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24、決意しました

僕は目の前に映し出されている映像に息を呑んだ。


『海斗、ねぇ海斗~。お姉ちゃんだよ~怖くないよ~何処行ったの~』


『お兄ちゃん…どうして…どうして私を置いて行っちゃたの!』


『ああ、海斗、あたしの海斗。どうしていなくなっちゃたの。』


『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』


『おい海斗!お前マジでどこ行きやがった!俺にこいつらを押し付けてどっかにいくな!』


画面には、姉さん、志穂しほ優奈ゆな美琴みことたかしが映されていた。


孝以外、目が虚ろで見ていて怖い。


『あはは、海斗のベッド、暖かい~』


姉さん、そんなわけないでしょう。


「アル、これは一体?」


「あなたがいなくなった後の彼らの状態よ。この映像はリアルタイムで映されているわ。」


「たったの二日でここまでなる!?」


さすがにおおげさすぎじゃない?


「いいえ、確かに今カイト君がいる世界では二日間しか経ってないけど、こっちの世界ではもう2週間近くの時が経っているわ。」


「え、なんで…」


「二つの世界では時の流れ方が違うのよ。まぁ定期的に遅い方と早い方が入れ替わるから結果的には同じなんだけどね。」


そうだったのか。僕は元の世界ではもう2週間も行方不明なんだ。


「でもそれにしたってこれは…」


まともなのが孝しか残っていない。


「まぁ普通はね。でも、いなくなったのはカイト君なのよ。こうなっても仕方ないわね。」


「『愛され体質』のせいか…」


こんなことにまで影響してくるとは。


「どうにかできないの?」


さすがにこのままじゃまずい。なんとか対処方法を模索もさくしないと。


特に女子4人がまずい。


このままだと精神が完全に壊れてしまう。


孝もこのままじゃストレスでおかしくなっても変じゃない。


「…ひとつだけ方法があるわ。この5人をあなたが今居る世界、『モスカル』に召喚することよ。」


そういえばあの世界ってそんな名前だったっけ。


「…リスクは?」


それだけで簡単にこの状況を打破できるとは思えない。なにか代償が必要なはず。


「あなたは今後、束縛、監禁、薬漬け、その他ここでは言えないようなことをされる可能性が非常に多くなるわ。」


ぐぅ、やはりそういうことになるのか。


普通はありえないことだが、あの4人はやりかねない。というか日常的にやろうとしてきたし…


「せっかく安全だった所をあえて危険な場所にするのよ。それでもカイト君はやるの?」


アルは真剣な眼差しで僕にそう言ってきた。


確かに僕は危険に晒されることになるかもしれない。


薬漬けとか、正直勘弁してほしい。


けど、


「こんなことになってるのは、僕のせいだ。だったら僕が責任を背負うのが道理ってもんでしょ。」


はっきりと、僕はアルに向かってそう言い放った。


「…わかったわ。それじゃあ意識が戻ったらすぐに『異世界召喚』を実行してね。」


「わかったよ。」


今回ばかりはふざけてられないからね。







閑話休題







「さ、これで悪い話はおしまい。次はいい話よ♪」


アルはまた軽い口調に戻り、僕の暗い気分を吹き飛ばしてくれた。


正直、とてもありがたかった。


「むふふ、惚れ直した?ねぇ惚れ直した?」


「惚れてないから。あと勝手に人の心を読まないで!」


まったく、こんな人が神様で本当にいいのかな?


「それじゃあ次はいい話ね。」


アルは少し間を空けて、






「なんと、私とカイト君が念話でいつでも会話できるようになりました!」




………



「それだけ!?」


いい話がそれだけって…割に合わないよ…


「なによ~とっても大切なことよ。それに話はまだ終わっていないわ。」


「今度はなにさ。」


またくだらないことを言うつもりなのかな。







「なんと、カイト君のマイホームをこの私アルティナが作っちゃいました~」






「まじで!?」


「まじよ。ちゃんとキッチンも完備してあるわよ。」


すごい。まさかこんな夢のマイホームを持つことができるとは。


「ありがとうアル!で、どんな家なの?」


「まぁまぁ慌てない。まぁ大きさはそれなりにあるわよ。でもお城みたいにバカでかいわけじゃないから安心していいわよ。場所はこの紙に書いたからあとは自分の目で確かめてみてね♪」


「あなたは神か!?」


「創造神なんだけど…」


これは早く見てみないと。


「あ、そろそろ時間だわ。それじゃあ現実世界に戻すわね。」


アルが僕に手をかざすと足元が光だし、体が沈みはじめた。


「あ、そうだ。謝りたい事なんだけどー」


そういえばそんな話もあったな。


でもいまならなんでも許せる気がする。もう気分最高だからね。


体はどんどん地面、もとい雲に沈んでいく。









「ユ〇ク〇のTシャツ落としてごめんね~」


やっぱりあんたが落としたんかい!


そんな僕の言葉は、残念ながらアルには届かなかった。



どんなことでもかまわないので、感想を書いていただけると嬉しいです。


誤字・脱字等ありましたらコメントのほうへお願いします。



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