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15、初めてお仕事を受注しました

「まぁ、こんなものかな。しっかしフィーさんや、本当にこれ全部買うの?」


『メリコット防具店』を出た僕たちは道具屋に立ち寄り、回復アイテムなどを買い漁っていた。


「もちろんです。カイト様の身になにかあったら困ります。主に私の心が死にます!」


ちなみに『メリコット防具店』で金貨を出したら半泣きされた。本当にすいませんでした。


「だからってグリム一万個は大げさすぎだよ…。」


そして現在、3軒目の道具屋でグリムという緑色をした液体を大量に買い込もうとしている。


グリムとは、薬草を煎じて作られた回復アイテムだったりする。(フィキペディア参照)


「ほら、店長涙目になってるしさ。せめて50個くらいにしとこうよ。」


「むぅ、わかりました…」


フィーはしぶしぶながら了解してくれた。


よかった~。もしあのまま一万個も買っていたらどうなっていたのやら…


「そのかわり、今夜も一緒にお風呂に入りましょうね。」


よかったはずなのに、またひとつ不安要素が増えたよ。


あれ、目の前がかすんで見えないや。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「いやぁしっかし、ずいぶん買ったな~」


僕のインデックスのなかには、フィーの買い込んだアイテムでいっぱいになっている。


あとで整理しとかないと。


ちなみに、ここは戦士ギルドのフードコートだったりする。


ちょうどお昼時だったので、近くにあったここで昼食を取っていたのだ。


味のほうは…ご想像におまかせします。


「さて、まだ時間はあるしどうしようか?」


現在、僕の腕時計の短針は午後2時のところを差している。


「そうですねぇ~。食後の運動にクエストを受けるのはどうですか?」


「そっか、ここでは依頼が受けられるんだっけ。」


「はい。なかには危険なクエストもありますが、カイト様のランクですとそこまで危険なものはないので安心かと。」


僕のランクは最低辺のF。まぁ、昨日入ったばかりの新人だから仕方がないんだけどね。


「よし、それじゃあさっそくクエストを受けますか。」





――――――――――――――――――――――――――――――――――






「…ねぇフィー。本当にこれしかないの?」


「はい。ランクFで受けられるクエストは今現在これしかないですね。」


「まじで?」


「まじです。」


なんだかなぁ。最初はやっぱこういうのしか受けられないのか…


まぁこの際しょうがないか。


「よし、それじゃあこのクエストにするか。」


僕はボードから依頼書を剥ぎ取り、カウンターに向かった。


「すいません、『キノコ採取』のクエスト受けます。」


いくぜ、すべてのキノコが僕を待っている!







―――――――――――――――――――――――――――――――――






城の城壁の門をくぐると目の前には緑豊かな森、通称『クラストの森』が広がっていた。


「よ~し、狩りまくるぞ~!」


森を見た途端、妙にテンションがあがってきた。これが異世界パワーなのか?


「ふふ、その意気です。」


僕の半歩後ろでフィーが微笑む。うぅ、なんか恥ずかしい。


「さて、キノコ狩りをするのはいいけど、どんなキノコを採ってくればいいの?」


自慢じゃないが僕は野生のキノコの知識は皆無だ。


……本当に自慢にならない。


「今回の依頼は初心者の方がクエストに慣れるためにギルドが発行しているものです。ですからキノコ類ならなんでもいいんですよ。」


「それはなんとも」


本当に練習用みたいなクエストなんだ。


「そのかわり20個以上採らないことが条件ですけどね。採り過ぎると森の生態系に悪影響がありますから。」


こっちの世界でも自然環境に対して、きっちりルールを決めているんだ。


「わかった。それじゃあ僕は西のほうで探すから、フィーは東のほうに探しにいってくれないかな?」


「ふぇ?」


あれ、なんか変なこと言ったかな?


「え、あ、いや、わかりました。それじゃあ私はこっちにいきますから。なにかあれば念話でお伝えください。」


「あ、うん。それじゃあまたね。」


そういって僕は森に入っていった。ちょっとフィーの態度が気になるけど…










「神様のばかー!森の中でいちゃつく位の贅沢が私にあってもいいじゃないですかー!」


そんな声が森中に響いたのは僕が森の中に入っていってから数分後のことだったりする。



今回は少々短めになってしまいました。


次回でいよいよ海斗の実力が明らかになります。ご期待ください。


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