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13、お小遣いを貰いました

「さて、カイトよ。昨日の活動報告と今日の予定を教えてくれぬかの?」


朝食を終えた僕たちはその場でしばらく雑談をしていた。


「別にいいけど…それって毎回しなくちゃいけないの?」


「いや、その必要はない。ただおぬしがこの世界でうまくやっていけそうか聞いてみたかっただけじゃ。」


う~ん。楽しそうな世界ではあるけど、愛され体質の効果が倍増されてる気がしてならない。


まぁとりあえず報告しておきますか。


「昨日は王城を出た後、戦士ギルドにいって登録をしてきたよ。魔物との戦闘に慣れるためにね。そのあと城に帰ってきて、夕飯作って食べてお風呂に入って寝たよ。」


なんか後半部分、元の世界の日常と大差ないんだけど…


「で、今日は城下町に行って、装備を整えるつもりだよ。」


ちなみに今の服装は、学校の制服、腰に妖刀『村正』。以上。


さすがに心もとない。せめて剣術用の和服を持ってこれたら良かったのにな~。


「ほほぅ、戦士ギルドに入ったのか。なかなか良い目をしておるでないか。」


「いや、戦士ギルドをおすすめしてくれたのがこの娘(こ)なんだよ。」


そういって僕は隣に座るフィーの頭を撫でる。


「うんみゃ~カイト様~♪」


「そのメイドはなかなか優秀なようじゃのう。」


「うん、とってもいい娘だと思うよ。」


僕は素直にそう応えた。


昨日の夜、フィーが僕に何をしたのかは考えないことにした。




「それじゃあ僕たちはそろそろ行くよ。朝食に誘ってくれてありがとう。」


席を立った僕とフィーは王様に礼を言って、その場から立ち去った。


「これこれ待たぬかカイトよ。」


しかし回り込まれてしまった。


なにこの人、一瞬の間に僕の目の前まで移動してきたよ!?


いろんな意味でこの人が本当に王様なのか疑わしくなってきたよ。


「おぬし、装備を整えるのはいいとして金はどうするのじゃ?」



………



あ、すっかり忘れてた。



「仕方のないやつじゃのう。ほれ、少ないが持ってゆけ。」


そういって王様は懐から子袋を出して、僕に手渡した。


中をのぞくと金貨らしきものがぎっちり入っていた。


「その中に金貨300枚入っておる。それで装備を整えるといい。」


え、300枚?日本円に換算すると…


「さ、三億円…」


ちなみにこの世界の物価はりんご一つ銅貨一枚、100円前後の価値。(フィーの豆知識、通称フィキペディア参照)


「ちょ、こんなに貰えないよ!」


「そう遠慮するな。これくらい子供の小遣い程度じゃろ。」


いやいや小遣いってレベルじゃないよ。


「と、とりあえず三枚だけ借りるよ。絶対返すから。絶対返すからね!」


大事なことなので二回言った。


僕は袋から金貨を三枚だけ握って、制服のポケットにそっといれた。


そして王様の言葉が返ってくる前に、僕とフィーはその場を全力疾走で逃げ出した。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――







「はぁっ、はぁっ。な、なんとかなったか。」


「はぁっ、はぁっ。カイト様~いきなり走らないでくださいよ~」


僕とフィーは今現在、城の正門を出たとこにいる。


王様の不意を突いて逃げてきたのでさすがに追いつかれることはなかった。


「ふうっ、さて今の時刻は午前10時。そろそろお買い物に行くとしますか。」


「はい、お供します。」


城下町がどんなところか楽しみだな。


「…あの、フィーさん?」


「はふぅ~なんでしゅか~」


「暑い…」


ちなみに僕の腰にはフィーが巻きついている。しかも今は夏。


腰だけ異常なほど暑い。


「暑いのですか?むふふ、わっかりましたー!」


フィーが目を輝かせながら僕の服を脱がそうとする。


「あ、ちょ、やめ―――い、いやー!」


父さん。僕、この世界でうまくやっていけるのかな?

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