一騎討ちまでの過ごし方(4)
今日はここまで書いて……寝ます。
もう少し一杯書けたら良いのかもしれないですが、歩みの遅い亀がいきなり加速しても持ちそうに無いのでご容赦ください。
「ごめんなさい。つい話がヒートアップしてて、気付かなかったの。」
「いえ…………。こちらこそ。アポイントメントも無しに申し訳ありません。」
あの後、私は賢者様と騎士団長様の会話に圧倒されて途方に暮れていた所を賢者様に見つけて貰い、お二人の間に座っていた。
「構わないですよ。だってこの人もアポなしでよく来ますから。」
「タツミンさんにアポなんて出来る訳無いじゃないですか。通信系の魔法は無効化されますし、使い魔やゴーレムに手紙を持たせてもここまでたどり着けないんですから。」
「………………。」
思考が凍結した。
そういえば…………私は何をしに来たのだろう?
「そう言えば……貴方は確かコアリスの砦のアーノルド=デネブ隊長ではありませんか?」
騎士団長様の声で我に返った。そして、思い出した。
私が何故ここに来たのかを。
「そうなのね。丁度その事を話していた所よ。」
「えぇ、本当に。その事について色々と話していましたよ。」
事情を話したところ、両者共に同じような反応を示した。
しかし、同じことを言っているにも関わらず、二人のリアクションは対照的だった。
賢者様は活き活きとしながら話していた。まるで子どもが人生で初めて見た魔法について話すかのように。
逆に騎士団長様はげんなりとしていた。まるで、さっき迄休みなく丸一日仕事をしていたかのような、しかも、その仕事が世界の明日を左右するようなおお仕事であったかのような。
「そこで私から賢者様にお願いが御座います。
どうか、私めに魔剣をお譲り頂けないでしょうか?」
頭を深く下げて願い奉る。
返答は直ぐだった。
「良いわよ。何にする?」「ハァー………」
快諾と同時にため息が聞こえた。
「何にする?アマゾネスの女王様と戦うんでしょう?で、負けたら猛獣大行進…………ソウダァ、丁度最近作った魔剣にうってつけのヤツが有るんだけどミテミナイ?」
棒読みだった。
「コレは封印したから駄目ですよ!」
騎士団長様は、子どもを叱るお母さんの様に賢者様に詰め寄る。
その手にはいつの間にか剣が抱えられていた。
限りなく黒に近い紫色の、曲刀であった。
今までに見たことの無い曲がり方をした曲刀が鞘に収まっていた。
刀身こそ見えないが、柄、鍔だけを見ても芸術品であった。
鞘も限りなく黒に近い紫色で、光を受けて輝き、そして不思議な事に、表面が波打つ水面のように光を乱反射して輝いていた。
「なんでぇ?丁度いいじゃない。猛獣相手でも相手が身体能力が高くても抜刀即問答無用で勝利よ?」
「これはダメ!大虐殺をさせる気ですか?そもそも使い手も無事じゃないでしょう?」
「大虐殺って…………毒の中和魔法を周囲にばら撒けば問題ないでしょう?調整可能よ。」
「半径数㎞にこのレベルの毒をばら撒いて中和するなんて何処にそんな曲芸が出来る人間が居るんですか!?」
「ここに居るじゃない。」
「あなただけでしょう!」
デネブは、口喧嘩の様な、痴話喧嘩の様な、兄妹喧嘩の様なやり取りを只々見ているしかなかった。
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