魔剣の数々
遅くなりました。申し訳無いです。
「最近本当に退屈で、何やろうかなって。で、思いついたの。魔剣作ってみようかなって。見て見てこれ。」
そう言って某を連れて行った先には工房のような部屋が広がっていた。
大風呂のような鍋、釜?
明らかに人以外の何かを入れる用の巨大な檻。
ガラス瓶の中には黒い雲、蠢く何かの尻尾、異様な、としか言い様の無い色をした水。
絵のような、模様のような何かが描かれた本。
そして、その中に異様な物があった。
剣であった。
大小様々
形状様々
種類様々
様々な剣が部屋の一部を占領していた。
驚いた。
別にこのくらいの剣が並んでいても驚く理由はない。
武器屋ならもっと多くの剣が並んでいる。
しかし、大したこと無い目利きの某でも解った。
「これは…全て魔剣?」
「そう!凄いでしょ?」
狭いとは言えない部屋の一部を占領する魔剣。
王国の宝物庫や武器庫にも勝るその光景に驚いた。
「これを………全て?」
某の問いに賢者は屈託無い笑顔で答えた。
「そう。全部メイドバイ私。」
賢者の持つ、底知れぬ力に戦慄した。同時に期待もした。
『ここならば確実に力を得られる』と。
「ェェン、賢者タツミン殿?某に相応しい魔剣等御座いましたら選んで頂けませんかな?」
ここまで来れば厚かましく行こう。
「えぇと………どんな魔剣が欲しいの?」
「……力を…圧倒的力を。振っただけで必殺となるような、そんな魔剣を頂きたい。」
火力。
それは剣士にとって重要な要素である。
魔法や毒やその他の道具の使い手と違い、剣の使い手に求められるのは力である。
魔剣は確かに通常とは異なる力を持つ。が、それでもやはり根幹は火力である。
もし、賢者の魔剣ともなれば、その火力も他とは一線を画すものであろう。
「あ、丁度良いのがあるわ。」
そう言って彼女が取ったのは、正確には魔法で浮かせて、なのだが、取って来たのは鞘に収まった両刃の大剣であった。
刀身は2m超。幅もある為、相当な大きさである。
鞘には幾何学な、それでいて美しい花の如き模様が刻まれている。否、刻まれているのか?はたまた描かれているのだろうか?
「さっき作ったばかりなのよ。この魔剣。」
触れた瞬間、金属の冷たさと一緒に別の何かを感じた。
鳥肌が立ち、全身雷に打たれ、全身が凍てつき、高揚で血が沸き立つ。
これが魔剣。
賢者の魔剣か………。
「これ掛けて、剣を見てみて。」
そう言って某に眼鏡を掛ける。次の瞬間、手の中の魔剣に文字が浮かび上がった。
そこには触れた瞬間同様、驚くべきものが目に映った。
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