表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/158

38、探検しました そのイチ!

「それじゃあまずはここから。」


さっそく家のなかを探検することにした僕と孝、刀状態のムラマサは、まず正面右の部屋に入ることにした。妙に大きな扉を見ると、なぜかワクワクしてしまうのはなんでだろう…


「よし、開けるよ。」


「ああ、いつでもいいぞ。」


孝の返事を合図に扉を手前に引く。見た目に反して扉は軽く、すんなりを開いてしまった。


もっと焦らしたっていいんだよ?


「…え?」


「おお、これは…」


『ほほぅ、なるほどのぅ。なかなかよいではないか。」


目の前に広がる光景に、思わず息を呑んだ。


え、どうしてかって?





目の前には、元の世界にある僕の家とまったく同じダイニングキッチンがあったからだよ。


「なんで僕の家のキッチンがここに…」


部屋は広く、10人くらいは余裕で入れるくらいのスペースがある。しかし、キッチンやカウンター、果てにはテーブルまで全く同じ、いやそのものだった。


「このテーブルの傷跡やシンクのシミ、間違いない…。これ、僕の家のやつだ。」


「そうなのか?道理で落ち着くわけだ。」


そういえば孝はよくうちに来て、志穂にケーキ作りを教わっていたっけ。たしかパティシエになるための修行だとかで。まったく、顔に似合わず器用なんだから。


「でも、どうしてこんなことをしたんだろうかアルは。」


『そうじゃなー。たぶんアルの心遣いじゃろうな。』


「え?」


心遣い?いったいどういうこと?


『主はなんの準備もなくこの異世界に飛ばされたのじゃろ?家が恋しくなることもあると思って、こんなことをしたんじゃないのかのぅ。これならいつでも我が家のことを思い出すことができるからの。』


「そうか、アルがそんなことを。」


いつも会うときは飄々(ひょうひょう)としているけど、僕のためにいろいろ考えてくれていたんだ。


「…今度、お礼をしなくちゃね。」


「そうだな。今度会ったら料理でも振舞ってやったらどうだ?」


「うん。そうしようかな。」


僕なんかの料理で創造神が満足するとはとてもおもえないけどね。


『いよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!ひゃっほーい!!』


脳内に響き渡った声は聞かなかったことにした。





――――――――――――――――――――――――――――




「よし、次はこの部屋に入ろうぜ。」


孝が指差した部屋は、正面右の奥、階段付近の部屋。この家に入って最初に視界に入った扉でもある。


「ここにもなにかあるのかな。」


「さあな、それも見ればわかるだろ。」


そういって孝は目の前にある扉を開けた。ちょ、まだ心の準備が―――


「おお~こいつはすげぇな!」


「なに?何をそんなに―――ってええええええええ!?」


さて、僕はなにに驚いたのでしょうか?気になりますか?


正解は―――


『すごい数のアイテムじゃのう。天井まで飾られておるぞ』


そう、ものすごい量のアイテムたち。武具や回復薬などの消耗品、フライパンなどの日常品、その他わけのわからないものがところ狭しと置いてあった。


壁に掛けられていたり、棚に置いてあったりと、整頓はされているようだ。


じゃなくて!


「これをどうしろと!?」


なんか回復薬に混じって滋養強壮剤とか、妙にヌルヌルする液体とか置いてあるんだけど…


「たぶん、ここは倉庫なんだろうな。このあたりは後回しにしたほうがいいかもしれないな。」


「そうかもね。でもできるだけはやく把握しておきたい。」


奥のほうでなんかガタッって物音がしてるから早くなんとかしたい。


…ほんとに大丈夫なんだよね?




――――――――――――――――――――――――――




「よし、一階の右側は回ったな。次は左側を回るとするか。」


「そうだね。右側はダイニングキッチンだったから、左はリビングかな?」


『さっそく開けてみるのじゃ。』


ここもキッチンと同じく大きな扉が付けられている。茶色でチョコレートのような感じがまたいい。


「よし、それじゃ―――おっじゃましまーす♪」


景気良く扉を開ける。瞬間、中から涼しい風が体をなでた。


そして目の前にひろがる快適空間。


大きな窓からは程よく日光が入り、ふかふかそうな三人掛けソファーが四角いテーブルの四方に置いてある。床には落ち着いた色合いの緑の絨毯が敷かれており、戸棚には様々な物が置いてある。


暖炉や簡易的なキッチンもあり、ここでお茶をすることもできそうだ。


そのなかのひとつが気になって近づく。


「なんだろう、これ。」


気になったそれは、深い青色をした拳サイズのクリスタルだった。クリスタルからは、先ほど感じた涼しい風が吹いている。


「それは、この部屋の空気を最適な温度にする魔道具の一種です。」


「へ?」


後ろを振り返ると、ついさっきまで別行動していたフィーが立っていた。その眼はなぜかとても活き活きとしていた。


「このお屋敷はすばらしいです。すべての部屋に魔道具が設置されていて、とても住みやすくなっています。特にこのお屋敷の中央にある『浄化クリスタル』は至高です。あのサイズならこのお屋敷全体の浄化を行ってくれるはず!」


「ちょ、フィー!?落ち着いて、何言ってるかぜんぜんわからないよ…」


「浴場に設置されていた『清水きよみずの女神』も素晴らしいです!あんなものがお目にかかれるなんて、メイド冥利に尽きます…。あ、他にもキッチンにある―――」


「だめだ海斗、聞いちゃいないぞ…」


「えー…」


まさかフィーがここまで興奮するなんて…。いったいどんなものがこの屋敷にあるんだ?


というか、僕らまだ一階の半分しか回ってないのに、フィーはもう全部回ったのか。


さすが『モスカル』のメイドさん。常識を平気で千切り捨てていくね…



予想以上に進まず、もう少し時間が掛かりそうです。


道具や新用語の解説はその話の最後に書くようにしようと思います。人物などについてはまた講座を開こうと考えています。


それにしても、倉庫にはいったい何があったのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ