16、久々に戦いました
いよいよ海斗の本領発揮です。ではどうぞ。
森の中は意外と明るく、移動が楽だった。
「しっかしすごいなこれは。」
まわりを見渡すと、そこらじゅうにキノコ、キノコ、キノコ。
茶色いものから緑色、果てには虹色なんてものまである。
というか虹色って、絶対毒だよね…
「まぁ、キノコならなんでもいいって話だし、とっとと採取してフィーと合流しよう。」
キノコの群生している一本の木の根元に降りる。
ちなみに僕はさっきまで、木の上を移動してきていたりする。
「どれにしようか。お、これとか真っ赤でいいかも。なんか大きくなれそうだし。」
そういってキノコに手を出そうとした途端、
『キシャーッ」
という奇声が背後から聞こえてきた。
振り向くとそこには、
「うわぁお…」
人の頭くらいの大きさのハエがこっちに向かって飛んできていた。
しかも50匹ほど。
「こ、これが魔物か。って悠長に構えている暇はなさそうだね。」
僕は『村正』に手をかけ、抜刀の準備に入る。
魔物が僕に鋭爪を振りかざすか否かの瞬間、
「草影一刀流、壱の太刀、『落葉』」
僕は抜刀と同時に、先頭にいる魔物の腹を真一文字に斬り裂いた。
さらに刃先から斬撃を飛ばし、後方にいる魔物を爆散させた。
「ふぃ~、まぁこんなものかな。」
一瞬で片付けた魔物の残骸を見て、僕はそうつぶやいた。
「いやー魔物に草陰一刀流が効いてよかった。効かなかったらちょっとまずかった…」
魔物の血を払い落とし、『村正』を鞘に納めようとしたそのとき、
『グルルルルッ」
と低い唸り声のようなものが聞こえてきた。
「もう、今度はなにさ。」
そういって唸り声のほうを見ると、
「…まじですか。」
そこには12メートル級の白いトカゲ、もといホワイトなドラゴンがこちらを睨みつけてきていた。
「さすがにでかすぎでしょ!」
というかこのクエスト、初心者用でしょ?なんでこんな強そうな奴がでてくるのさ。
「まぁもういいか、そんなことは。」
僕は先ほどとは違い、『村正』を完全に抜刀した状態で体の正面に構える。
「これだけ大きいと『落葉』じゃ無理だしな~。」
やっぱあれを使うしかないのかな。
「でもあれ痛いしな~どうしよう~」
技の選択に迷っていると、目の前にいる白竜が口を開いた。
「!あぶなっ。」
嫌な予感がした僕は、バク宙の要領で後ろに高く跳んだ。
瞬間、白竜の口から銀のブレスが吐かれ、僕のいた場所は
「こ、凍ってる、だと…」
さすが異世界。普通じゃありえないことが平気で起こってるよ。
「やっぱやるしかないのか…」
油断するとまずいと悟った僕は、おもいっきり地面を蹴り、竜の懐に一瞬でもぐりこんだ。
危険を感じたのか、白竜は僕と距離を置こうとする。けど、
その速さじゃ、僕には勝てないよ。
「草影一刀流、参の太刀『雪桜』!」
竜の腹を斬り、足を薙ぎ、翼を削ぎ、腕を叩き、尾を切り刻み、そして頭を両断した。
その間、わずか0・5秒。3分間クッキングより早いよ♪
鞘に刀身を収めると同時に、白竜は草木の上に倒れ伏した。
「くぅ~やっぱきっついな~。」
僕は竜の亡骸に寄りかかるようにして座り込んだ。
「この技、脳の安全リミッターを解除するから体じゅうボロボロになるんだよね…」
って僕は誰に説明しているのやら。
実際、体中の鈍痛がその痛みを僕の脳に電気信号で伝えてくる。
「ふわぁぁぁ、やっぱり力使いすぎたかな?急に眠くなって――――!」
視界が虚ろになってきて睡魔に屈服する寸前に、僕は一気に目が覚めた。
いや、覚めてしまった。なぜなら
「なんか『村正』が光始めたんだけど!?というかまぶしっ!」
『村正』が青白い光を出し始めたからだ。
なんかものすごく輝いてるんだけど。目、目がぁー!
やばい、このままだと某大佐みたいになっちゃう。
『村正』の光は、僕が怯んでいる間にさらに輝きを増していく。
そして、
「ふぅ~、やっとこの姿になれたのじゃ。」
何者かの声が聞こえたと同時に輝きがなくなった。
目を開けると、そこには黒髪和服幼女が立っていた。
その子は僕の目をまっすぐに見据えて、
「腰に巻きついてもいいかのぅ主殿?」
堂々とセクハラをしてきた。
なんなのこの子は。主殿ってどういうこと?あとなんで爺言葉?
というか腰に巻きつきたいって、一体この子は何を言っているんだ!?
僕の頭の中は疑問符だらけになり、やがて
「う~ん…」
「うん、主殿?ちょ、どうしてこの場で寝てしまうのじゃ、おい!」
意識が薄れていき、睡魔に屈服した。
あ、キノコ集めてないや…
感想、受け付けています。どうかよろしくお願いします。




