表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に借りた農場  作者: 秋野 木星
第一章 四月
16/77

雨雨ふれふれ

しとしとと降る春の細やかな雨の音を聞きながら、珠美は目を覚ました。


いい降りだな。

土が肥料と雨で潤うと、種を蒔く時にしっかりとした土台ができそうだ。

昨日、肥料を入れたばかりで、種を蒔くというのはちょっと早いのだが、ニンジン、大根、ゴボウなどの根菜類は、満月の頃に植えたほうがいいので、雨が止んだら種を蒔くことにしよう。


お日様が出ていないと少し肌寒いので、珠美はワンピースの上に作業着のシャツをひっかけた。少し汚れているが、今日は洗濯ができそうにない。


本当に服が必要だ。

タケノコを売りに行った時に、布を買いたいな。

それに前回の買い物の時に、お金がなくてあきらめた野菜の種ももう少し欲しい。

やっぱり手作りの製品を売るべきだ。

でも真竹がまだ古いものしかないから、今作るとなると竹箒かな。


珠美はそんなことを考えながら缶のフタを開けて、人差し指を水で濡らして、先っちょに歯磨き粉をつけると、ごしごしと歯をこすって歯磨きをした。

こういうミントの香りの歯磨き粉を使うのは何十年ぶりだろう。クリーム状ではなく、本当の(こな)だ。昔はどこの家でも家族で一つの缶かんに自分の歯ブラシを突っ込んで粉をつけていた。

子どもの頃に新発売のイチゴ味の歯磨きチューブを買ってもらったのが、ハイカラで嬉しかったことを覚えている。チューブといっても、当時は薄い板状の金属でできてたよねぇ。


こちらの世界にはプラスチックやビニールのような製品がないようで、歯ブラシが木と獣毛でできていたので、高くて買えなかった。

暇ができたら自分で作ってみるつもりだ。



そういえば、ここの家には傘がない。

これからクドがある林の近くの差し掛け屋根の所に行くには、雨に濡れなきゃいけないのよね。

なんかいい魔法はないかな?

そんなことを思いながら、台所のテーブルで魔術書をめくっていると、ミーニャが起きてきた。


「おはよう、珠美。こんなに早くから魔法の勉強ニャ?」


「おはよう。雨に濡れないで済む方法がないか見てみようと思ってね」


「それなら防雨魔法があるニャ。生活魔法だと思うけど……それより、珠美」


「ん?」


「レベルが上がって収納魔法が変わったんでしょ? ステイタスを確認しといたほうがいいわよ」


そういえば、魔法を大量習得した日からこっち、ステイタスを見てなかったな。


「うん、わかった、見てみる。ステイタスオープン!」


目の前に出てきたステイタスは、今度もだいぶ変わっていた。


名前  (日色(ひいろ)) 珠美(たまみ)

年齢  15歳

種族  異世界人、ヘブン人

職業  農場管理者、竹林管理者

ギフト 製作(日常生活に必要なスキル、農業従事者に必要なスキル、手作りができるスキル)

生活魔法  言語1、着火、野草料理、光・ライト、精米、ウォーター、発酵

農業魔法  耕作・畑、新鮮収納・コンテナー(生活魔法より移動、集約)

土魔法  掘削

    

レベル 13


体力 Eランク 8点(Dランクまで後12点)

魔力 Eランク 15点(Dランクまで後5点)



「職業ができてるね。もう竹林管理者の仕事が加わってる」


「珠美ったら、そんニャことよりレベルがもう二ケタよ! 魔力の上がり方もすごいし」


「そうだね。でも私としては体力の方を精一杯使ってる感じなんだけど……」


ミーニャと珠美では注目している点が違うようだけど、どちらにしても全体的に力がついているようだ。

なんにせよ成長することは、いいことだ。


ミーニャがEランク後半の魔力があるなら、今までよりもレベルの高い魔法も習得できるというので、珠美は目を付けておいた『金属加工』魔法をゲットすることにした。

それから硬い竹も切れるように風魔法の中から『ウィンドカッター』魔法を選んだ。

そして珠美がさっきから探していた雨を防げる魔法が、ミーニャが言っていた通りに生活魔法のページにあるのを見つけた。

つまり今朝、習得した魔法はこの三つだ。


『金属加工』・・・カルク キンキン キンカコウ

『ウィンドカッター』・・・ビュン キット カット

『防雨・傘』・・・レイン バリア コート


なかなかいい選択だったと思う。


裏口から出て、差し掛け小屋に置いてあった長靴を履くと、珠美はおもむろに『防雨・傘』魔法を発動してみた。


「【レイン バリア コート】!」


すると幅が径1m50㎝ぐらい、ちょうど珠美が両腕を広げたくらいの部分にポッカリと雨がかからなくなった。

縦が2m足らず、直径が1.5mの円筒状の透明な空間が、珠美を雨からしっかりと守ってくれていた。


「うわぁ、なんか不思議な感覚」


雨の中を歩いているのに、自分だけが雨上がりの地面の上にいる感じがする。


「これなら、からし菜を採りに行けるかしら」


長靴の音をポクポクさせながら、大川の土手まで歩いて行った珠美は、新鮮な雨水をたっぷりと含んだみずみずしい菜の花の(つぼみ)を摘んで帰った。



朝ご飯は、つくしの油漬けとからし菜の蕾、それに溶き卵も入れて、こんがりと炒めたチャーハンだ。

塩と醤油をいつもよりしっかりときかせて、濃いめの味付けにした。

やっぱりホカホカの温かいご飯はいいな。

そばに添えた大根の漬物が口をサッパリさせてくれて嬉しい。

緑と黄色が鮮やかな春の彩りになっていて、きれいだわ~


ご飯を食べる時にはお白湯(さゆ)を飲んだが、からし菜を採りに行った帰りに、ハーブガーデンでカモミールの花を少し摘んできたので、食後には爽やかな香りのカモミールティーを飲んだ。

リンゴの匂いがほのかにして、気持ちがゆったりとくつろいでくる。


「あー、久しぶりにのんびとした朝だなぁ」


雨の日は農業をする者にとっては、あれこれとしなければいけないことを考えなくていいので、気ぜわしくなくて骨休めになる。

さあ、朝食の後片付けをしたら、家の中で手仕事をするとしましょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ