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36、街案内をしてもらいました

「おお~これが『モスカル』の世界か。なんかワクワクしてきた!」


「…建物の造りが昔の西洋っぽい。ファンタジーゲームみたいでいい。」


「ねぇねぇ、あの高い壁ってなにかな?あ、今あっちで紫の光が見えたよ!」


「ほえ~。す、すごいですね。あの空に飛んでいるのってドラゴンですよね。」


「う~ん、海斗の香りがしゅる~♪」


城門から出ると、みんながみんなそれぞれの感想を口にしだした。こういう反応って、知っている人から見るとなぜかちょっと嬉しいよね。


「それでは改めまして。私はカイト様の専属メイドのフィー・クルーガーと申します。今日はみなさんに街の案内をさせていただきます。あ、もちろんカイト様には後で私は個人レッスンをグフフ。」


「いや、僕もみんなと一緒に案内してもらえればいいから…。あと姉さん、いい加減起きてよ。」


僕の服を口に入れている、現在お姫様抱っこ状態の姉さんから僕の服を引き抜く。引き抜く際、僕の服と姉さんの口の間に、銀色の橋が架かった。


…今度『僕の服は食べ物じゃない』ってこと、また教えておかないと。


「いいなぁお姉ちゃん。私もお姫様抱っこされたいな…」


今のは空耳に違いない。僕の妹がそんなこと言うわけないじゃないかハッハッハ☆


「それじゃあフィー、案内よろしくね。」


「はい、まかせてください♪」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――





「それでは早速案内させていただきます。まず、城門を出てすぐのところにあるのが貴族の方々が住まう高級住宅街です。平民の方は滅多にこのあたりを訪れません。」


「どのくらいの広さなの?」


「そうですね~この街の一割以下ですかね。ここは別荘という感じで、普段は自分の領地で暮らすかたが多いですね。」


「へぇ~」


フィーが手際よく説明をしてくれている。よかった、この調子なら問題なさそうだね。


僕もこの世界のこともっと知りたかったし、いい機会だから僕も楽しませてもらおう。


「それでは大通りを進んでいきましょう。住宅街を抜けると、市場があります。」


市場か。一昨日おととい僕が防具やら道具やらを買うときに寄った場所だな。


「はい、住宅地を抜けました。ここから先は、先ほどお話した市場が街の防壁まで続いています。ここは、商売を発展させたマリー・スウェルトにちなんで、『マリーさんの散歩道』と呼ばれています」


「散歩道か。のどかな感じがしていいな。」


孝があたりを見渡しながらつぶやいた。


「はい、その名のとおりここはとても治安が安定していて、いるだけで心が穏やかになるんです。」


街の人たちを見ると、確かに。みんな幸せそうな笑顔を見せている。


「仮にごろつきなどが入ってきても、この街独特のオーラのおかげでここでは何も悪さができないのです。」


なるほど、それじゃあ僕も姉さんたちからの避難所として活用しようかな?あれ、僕って天才?ついに最強の逃げ道を見つけ出したかも。


「ただし、スキンシップなどはできるのでご安心くださいカイト様♪」


ですよね~。そんなうまい話ないよね。あれ、目からウォーターが…



「みなさんは今後、何度もこの市場を訪れることになるでしょう。それではこのとおりにある主なお店をご案内しますね。」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――





それから、フィーに『マリーさんの散歩道』にある建物について説明してもらった。みんなの嬉々とした表情を見る限り、どうやら楽しんでくれたようだ。実際、僕も新しい店をまわるたびウキウキしてしょうがなかったしね。


まぁ、ゲームでよく利用するお店だけまとめると、こんな感じかな?




武器屋『イアン武器商会』


剣や槍などの王道なものから、トンファーやブレイドナックルなどの特殊なものまで幅広く取り扱っている大手の武器商会。最近、魔法ギルドと手を組んで魔武器の開発も行っているとかで、今いちばん注目を集めているところでもあるという。店長はエルフのメイヤ、通称『メイさん』性別は男。




防具屋『メリコット防具店』


創業224年の老舗しにせ。あらゆる職種に精通しており、どんな職業の人でも必ず最適なものが見つけられるという。「歴戦の勇士から主婦業一筋の奥さんまで最適なものを選ばせていただきます!」がモットー。実際、重戦士用の分厚い鎧から、奥様ご用達のエプロンまで種類は様々。さらに服なども売っているので、流行の発信地になることもしばしば。店長は人間のアルウィン、通称『アーちゃん』性別は女




道具屋『マリーの休憩所』


『マリー・スウェルト』が創ったモスカル初の喫茶店。自然をモチーフにした店内は、来た人を心の底から安堵あんどさせる効果を持っている。安くておいしいと評判で、お昼時は行列ができるほど。また、診療所や戦闘用・日常用の道具なども置いてあり、人々の生活に大きく関わっている。店長はケットシー(猫の姿をした二足歩行動物。人語を喋る)のマナ、通称『ニャスターさん』性別不明。





―――――――――――――――――――――――――――――





「いやーおもしろかったな。」


「うん、僕もちゃんと街をまわったのは今日が初めてだったから本当に楽しかったよ。ありがとうフィー♪」


「そ、そんな。わたしはただ、みなさんにこの街のことを案内しただけです。お礼を言われることなんて…」


「そんなことないって。あたしもなんかワクワクしたもの。特にあの猫さん、可愛かったわ~」


「…こっちでの生活が楽しみ♪」


「フィーさんはお礼を言われて当然のことをしたと思いますよ。」


「そうね、私もこの世界に興味が湧いてきたわ。」


「はうぅ~」


あはは、みんな完全にこの世界のとりこになってるな~。


ちなみに姉さんは喫茶店に寄ったときに『まさしく海斗天国!』とかいいながら起きたよ。ニャスターさん驚いてカウンターから落ちちゃったんだから…


さてと…


「それじゃあそろそろ目的の場所に行くとしますか。」


「なんじゃ主、行きたいところがあったのか?」


腰から、正確には腰に差している刀から声がした。ムラマサには、はぐれないようにという理由と、いざというときのために刀の姿に戻ってもらっていた。


…変身するときに服が消えたのには驚いたよ。


「今朝言ったでしょ、僕マイホームが建ったって。」


「「「「「何っ!?」」」」」


怖っ!?急に女の子が「何っ!?」とかいわないでよ…


なんかみんなブツブツ言っているけど気にしない。聞いてしまうと精神力が削られそうだ。


まぁ気を取り直して。


「それじゃあ新居にレッツゴー!!」


「「「「「オー!!!!」」」」」


…なんで僕よりみんなのほうがハイテンションなんだろうか。


もっと情景描写を入れようと頑張ったのですが、途中で力尽きてしまいました。ほかの方の小説を読むなどして知識を増やしていきたいです。


次回は海斗の新居がでてきます。いったいどんなものなのか。


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