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45、晩御飯を決めました

「ただいま戻りました~、ってどどどどうなさいましたカイト様!?」


「ああフィー、おかえり…」


顔を上げると、妙に慌てふためいているフィーが視界に入った。


「あわわ、こんなに疲れた顔をして…いますぐベッドで寝ましょう!ついでにわたしも一緒に寝ますから!!」


「大丈夫だから!別に異常はないから!だから鼻息を荒くしながら近づいてこないで!!」


まるでエロ親父のような手つきでにじり寄ってくるフィー。似たようなことが元の世界でも何度かあったので若干トラウマになってます…


「よいではないですかよいではないですか!!」


「いやああああぁぁぁ!!」




◆◆◆◆◆◆




「え、王様に呼ばれて王城に向かったのですか?」


なんとかフィーを正気に戻すことができた僕は、ダイニングで現状をかいつまんで説明した。


「うん。なんでも、みんなに渡したいものがあるとかで…」


「最初は何事かと思ったのじゃ。」


自分の家の前に兵士が来るとか、普通だったら警戒するもんね。


良くて税収、悪くて死刑宣告。あまりいいイメージはないよね…


「なるほどなるほど。つまりみなさんは今ここにはいないということですね。」


「え、まぁそのとおりだけど…」


フィーが後ろ手にガッツポーズしてるのが見えるけどなんでかな?なんか「よしっ!」とか言ってるのが聞こえてくるんだけど。


「フィーよ、お主の好きにはさせぬぞ…」


隣にいるムラマサがとんでもなく恐ろしい笑顔でフィーにそう威嚇していた。黒いオーラが見えるような気がするけど、見間違いに決まっている。


「うふふ、ムラマサちゃんったらなんのことかな?」


そして二人の間で火花が散っているように見えるのはきっと疲れているからだよね。


…そうだと誰か言ってよ…


「…まぁいいか。それじゃあ僕は晩御飯作ってくるから、二人は適当に時間潰しててー」


「「!」」


あれ?二人の反応が妙だ。二人とも「信じられない」という顔をしているような…


フィーは手が小刻みに震えてるし、ムラマサなんて顔色がどんどん青白くなっていってるよ。


「あれ、二人ともどうしたの?」


「ど、どうしたじゃありませんよ…」


「そうなのじゃ…せっかく邪魔者がいなくなったというのに、わしらを放置するのか?」


「いや放置って…」


ただ料理を作ると言っただけでこの反応…散歩に行ってくるなんて言ったらどうなってたんだろう…


「じゃあどうすればいいのさ。晩御飯は作らないといけないし…」


作ってなかったら美琴が「…お腹すいた。」って言いながら涙目になっちゃうよ。


姉さんは「海斗を食べてねって意味なのね。」とか意味不明の解釈をするだろうし、志穂は「私がしっかりしてなかったから悪いんだよね…」とか言い出しそうだし、優奈は絶対暴走するだろう。


「カイト様、ひとつ選択肢を忘れていますよ?」


「まったく、主も抜けているところがあるのぅ」


二人がやれやれというジェスチャーをしている。


あれ?僕が悪いの?この状況、僕が一方的に悪いの?


「選択肢って?」


「そんなの、決まってるじゃないですか。」






「私たちと一緒に料理しましょうよ♪」




「え?二人とも料理できるの?」


瞬時にその疑問が脳内を駆け巡った。この二人、特にムラマサは絶対経験ゼロだと思うんだけど…


「もちろんですとも!料理ができなくてメイドは名乗れません!無論、カイト様の料理とは天と地ほどのの差がありますが…」


「わしは料理の経験はないが、毎日のように主の調理風景を見てきたのじゃ。それなりに知識はあるのじゃ。」


なるほど、つまりさっきまでの二人の反応はただ単に、一緒に料理をしたかったってだけなのか。


よかった。変な思惑があるんじゃないかって疑ってたのがバカみたいだよ。


「わかった、それじゃあ一緒に晩御飯作ろうか。」


「はい!」


「うむ!」





◆◆◆◆◆◆




「ところでフィー、食材は何を買ってきたの?」


今手元に何の食材があるのかで今日のメニューを決めることにした。異世界に来てからいままで、謎の食材には出会ってないけど、もしかしたら未知の食材が出てくるかも…


「今日はこんなものを買ってきました!」


フィーは買い物カゴをテーブルに置き、買ってきた物をひょいひょいと取り出しながら確認をしていった。


「まずジャガイモとニンジン、玉ねぎ、シャモネックの肉に睡眠薬、各種香辛料と調味料。あ、あとデザートにリンゴとポーションをたくさん買ってきましたよ♪」


がさがさと出される食材。どうやらこの世界にある食材は見知ったものが多そうだ。


僕はジャガイモなどを手に取りつつ、フィーにばれないように睡眠薬とポーションをインデックスに放り込んだ。ちなみにポーションはさっき美琴から没収した媚薬と同じ小瓶に入っていた。


「シャモネックの肉って何の肉?」


「シャモネックは鳥型モンスターで、主に家畜として人間などに育てられています。庶民的ではありますが、なかなか美味ですよ。」


つまり鶏肉みたいなものかな?それだったら食べても大丈夫かな?


「カイト様、この食材からいったい何を作りますか?」


「う~ん、そうだね…」


ジャガイモにニンジン、玉ねぎと香辛料か…


この食材の並びだと『アレ』しか思いつかない。


「主よ、何を作るか決まったのか?」


「うん、今日は料理の王道――――」






「カレーを作りますか!」





――――――――――――――――――――――――――――――




~フィキペディア~


『ダイニング』


主に食事をする場所のこと。家の中でリビング・キッチンと並んで基本の部屋だが、用途を知らない人も意外と多い。



『放置』


使わない道具をそのままにしておいたり、特定の人物を置いていく又は無視すること。構って欲しい人にやると涙目になること保証付きである。しかし、一部性癖が特殊な人はそれすら快感に変えてしまう。

ちなみに海斗は何もしていないのに、少しでも放っておくと「放置しないで!」と言われるのが最近の悩みのひとつである。


『メイドは名乗れません!』


自分はメイドだと堂々と名乗るには、それ相応の技術量が要求される。家事全般はもちろん、主人の護衛から飛竜の操縦など特殊なものまで要求される場合もある。

フィーはすべての科目を優秀な成績で合格している。



『睡眠薬』


正式名称『睡眠導入剤』。どうしても寝付けない人が使う医療薬品の一種。睡眠促進剤とは違い、依存性が非常に高く頻繁ひんぱんに使用しすぎると、それ無しでは眠れない体になってしまうことも…

また、一度に多く服用しすぎると眩暈や頭痛などなど強い副作用が出てしまうので注意。

決して人の料理に仕込まないように…



『シャモネック』


体長3mほどの大型の鳥型モンスター。極彩色の羽に覆われており、長い体毛で目が隠れている。足は三本で動きはかなり俊敏。気性はおとなしく家畜として重宝されている。値段が非常に安い上、高級食材に劣らぬ味なので庶民だけでなく貴族もよく購入している。

味は鶏肉のそれだが、ブロイラーではなく広い土地で昔ながらの手法で育てているため、日本のものより味は格上。




フィーの買ってきた物の一部が変な気がしますが気のせいですね。きっと料理の隠し味に使おうと思っただけで他意はないはず…


ムラマサが少し黒くなってきているのは本当に気のせいです。彼女は純粋な黒髪美少女。決してダークな女の子ではありません。


そのはずです…



感想・評価していただき大変うれしいです!今後とも皆さんにおもしろいと言ってもらえるように努力していきます!!

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