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17、妖刀の正体は幼刀でした

投稿遅れました。すいません。

「カイト様、そこに正座してください。」


「…はい。」


僕は今、専属メイドであるフィーに正座させられている。まさに下克上だね。


まぁそんな冗談はおいといて、


「あの、フィーさん、どうして僕は起きてそうそう正座させられているのでしょうか?」


いろいろあって僕はついさっきまで気絶に近い睡眠をとっていたりする。そのため、まだ意識が朦朧としていて、現状がつかめない。


「その前にわたしの質問に答えてください。」


僕のそんな現状確認の意味を含めた質問は、ことごとく打ち砕かれ、逆に質問の回答者にさせられてしまった。


こころなしか、フィーの目が怖い。なんというか、そう、まるで蛇に睨まれた蛙みたいな気分だよ。


「では、質問します。」


なんか高校の面接のときを思い出すよこの言い回し。あと、フィーの声もなんか怖い…


「カイト様はなぜこんなところで寝ていたのですか?」


「それは…気づいたら眠っていたって感じかな?」


「なぜ疑問系?」というフィーの言い分はもっともだが、実際そうとしか言いようがなかったのだ。


「そこに倒れているクラスターレックスはカイト様が仕留めたものですか?」


そういうとフィーは、僕の寄りかかっている白竜、もといクラスターレックスを指差す。


「えっと、そうだけど…」


なんかまずかったかな?


「…最後の質問です。カイト様、その腰に巻きついている少女は一体誰ですか?」


「へ?腰に巻きついているって…」


質問の意図がわからず、自分の腰に目を落とす。






「むへへ~あ~るじ~♪」





腰になんか幼女が巻きついているんですけど…


はっ、思い出した。


「フィー、この娘のことは僕も知らないんだ。気づいたらいたというかなんというか…」


「…カイト様、嘘はいけませんよ?」


「本当になにも知らないんだって。お願いだからそのナイフを僕に突き付けないで!!」


フィーの得物であろう8本ナイフのひとつが僕の首元にあてられている。洒落になってない。


「では、この子に直接聞きましょう。貴方は一体何者ですか?」


フィーが笑顔で幼女に質問する、が、目は笑っていない。すごい怖い。


というかフィー、幼女にたいしても容赦ないね。


すると幼女は僕から離れ、フィーに向き合った。


「わしの名はムラマサ。カイトの得物であり、昔からの馴染みじゃ。」


「「え?」」


ムラマサって、え?どういうこと?


「ついさっきまで、わしは刀の姿だったのじゃが、くらすたーれっくす?の血を吸ったおかげで晴れて

人間の姿になれたのじゃ。」


………


まずい、余計混乱してきた。


「えっと、つまり君は僕がさっきまで使っていた妖刀『村正』で、人間の姿になれるようになったと?」


「まぁ簡単にまとめるとそういうことじゃな。」


う~ん、さすが異世界。ついに武器の擬人化まできたか。竜の血ってそんな効果があるんだ…


というか僕の刀って『妖刀』じゃなくて『幼刀』だったってこと?


まぁそれはおいといて


「えっと、武器の姿には戻れるの?」


「もちろんじゃ、ほれ。」


そういうとムラマサは光を出し始め、やがて元の妖刀の姿に戻った。


そしてまた幼女の姿になった。


「どうじゃ、これでわしのことはいいかの?」


「う~ん、まぁ僕はいいけど…」


僕はフィーのほうを見る。


フィーは難しい顔をして、やがて


「ムラマサちゃん、あなたが何者かはわかりました。ですが、」


フィーは少し間をおいて


「カイト様に抱きつく権利はわたしにもあるんですからね!」


そういいつつ、僕に抱きついた。


「なっ、主に抱きついてモフモフしていいのはわしだけじゃぞ!?」


「ふっふ~ん、その権利はわたしにもしっかりあるんですからね。」


「ぐぬぬぬ」


「あ、あの~僕をほっといて僕に抱きつく権利について争われてもこま―――」


「「カイト(様)は黙っておれ(ください)!!」」


…理不尽だよね。


「…わかりました。でしたらこういうのはどうでしょう。」


フィーはムラマサの耳元に何かをボソボソとつぶやく。


その途端、ムラマサの顔に満面の笑みが浮かぶ。


「いい案じゃの!その話、乗った!!」


「ふふ、カイト様協定成立ですね♪」


僕をのけ者にして、勝手に僕のなにかについて協定が結ばれたようだ。


気のせいか、僕の尊厳がまたひとつ、消し飛んだ気がしてしょうがない。


「ま、まぁ、話もまとまったみたいだし、クエストを再開しようか。」


「あ、カイト様、キノコなら私がすべて集めておいたので大丈夫です。カイト様はそのクラスターレックスの首をギルドにお持ちかえりください。ついでに私もお持ち帰りしてください。」


「この竜の首を持っていくと何かあるの?」


最後の一言はもちろんスルーする。


「…無視しないでくださいよ~。首は持ち帰ってからのおたのしみです。」


フィーがジト目で僕に意味深そうなことを言ってきた。


「じゃあ、クエストもクリアしたみたいだし、帰りますか。」


「わかりました~。さぁさぁ早く帰りましょ~♪」


「了解じゃ主。では行くとしよう。」




………




「あの、フィー、ムラマサ?その、歩きづらいんだけど…。あと匂いをかがないでお願いだから。」


腰にムラマサ、背中にフィーが抱きついてきている。


「ふえぇ~カイト様~いい匂いです~」


「はぁはぁ、あるじ~♪」


…返事がない。ただの変態のようだ。



母さん、僕もう、諦めたよ…

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