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27、修羅場になりました

いつもより若干長めになってしまいました。

いきなりだけど、今の僕の状況を簡単に説明しよう。


フィーと僕の関係を姉さんたちに疑われて、かなりピンチ…


もちろん、僕たちにやましいことなんて…ない…はず…


うん、ないね。そういうことにしよう。



ただ、フィーが僕の専属メイドであるなんてことがばれたら…


「で、海斗、この雌犬は一体だれなの?ん?」


「ね、姉さん、顔が近いし怖いよ?」


目が完全に笑ってない。口元は笑ってるのに…


だ、誰かに助けを求め――――


「しっかり答えてもらいましょうか海斗?」


「…逃げられないよ?」


「お兄ちゃん?私も気になるなー。」


(諦めな、海斗。これは脱出不可能だ。)


無理だ。だれも助けてくれる雰囲気じゃない。


ていうかたかし、もうアイコンタクトはいいから!


「さぁ海斗、白状しなさい。でないとお姉ちゃん、ナニするかわからないよ?」


「わかった、わかったから。話すから離して!」


姉さんが僕の脇に手を入れて僕を持ち上げ始めたので、とっさにそんな言葉がでてしまった。


ああ、どうしよう。


姉さんが僕を地面に置く、と同時に四人に周囲を囲まれた。


物理的にも精神的にも逃げ道を塞がれてしまった。


「さ、どういうことなのか、きっちり話してね♪」


なんとかして、うまい言い訳をしないと。


「えっと、その、この娘はね、友達…そう!こっちの世界でできた友達なんだよ!」


我ながらナイス言い訳。ちょっとそこ、ベタな言い訳だなって言わない!


「ふ~ん友達ね~。じゃあその『お友達』がなんで海斗の部屋で、しかも海斗のベッドで寝ているのかしら?」


ふぐっ!?痛いところを突いてくるな…


「えっと、今お城でさ、宴会を開いていてね。そのときにフィーがお酒で酔っ払っちゃってさ。で、そのまま寝ちゃったんだよ。ほっとくのもあれだったからさ、僕の部屋のベッドに寝かせたんだよ。」


お酒ではないが似たようなものだったし、嘘はついていないはず。


「…この女からアルコールの匂いはしない。」


「だ、そうよ海斗。」


やばいやばいやばい。本気でやばい。ここから巻き返せる気がしない。


僕が絶望に打ちひしがれていると、後方から扉を勢いよく開ける音がした。


誰か知らないけど、なんというタイミング!どうか王様であってくれることを祈る。あの人ならこの状況もなんとかしてくれるはず!







「おーいあるじ~。こんなとこにおったのか。って、なんじゃこの騒ぎは。」






開け放たれた扉の前には、黒髪和服美少女のムラマサが立っていた。


…ああ、さよなら僕の人生。君の役目はここで終わりのようだ。


「ねえ海斗。この雌犬は?って海斗?海斗!?」


「お兄ちゃん!?ちょっと、しっかりして!」


「…っ!」


「大丈夫海斗!?早くなんとかしないと…」


「おいおい、大丈夫かよ…」


ああ、ひいじいちゃんが見える。ひいーじーちゃーんー






――――――――――――――――――――――――――――――――――





「ねえひいじいちゃん。なんで僕はいつもこんな目に会うの?」


『それはじゃな、******だからじゃよ。』


「え、なんて言ったの?よく聞き取れなかった。」


『じゃから******だからなんじゃよ。』


「え、いまなんていったの?ねえひいじいちゃん。ねえってば。」





――――――――――――――――――――――――――――――――





「ひいじいちゃん………っは!?」


「ああ海斗、よかった~。ごめんね、お姉ちゃんいいすぎだったね。」


「お前が『ひいじいちゃん』を連呼し始めたときはマジでヤバイと思ったぞ…」


なんだ、さっきまでのは夢だったのか。


「しかし、さっきひいじいちゃんはなんて言ってたんだろう。」


「お兄ちゃん、その話はあまり思い出さないほうがいいと思う。」


「え、なんで?」


なんか腑に落ちないんだよね。最後、なにかを聞きそびれたような。


って、そんなことより。


「ごめんなさい!フィーやムラマサとは本当にやましい関係ではないんだ。フィーにはいろいろとお世話になっているだけで――――」


僕は姉さんに向き直り、ジャンピング土下座をした。


こんなことしても無駄かもしれないけど、やらないよりはマシなはず!


「ご安心くださいカイト様。もうそれについては解決しましたから。」


僕がさっきまでのことを弁解しようとしたら、後ろから聞き慣れてきた声がした。


振り返ると、さっきまでベッドで寝ていたフィーが身だしなみを整えて立っていた。


「先ほどは気を失ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。」


いつもの軽い口調とは違い、メイドらしいまじめな口調で、フィーは僕に頭を下げた。


「ああいや、気にしなくていいよ。それより、解決したってのは?」


「…海斗が目を覚ます前に、この子たちが説明してくれた。」


「うわっ!」


急に耳元で美琴がささやいたので、びっくりしてしまった。


「…海斗、可愛い。きゅんっ」


「可愛いなんて言わないで!それより、説明したって一体どんな内容だったの?」


すると、ずっとこちらのやりとりを壁に寄りかかりながら見ていた孝が口を開いた。


「まぁ簡潔に言えば、フィーは海斗の専属メイドでムラマサは海斗がいつも腰に差していた刀なんだろ。」


「ええ、そうですよ。」


「うむ、そのとおりじゃ。」


それにフィーと、ベッドに腰掛けていたムラマサが応える。


「え、それを君たち信じたの?普通信じられないでしょ。」


「まあ異世界だし、なんでもアリなんじゃないのかってことで収まったのよ。」


改めて僕の友人たちの順応力の高さに驚いたよ。


「でも姉さんたちはその、フィーが僕の専属メイドだってことには何もないの?」


怖いけど、一応確認してみる。いままでの姉さんたちからしたらフィーの存在は絶対許せるものじゃないはずなんだけど…


「そりゃあ、最初は「頭沸いてんじゃないの?」とか思ったけどさ?」


やっぱりそんなこと思ってたんだ。怖すぎる…


「でも、この子の話聞いてたらいくつか共感できる点もあってね。いつの間にか意気投合しちゃったから許しちゃった。」


フィーさん、その話術を是非僕にも伝授してください。


「…確かに気は許したけど、海斗の初めては譲らない。」


美琴さん、初めてって何?なんの話?


「大丈夫ですミコトさん。こっそりと奪いますから。」


フィーさん、最後は小さくてよく聞き取れなかったけど、何もしないよね!?


「でも、穏便に済んでよかった。それじゃあ僕はそろそろ片付けをしないといけないからキッチンにいくね。」


「あ、待って海斗。最後に一つ。」


扉から廊下に出ようとしたところで、優奈に止められた。


なに、僕もう隠し事なんてなにもないよ!


「「「「今日は一緒に寝なくちゃだめなんだからね!」」」」


「あ、もちろん私も一緒に寝ますよ♪」


「あ、主!その、わしも一緒に寝ても、いいじゃろうか…」


「そうだ海斗、俺の寝床もついでに用意してくれると助かる。」


「…まじですか。」


僕、今日寝れるかな?


あ、孝の寝床はあとでちゃんと用意しないと。



「美琴さんがヤンデレじゃない!」という人もいるかもしれませんが、彼女はヤンデレでも『純情』です。ぶっちゃけると『ヘタレ』です。可愛い系のヤンデレを目指して書いています。


そう考えると、海斗のお姉さん(果穂)のほうがヤンデレかもしれません…


あ、活動報告も投稿毎に書くようにしているので、よかったらそちらのほうも読んでみてください。


誤字・脱字等ありましたらコメントのほうによろしくお願いします。

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