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28、異世界ライフ2日目が終了しました

「まったく、姉さんたちにはホントに参るよ。」


宴会で使った食器を洗いながら、一人愚痴る。


「そりゃあさ、急にいなくなっちゃったのはよくなかったと思うけどさ、限度ってもんがあるでしょうが…」


いきなり「一緒に寝よう」なんて言い出すしさ…


「もうやんなっちゃうよ!」


「なにが嫌になるんじゃ、カイト?」


「うおわぁ!?」


急に後ろから声をかけられたので、声が裏返っちゃったよ。


…この喋り方は、


「王様、急に後ろから声をかけないでよ。心臓に悪いじゃないか…」


「ほっほっほ、それはすまんかったの。なにせ、一人でずっと大声で愚痴を喋っておったからどういう風に話しかければよいかわからなかったのじゃ。」


王様にそう言われて、僕は顔が真っ赤になったのが自分でもわかった。


「おお、まるで林檎りんごのようじゃの。」


「からかわないで恥ずかしい。」


まったくこの人は。本当に王様なの?


まるで学校の友人の相手をしているような気分になるよ。


「そんなことより、王様に伝えたいことがあるんだ。」


「うん?なんじゃ?」


「いやぁ、それがね。いろんな事情があって、5人ほど僕の友人がこっちの世界に来ているんだ。で、その5人も僕と同じくらいの待遇にして欲しいんだ。」


自分で言っていて、図々しいにもほどがあると思う。


でも僕が呼んだ手前、こっちの世界で不自由な思いはさせたくないし…


「なんじゃ、そんなことか。はっはっは、了解した。」


「え、本当にいいの?正直、断られると思っていたから…」


「たかが5人をカイトと同じくらいの待遇にすることなど造作もないことじゃ。」


やっぱこの人、王様なんだ。


たかが5人とはいえ、僕の待遇は最上級クラス。それを造作もないと言ってのけるあたり、王様の懐の広さが凡人とは違うことがわかる。


「ありがとう。今度何かお礼をするね。」


「ああよいよい、そんな気遣いは無用じゃ。これは、今日の料理の礼だと思ってくれ。」


VIP待遇を料理の礼で済ますあたり、やっぱすごいとしか言いようがない。


「それじゃあ早速部屋を用意せねばならんの。」


「ああ、それなんだけど、今晩だけでいいよ。それも僕の部屋を含めて2つで。」


王様が疑問符を浮かべている。


というか本当に王様の頭の上に『?』が浮いてる…


本当にあるんだこんなこと…


「なぜじゃ?いくつかわからぬところがあるぞ。」


「ごめん、説明不足だった。どうやら僕の家が今日、建ったらしいんだ。だから明日以降はそっちのほうで暮らすことになりそうなんだ。」


「なんと!一体だれがそんな神業を…」


王様が信じられないという顔をしている。


まぁ無理もないよね。だってたったの二日で、一軒の家が建ったって言うんだもん。普通は信じろってほうが無茶だよね。


「まあいろいろツテがあってさ。あははは」


ちなみにツテは神様です。まさに神業だね。


「ふむ、まぁよいか。それで今晩は二部屋でいいというのは?」


王様がもうひとつの疑問を僕に質問してきた。


「…それについては聞かないで。」


「おお、わ、わかった。」


僕は目に涙を浮かべながら答えた。


王様はそれ以上何も聞かないでくれた。


「まあ、事情はあいわかった。それじゃあさっそく部屋を用意するからの。待っておれ。」


そう言って王様はキッチンから出て行った。


「さて、残りも片付けちゃいますか。」


僕は目の前にある、洗いっぱなしの食器たちを洗い始めた。





――――――――――――――――――――――――――――――――





「さぁ海斗。わたしと一緒に夢の世界にいざ、レッツパーーリィーーー!」


「姉さん、なんかいろいろ混ざってるからそれ!」


部屋に戻った途端、姉さんが飛びついてきたので紙一重でかわす。


「ほら海斗、早く来なさい。そしてあたしの抱き枕になりなさい!ハァハァ」


「…海斗、おいで。ひ、膝枕してあ、あげ、あげ、る。」


「お兄ちゃん、わたし、恥ずかしいよ…」


「カイトさま~はやく寝ましょうよ~」


「あ、主、わしはいつでも、よ、よいぞ!」


「優奈は興奮しない!美琴は無理しなくていいから。志穂は恥ずかしいなら一緒に寝なくてもいいから。フィーとムラマサは服を早く着なさーい!!」


あ~もうなんなのこの状況は!みんな全然寝る気ないじゃん!


「海斗ったらもう。照れ屋さんなんだから♪」


後方から、床にダイブした姉さんの声が聞こえる。


「照れてるわけじゃないから…」


もうなんか疲れた。


異世界に来てから、一日をものすごく長く感じるようになったよ。


「まぁ冗談は置いといて。早く寝ましょ海斗♪」


「さっきまで本気で言っていた人が『冗談』とか言ってもなー」


信頼性がゼロです。


「もういいや。今日は疲れたから、もう、ね、よ―――」


そして予想通り、僕の意識はベッドにつく前に睡魔に飲み込まれた。


どうして僕の睡魔はこうタイミングが悪いのだろうか…



また海斗が変なところで寝落ちしてしまいました。これで海斗の異世界ライフ二日目は終了しました。しかし、それはあくまで『海斗』のです。まだまだ夜は続きそうです。


短編小説『未練を残して』を投稿しました。ジャンルは『ノンフィクションホラー』です。事実をそのまま書いてあるので、よかったら読んでみてください。


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