挟む。

やはり隆一の状況把握が正しかったらしい。


「ちなみに、最近はウチの工房から穴兎の燻製を売り出しているから、それなりに美味しい穴兎が比較的長期保存できる形でそこそこお手軽な値段で入手できるぞ」

デヴリンを恨みがましく睨みつけるフリオスにダルガスが声を掛ける。


穴兎の美味さに変な事を頼み込まれるようになったら面倒かとダルガスも呼んでおいたのだが、正解だったようだ。

この様子だったら近所の人たちを呼ぶ際にもダルガスに来て貰っておく方が良さそうだ。


「穴兎の燻製ですか?」

フリオスの目がきらりと光った。


「おう。

リュウイチ殿の協力もあって色々と試行錯誤してきたんだが、それなりに継続的に味と量を維持して売り出せるようになったからな。

まあ、製造が販売にぎりぎり追いついているというところだから、それこそ王都迷宮が閉鎖されたり肉を取りに行っている探索者が怪我や病気で倒れたら支障が出るかもだが」

ダルガスが応じる。


「大丈夫だ。

探索者ギルド内でも穴兎の常時依頼に関しては問題があった際には私の方にも連絡が来るようになっているから、それこそ王都郊外で大繁殖スタンピードでも起きない限り肉の供給は何とかするよ」

ダルディールが横から声を掛けてきた。


どうやらダルディールも穴兎の燻製が好きらしい。

それとも探索者ギルドの中で人気があるのかも?

ダルガスは探索者ギルドの職員に割安で売ることで、そこら辺の流れをスムーズにさせているのかも知れない。


「そうですか……。

いざとなったら騎士たちの迷宮鍛錬を組んでもいいですし、問題があったら是非教えてください。

ちなみにダルガス氏の燻製はどこで売り出されているんです?」

フリオスががしっとダルガスの手を握って尋ねた。


以前、フリーズドライの魔道具を作った時にも思ったが、どうやらフリオスは意外と食に拘りが強いらしい。

まあ、魔力を使うとエネルギー補給の為にがっつり食べる必要があるので、その際に不味い食料を詰め込むよりは美味しい物を食べたい気持ちは隆一も分かるが。


「軽く焙った燻製肉はいかがですか?

此方が穴兎、こっちがレッドブル、此方はロックボアです」

丁度いいタイミングでアリスナがお皿に燻製肉を乗せて回ってきた。


そう言えば、アリスナは穴兎の燻製に関してダルガスに協力したから利益の分配があるんだったか。

あまり人気が出過ぎて爆売れすると入手が難しくなりそうだから広めまくるのは微妙に心配な隆一だったが、願わくはアリスナがしっかり穴兎の燻製肉の在庫も確保しているのだと期待しよう。


穴兎は定期的に大量に獲ってきているので、いざとなったら隆一邸で燻製するのだって可能だし。

ダルガス程上手くは出来ないにしても、アリスナもそれなりに色々試行錯誤に手伝ったお蔭で美味しい自家製燻製を作れるようになったと言っていた。


穴兎の燻製へ注意が集まりすぎないように、暫くしたら今度はメロンや桃などのフルーツやタルニーナが持って来てくれたパイとロールケーキなどを客にふるまい始める。


ロールケーキにすっかり虜にされたフリオスがタルニーナに熱心に話しかけていたから、今後は休息日にフリオスを迷宮で見かけることになるかも知れないと思った隆一だった。


取り敢えず。

今日のバーベキューは誰もが満足していて、成功したようだ。

近所の隣人たちを呼ぶ際にも少しタルニーナからスイーツを入手できないか、交渉しておくべきかもしれない。



魔術師でも騎士団の人間がタルニーナのスイーツ目当てに迷宮へ通い詰めるのは良いでしょうが、隆一邸の近所さん(一般人的な金持ち)がタルニーナのスイーツに魅惑されたら一般販売しろと煩くなって後が面倒そう……かも?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


カクヨムで書いていた『子爵家三男だけど王位継承権持ってます』の番外編を書き足しました。

良かったら読んでみてください。

https://kakuyomu.jp/works/16818023211694735678

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
考えてみたら兎料理って食べたことがありませんでした 食べてみたいような、みたくないような
フリオス君甘党だったのか~?訓練と称して収穫に向かう部隊が出現するとかw 燻製肉シリーズが軌道に乗って生産がひっ迫したら、それこそ王家直属の調達部隊と生産施設に委託とかも考えないと?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ