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8、お風呂に入りました

「とっっっっても美味しかったですっ!」


「そ、そっか。それはよかった。」


夕食を食べ終えた僕はその後、気絶していたフィーを介抱していた。


目を覚ましたフィーは、若干半狂乱になりながら僕の作ったオムライスをものすごい勢いで食べ尽くしてしまった。


その姿はまるで肉を貪るハイエナのようで、正直かなり怖かった。


ものすごく幸せそうな顔をしていたけどね。


「カイト様はわたしを昇天させる気ですか?あれほどの料理、いままで聞いたことも食べたこともありませんでした!」


「そこまでうまく作れたわけではないんだがな。むしろ僕の中では失敗したと思っているんだし?」


そう言うと、フィーは目を丸くして、


「こ、これで失敗作なのですか?いったいどこまで行く気なのですかカイト様は…。でもそれはそれでいいかも…」


なにかをぶつぶつ言い始めた。あらやだこの娘、めっちゃ怖い。







閑話休題






「さて、夕飯も食べたことだし、お風呂にでも入ろうかな?フィー、この世界にもお風呂はあるのかな?」


「あ、はい。1階の廊下の突き当たりに浴場がありますよ。」


ちなみにこの厨房も1階にあるので、廊下の突き当たりは結構近かったりする。


「よし、それじゃあ早速行こうかな。」


「はい、喜んで!。」


元の世界と違って、こっちのお風呂はどんなのなんだろう。楽しみだな~。







ん?喜んで?







――――――――――――――――――――――――――――――









厨房から浴場に移動した僕は、早速服を脱衣所で脱いで湯船に特攻した。ほらそこ、子供みたいって言わないっ!


「あぁぁ、生き返る~」


やはり浴場も石造りだが、どことなく清潔感を感じる。ここのメイドさん、いい仕事するなぁ。


ちなみにフィーは少し用事があるとかで脱衣所から出て行った。


ま、用事があるにしろ無いにしろ出て行ってもらうつもりだったけどね。


元の世界だと姉さんや妹がほぼ確実に覗こうとしてきたから警戒する必要があったけど、この世界だとそんな心配も無いから助かる。



………



大丈夫だよね?




「しっかし今日は疲れたな~」


腕を上にあげて体を伸ばす。う~んバキバキいってるな。


そんなことを考えているとガラガラッと風呂場の入り口から音がした。


ん、誰かきたのかな?


「カイト様、お背中をお流しします~♪」


「ふぇっ!?」


ビックリして変な声出ちゃった。て、そんなことじゃなくて、


「フィー!?なんでここにいるの?用事は?あとなんでここにいるの!?」


風呂に乱入なんて覗きより悪質じゃないか。いや、堂々としているだけまし―――なわけないか。


ちなみにフィーはタオルすらつけていない。つまり生まれたままの姿だったりする。


「はぁはぁ、カイト様の裸。いい、すごくいいです。」


「ちょ、フィー?顔真っ赤にして息荒げないで!なにか危険な感じがするよ!?」


主に僕の貞操に対して。


「はぁはぁ、も、もう我慢できませーんっ!!」


「あ、ちょ、いやぁぁぁぁぁ!」


「いただきまぁ~す!!」








――――――――――――――――――――――――――――――







「もう二度とこんなことしちゃいけませんっ!」


「そ、そんな!?カイト様ひどいです~。」



なんとか貞操を守りきった僕は、フィーを床に正座させて説教している。


ちなみにフィーには水着を着させた。目のやり場に困るからね。


というかこの世界にも水着ってちゃんとあるんだ。


フィーの話によると、最初は本当に背中を流そうとしただけだという。


しかし、僕の裸をみて理性が吹き飛んでああなってしまったらしい。



「とにかく、これからはもうしないこと。いいね。」


「いいじゃないですか。1回くらいカイト様の体を好きなようにしたって。」


「いいわけあるかっ!」


なんてことを言うんだこの娘は。


ああもう、埒があかない。こうなったら妥協案を出すしかないか。


「わかった。僕と一緒にお風呂に入ってもいいよ。もちろん水着着用だけどね。」


「む~分かりました…」


若干不満気だが納得してくれた。よかった、これで僕の貞操も大丈夫だよね。


「毎日一緒に寝てくれるというのなら。」


大丈夫…だよね…?






閑話休題







僕はフィーとの交渉(?)を終え、フィーと一緒に湯船につかった。


「そういえば、カイト様はどうしてご両親がいないのですか?」


唐突にフィーがそんなことを聞いてきた。さっき厨房で僕が言っていたことを覚えていたんだろう。


「………」


「あ、すいません…。差し出がましいことをお聞きしました…」


僕が黙っているとフィーが急に落ち込んでしまった。


きっと僕の両親が亡くなってしまったと勘違いしたのだろう。


「大丈夫だよフィー。僕の両親は死んでないどころかめちゃくちゃ元気だから。」


ほんと元気すぎるくらいなんだから…


「え、そうなんですか?それじゃあどうして?」


「…すごいくだらない理由だけど聞く?」


「はい、カイト様がよろしければ。」



フィーには話しても大丈夫かな?たぶん信じてくれるだろう。



僕はフィーに両親について話すことにした。





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