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神様に借りた農場  作者: 秋野 木星
第一章 四月
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草木灰とハーブガーデン

目が覚めてすぐに珠美がしたのは、野焼きだった。


田んぼの向こうの湿地帯に丈が高い冬枯れした草がひと群れあったので、根菜類の元肥えになる草木灰(そうもくばい)を作ろうと考えたのだ。


風のない朝の早い時間帯を選んだが、草原に飛び火して火事になってはいけないので、周りの草をしっかりと刈りこんで火をつける場所を限定し、防火用水を用意することも忘れなかった。


「チリカ ハミネ」

窒素 → 葉

リン酸 → 実

カリウム → 根


これは、園芸好きの人はみんな知っている呪文だ。


草木灰はカリウムが多く含まれているので、ニンジン、大根、ゴボウなどの根を食べる野菜によく効く。

これらの野菜は土地を深く耕していないと、石や固い土にぶち当たって、又根になることがよくある。

草木灰を施した後に、もう一度畝を耕しておいても損はない。



火が鎮火したのをよくよく確認して、周りにぐるりと水を撒くと、珠美はひと仕事終えて家に帰って来た。


ペロルがすぐにやってきて、珠美の周りをクンクン嗅ぎまわる。


「焦げ臭いよ、珠美。何をしてきたの?」


「元肥えになる灰を作りに行ってたのよ。朝ご飯を食べたら、ハーブガーデンを作るから、今度はいい匂いになるからね」


「ふぅ~ん」



朝ご飯は、久しぶりにお米を炊いた。

昨日、精米をしたので、真っ白いホカホカご飯だ。


おかずはカボチャの甘酢オイル漬けと昨日採ってきたウドの花の塩漬け、それにチャイブを入れたスクランブルエッグだ。

ミーニャがいつも卵を捕ってきてくれているので、ありがたい。

貴重なタンパク質だもんね。

それに大根の千枚漬けの味がなじんでいた。かぶよりも水っぽい感じがするけど、醤油をちょっぴり垂らすとさっぱりとした味で、口直しになってご飯のおかずにちょうどいい。

漬物とご飯は、テッパンだね。


今度は、大根と昆布と塩で、コリコリした歯触りになる塩漬けを作っておこう。

珠美は空になったガラス瓶に、乱切りにした大根の漬物を入れて、金属のフタをした。


ちなみに調味料などは全部こういうガラス瓶に入れて買ってきている。

こちらの世界では、木箱に入っている大小のガラス瓶を選んで、必要なものを大樽の中から随時、店の人に入れてもらうという方式になっているようだ。

店では砂糖が大瓶一杯でいくら、という風に値段がつけられていた。ガラス瓶を家から持っていくと、その分安くなるそうだ。

容器のゴミが出なくて、いい方法だね。

そういえば昔は豆腐もお鍋やボールを持って買いに行ってたな。

……豆腐が食べたくなっちゃった。でもさすがに村の店に豆腐はなかったなぁ。



朝食の後で珠美が習得した魔法は『発酵』と『ウォーター』の二つだ。

『発酵』・・・【キンノ シゴトハ グンバツヨ】

『ウォーター』・・・【ピュイ ダデスト ウォーター】


野焼きをした時にこの『ウォーター』の魔法があればと後悔したので、今日はこの魔法をゲットすることにした。『発酵』は、ボカシ肥料を作る時にも使えるし、大豆ができれば納豆を作れるかもしれない。

どちらも生活魔法だ。

魔力が低くても習得できるうえに、使い勝手が良さそうだ。

なんかお得な感じがするわね。



今日しておきたいのは、ハーブガーデンを作ることだ。

珠美は『耕作・畑』の魔法を使って、庭の東の角に二本の畝を立て、その畝の前も少し耕した。それから腐葉土を取ってきて混ぜて、土をふかふかにした。

これだけでいいかな。

ハーブはもともとが草なので、あまり肥料はいらない。葉っぱの色を見ながら追肥で対応していくことにする。


庭の背景になるように、まずは低木になるハーブを植える。

お出迎えするように並べたいので、匂いがよくて花が綺麗なラベンダーを一番東に植えることにする。

木箱に移したまま一日置いていたので、紫色の花がくったりしている。植穴に水をたっぷりと入れて、花も枝も大きく切り戻しておくことにした。

切った花や枝はまとめて束ね、パントリーのそばにつるしておく。こうするとゴキブリがこないのだ。


隣にセージを植える。

コモンセージはソーセージを作る時に使える。このセージは乾かし気味に育てたほうがいいので、畝に土を足してちょっと小高くしておく。

セージも春先なので切り戻しておく。


セージの隣はローズマリーだ。

ローズマリーは肉や魚の臭み消しに有効で、松のような爽やかな香りがする。

珠美の孫たちは、鶏肉の骨付きドラムに塩コショウして、このローズマリーの葉とオリーブオイルをまぶしてオーブンで焼いたものが大好きだ。

どうしてるかなぁ。ばあばがいなくなったら、お母さんに作ってもらってるかしら?


後列の最後にバジルと青じそ、それに赤じそを植えることにした。

これも全部、背が高くなるハーブだ。夏の終わりになると茎が木質化してくる。


その前の列に植えるのはこんもりと育つハーブ類だ。

カモミールは、リンゴのような香りがする。

これからは花を摘んでカモミールティーにしよう! ふふ、楽しみだな。

タイムは、風邪予防になる。肉を焼く時の香りづけにもいいね。

オレガノは庭に植えっぱなしになっていて、今まであんまり利用してこなかったけど、花が綺麗なので一応、ここでも植えておこう。

フェンネルは魚を焼く時に重宝する。

そしてチャイブ、これは何にでも使える。その上、花もピンク色で可愛いのよね。


一番前の列に植えるのは、丈の低いイタリアンパセリだ。これもどんな料理にでも使える。

セイヨウタンポポは花も葉も食べられるし、根っこをタンポポコーヒーにして飲めるので、今雑草のように生えている状態で、そのままにしておくことにする。



こんなとこかな?

また、他の場所で食べられる植物を見つけたら、ここの側に植えていこう。

……これはなんだか、生きるための庭だね。



ハーブガーデンが順調に完成したので、珠美はタケノコを採りに行くことにした。

タケノコは時期があるから、できるだけ早めに採っておきたい。


お弁当を作って持って行くことにしようかな。

珠美は手を洗うために井戸に向かいながら、弁当の献立を考え始めた。

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