14、お買い物をしました
町には人が溢れかえっており、ものすごい熱気をだしていた。
「うわぁ、すごい活気だな。今日はお祭りかなにかなの?」
「いいえ、いつもこんな感じですよ。まぁ、ここの通りはちょうど商業の盛んなところなのでこんな感じなんですけどね。」
「へぇ~そうなのか。」
通常でこれってかなりすごいな。まるで町中の人がここに集まっているみたいだ。
「ここでは屋外に店を持つのが普通なの?」
通りを見ると、店を開いていると思われるところは、ほぼすべてが出店のようになっている。
「基本的にはそうですね。でもやっぱり自分の店を建てるのは商人たちの夢らしいですよ。」
一軒の店を持つのは、商人にとって一種のステータスなのか。
まぁそれはいいとして
「それじゃあまずは、防具と服を買いにいこうかな。」
「それでしたら『メリコット防具店』がおすすめですよ。あの店は防具だけでなく普通の服も売っていますし。」
「よしそれじゃあまずはそこにいこうか。」
僕に装備できるものがあればいいんだけど…
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「つきましたよカイト様。ここが『メリコット防具店』で~す♪」
「おお、ここが…」
行き交う人ごみのなかを掻き分けてきた先にそれはあった。
石をベースにした造りで、見た目はデパートを中世風にした感じの佇まい。
見ていてなぜか落ち着く、そんな感じが―――
「ほらカイト様ーはやくはやくー」
僕のそんな感想は、フィーの催促で無残にかき消された。
いいじゃないかたまには。こういう風に感想いだいても…
ほらそこ、中二病っていわない!
「ああ、いま行くー」
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「いらっしゃい~。」
店に入ると奥のほうからのんびりした口調で店員の決まり文句が聞こえてきた。
「ほらほらカイト様、早く服を選びましょうよ~」
「わ、わかったからひっぱらないで。」
店内は明るく、所狭しと防具や服が並んでいる。アクセサリーもあるみたいだ。
鎧は重戦士用のゴツイものから、レンジャーが着るような軽いものまで幅広くあるようだ。
さて、一体何にしたらいいのやら。
「カイト様、これなんていかがでしょうか?」
そういってフィーがいつの間にか手に持ってきた服は
「フィー、それは僕が着てはならないものだよ。」
メイド服&ひらひらワンピースだった。
ねぇ、おかしくない?なんで女性物なのさ。せめて男性用を持ってきてよ。
「え~絶対似合いますよ。」
「いやいやいや似合っちゃまずいからねっ!?」
主に男としての尊厳がなくなっちゃうよ。
そこの人、なくなってもいいんじゃないとか言わないでよ…
「僕としては動きやすい服装がいいな。あ、もちろん男用で。」
刀が主要武器になりそうだから服が軽いほうがなにかと楽なんだよね。
「そうですね~。それでしたらこれなんてどうですか?」
そういって渡されたのは
「こ、これは…」
某有名洋服店のロゴが入ったTシャツとジーパンだった。
「なんでこっちの世界にユ〇ク〇の服があるのさ!?」
ここホントに異世界?
「いや~たまに空からこういうものが落ちてくるんですよね。」
なんで空から服が落ちてくるんだ…
「ん、タグのところに名前が…」
服を吟味していると、タグのところに名前らしきものをみつけた。
そこにはマジックでしっかりした字で『あるてぃな』と書いてあった。
「あいつの私物じゃないかー!!」
なに地上に自分の服とか落としてんのあの女神。というかなんでひらがななのさ。
「急にどうしたんですかカイト様?」
フィーが驚いて目を丸くしている。
「ああいや、なんでもないんだ。」
もういいや、とりあえず自分で選ぼう。
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「ふわぁぁ。カイト様、お似合いですよ~。」
「あはは、ありがとうフィー。」
結局僕は着慣れた和服をチョイスした。
上は白緑の地味なもので着脱可能な肩当と胸当て。お腹にはさらしを巻いている。
下は紺の袴で腰の帯に『村正』を差している。
「いや~やっぱり和服が一番だな。」
この世界にも和服があってよかった、と心の底から思う。
ちなみに家では普通の格好である。さすがに毎日は着てないからね。あくまで修行のときだけだから。
「よし、防具はこれでいいとしてあとは似たようなものを何着か買えばいいかな」
僕は結局、和服上下各3着+木綿でできた洋服上下各3着を買うことにした。
「それじゃあわたしも買っちゃいますか。」
そういって僕とは別のカウンターに向かったフィーの手には、先ほど僕に着せようとした服がかけられていた。
うん、あれはきっとフィーが自分で着るためだろう。うんそうだ、そうにちがいない。
『えっと~合計で銀貨1枚です~』
そんなことを考えているうちにどうやら会計が済んだようだ。
ていうか安っ!上下あわせれば12着あるのに、たったの1万円相当か。
…おつり出てくるかな。金貨1枚からで…




