表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/158

41、探検しました そのヨンッ!

~二階 廊下~



「うわぁ、すごいね。」


階段を上りきると、後ろの吹き抜けに目線が移る。さっきまでいた玄関が下に見える。


天井には空気を循環させるための大きなシーリングファンが、ゆったりと廻っていた。


「あまり珍しいもんじゃないが…ずいぶんと設備が整ってるよなこの家。」


『わしは見た事がないの。主があまりわしを持ち出してくれぬから…』


「いやいや、学校と修行以外で持ち出したらまずいから。」


真剣持ったまま街中を歩いたりなんかしたら、すぐさまお巡りさんとコンニチワだよ。


「二階の構造は…ここからは正面の扉しかわからないな。」


「とりあえず先に進もうか。」


『そうじゃな。いったいどんな部屋があるんじゃろうか。』




◆◆◆◆◆




「ほう、ここはどうやら談話室のようだな。」


「孝はなんで見ただけで部屋の用途がわかるのさ。」


部屋は先ほどのリビングの2/1ほどの広さで、感覚的に学校の教室くらい。クリーム色の壁に緋色の絨毯。天井にはランプ状のガラスの筒に謎の球体が入っており、暖かい色合いの光を出している。


「部屋に置いてある家具からなんとなく想像しただけだ。」


いわれて見ると確かに。部屋の中央には大きな茶色の角テーブルが置かれており、リビング同様3人掛けソファーがそのまわりに四つずつ配置されている。


部屋の隅には本棚や菓子棚がある。あ、トランプとかの遊具も置いてあるみたいだ。


『ここで皆とお茶を飲むのも良いかもしれんの♪』


どうやらムラマサはこの部屋が気に入ったようだ。興奮しているのか、さやがガチガチ振動するから腰が少し痛い…


「まぁ俺としてはこの部屋より、左右と正面にある二枚扉の先のほうが興味あるけどな。」


「ふえ?」


見ると左右には今日何度もみた金色のドアノブ付のドア。そして正面には、この屋敷の中でもっとも豪華な造りの二枚扉。金縁きんぶち紺色こんいろの扉なのに、なぜか重々しさを感じさせない。


「どうする?まずはどこから攻める?」


「いや攻めるって…」


どこのエージェントだよ。伝説の隻眼傭兵か何かなの!?CQCの使い手なの!?


『わしは左から見て生きたいの。』


「左だな。よしそれじゃあ行くぞ!」


「あ、ちょ、待ってよ~」




◆◆◆◆◆




「廊下か。いったいどんな部屋とつながっているのやら。」


「僕としてはプライベートルームがいいな。自分だけの空間ってなんだかんだで欲しいし。」


『無論わしは主の刀じゃから一緒の部屋なのじゃ。』


ここの絨毯は緑をベースにしたものらしい。足元が妙に歩きやすい。


壁には蝋燭立てが一定の間隔で取り付けられている。


『む、主!無視するでない!!』


「あーあー聞こえないー」


「子供か。」


僕は一人の空間が欲しいんだ。鍵もばっちりついた誰も入ってこれない避難場所が!


そんな僕の願望を無視して、孝は廊下の突き当たりを曲がった。


「だから置いて行かないでよ!」


「いやだって、巻き込まれたくないし…」


こいつ、本当に僕の友人?友人なら身を呈して僕を守ってくれてもいいじゃないか!


「いや、それはもはや友人の域を超えていると思うんだが…」


僕の状況ってそこまでひどいの?


「そんなことより、見ろよ。」


「ん?おお~!」


廊下を曲がると、突き当たりまでドアが等間隔で六つ並んでいた。ひとつを除いてすべて同じ白の装丁のドアで、入り口にもっとも近い部屋のひとつは紺色の装丁だ。


「この感じはまさに、プライベートルーム!僕の避難場所だー!!」


「まあしばらくは幻想に浸ることができるな。少ししたらそんなものはこの世に存在しないってわかるだろうが…」


「そんなことないもん!異世界なら姉さんたちから逃れる術くらいある…はず…」


「せめてもっと自信持って言えよ。」


自信を持ちたくても、いままでのことを思い出すと…あれ?目から聖水が…


「さて、この部屋はどんな部屋かな~♪」


『主よ、あきらめるしかないのじゃ。』


「あきらめたくないよ…」


あきらめたら僕のメンタルが崩壊しちゃうよ。


「おい海斗、この部屋すごいぞ!」


紺色の扉の先から孝の興奮した声が聞こえてくる。妙にテンション上がってるな。


ドアの隙間から中を覗き込んだ。





3つの洗面台と2つの小部屋が見える。


「ここって?」


「ああ、そこの小部屋はシャワールームとトイレだった。どうやら洗面所みたいだ。」


「へえ~。でもそこまで珍しいものじゃないよね。なんでそんなに興奮しているのさ?」


この部屋は特に変わったものは置かれていない。しいて言うなら大きな黒いイスが二つあるくらいだ。


ん?


「まさか…それは…」


「そうだ!このイスはなんと」







「マッサージチェアなのだ!!」


「マジで!?」


「ああ、マジだ!!」


そうか、ついに僕らは…


「自由に使えるマッサージチェアを手に入れたのか…」


「ああ、俺らの夢、ひとつ叶ったぞ…」


ああ、マイマッサージチェア…なんていい響きなんだろうか…


『お主らはなぜそこまで感動しておるのじゃ、って聞いておらんの…」


今夜さっそく使ってみよう!




―――――――――――――――――――――――――――――――



~フィキペディア~



『シーリングファン』


天井についている扇風機のような造りのアレ。空気を循環させる装置で、暖房と冷房で廻る向きを変える。大きめの家や、お洒落な喫茶店などに設置されている。

ハサミが得物の人のように、犬を投げて引っ掛けるようなことはしてはいけない。



『お巡りさんとコンニチワ』


挙動不審な人がよく遭遇する展開。お巡りさんが数人で近づいてきたら要注意。爽やかな挨拶ついでに署まで連行されてしまう。普通なら絶対経験しないが、一部の人はよく経験することもあるとか。お巡りさんと顔見知りになって「またお前か!」と言われるようになれば完璧である。

※普通の挨拶を交わす程度で抑えておきましょう。



『謎の球体』


魔道具のひとつ『シャイニング』。その名のとおり部屋を明るく照らす照明の働きをする。この魔道具の原型は『ソル・ファクト』ではなくとある人間が由来とされている。その由来となった人間は毛根が死滅していたことをひどく悲しんでいたという。



『マッサージチェア』


温泉によく設置されている自動マッサージ機。イスの中に揉み玉が仕込まれており、ボタンひとつでたたきや揉み、強弱から揉み場所まで自由に設定することができる。

海斗と孝は日頃の疲れ(理由はご想像におまかせします。)をなんとかしたいと思い、二人でマッサージチェアを買おうということになった。だが、果穂たちの妨害によりなかなか購入する機会がなかった。

二人が感動していた理由はこういうことである。





部屋の造りは、紙に設計してから小説にしています。屋敷自体大きいので一部屋一部屋が尋常じゃないほど広くなっています。さらにこの屋敷にはまだまだ秘密があるのですが、それはまたの次回に。



急いで書いたので誤字・脱字があるかもしれません。もし見つけたら感想やコメントで指摘していただけると助かります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ