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年賀状を書くのは面倒くさい

作者: 御田文人

 年の瀬の休日、家でゴロゴロしてたら妻から急かされた。

「年賀状やるんじゃないの?」

 そうだった。いや、本当は分かっているのだが、忘れたフリをしていたのだ。

 わざわざツッコまなくていいのにと思う。


「昼頃やるよ」

「また。。昨日もそう言って結局やってないでしょ」

「じゃあ、この配信見終わったら」

「ちょっと中断するだけでしょ。せっかく端末持ってるんだから、やっちゃえばいいじゃない」

 こういう時、妻の言うことはだいたい正しい。オレがモゴモゴ言ってると、彼女は更に追い打ちをかけた。


「ほら、明日になったら年が明けちゃうよ!年賀状は前日の夕方までにやらないと!」

「いや、今は技術が進歩してるから、けっこうギリギリでもいいらしいよ」

「そんなのアテにしないでよ」

 妻は呆れた顔をする。

 その小馬鹿にされた感じに少し腹を立て、オレは最後の抵抗を試みた。

 

「そもそも年賀状なんて、誰も見てないモノに手間かけるの馬鹿らしいんだよな」

「だったら!」

 妻の語気が荒れてきた。ヤバい。。。

「最初から出さないって言ってよ!出すって言うからフォローしてるのに!!」

「分かった!ごめん!」

 オレは白旗を上げた。 


 そして、渋々、動画を見ていた端末の画面をアシスタントに切替える。

「なんでしょう?」

 アシスタントが問いかけてきた。

「年賀状のリスト作ってくれ」

「かしこまりました」

 2秒ほどで色々な人の名前や所属、関係性などが表示された。

 そこには、それぞれの人に対してどのSNSにどんな文面を送るかの案が併記されている。

「AさんとBさんは、もう付き合い薄いから外してくれ。Cさんもいらないかな」

「かしこまりました。文面は問題無いでしょうか?」

「いいよ」

「ではこれで予約します。明日は回線が混雑しますので、変更はお早めに」

「大丈夫。まかせるよ」


 ふぅ、終わった、終わった!

 しかし、なんでこんな面倒くさいことしなきゃいけないんだ。こんな風習無くなりゃいいのに。


少し未来のお話でした。

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― 新着の感想 ―
年賀状の準備って、プリンターで印刷か何かと思ったら……こんな未来、本当に来るかも。 ちょっと寂しいです。 年賀状でしかやり取りしていない人もいるし、手書きの文がまた嬉しいんですよね。 年賀状の文化は…
わかるー。私もみてみんに写真アップロードするのめんどくさくてなかなかやんないですもん。AI さんが指示するだけでやってくれるようになるとしてもやっぱりめんどくさいんだろうな。昔の人はエッサッサだったの…
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