目的から手段へ
「シュート、二周目に行くにはミスがゼロじゃないとダメだってさ」
鉄男がファストフードのシェイクを飲みながら僕に言った。
「どおりで!何回やっても一周で終わっちゃうんだ」
僕はコーラの入ったカップを握りしめ、ストローを噛んだ。
「俺さ、シューティングゲームで高得点取って上位に食い込むのが目的だったのに、いつのまにか、それがレイバー乗りになる手段にすり替わっちまって……」
鉄男が遠い目をした。
「僕もだ。僕も目的が手段になってる」
僕は鉄男の目を真っ直ぐ見据えた。僕にとって鉄男はいいライバルであり同時に同志でもあった。
「攻略法がわかったなら、実際に攻略するっきゃないな」
僕らはシューティングゲームを再開した。
もう、嫌と言うほど同じ戦いを繰り返していたから、敵の次の動きが簡単に予測できた。僕の苦手な局面で意識を集中して乗り越える。一周目のエンディングが流れ、ついに二周目が始まった。
僕は舌なめずりをして、二周目に突入した。
「シューティングゲームは卒業だな」
「ああ」
僕と鉄男はほぼ同時にクリアした。
「レイバーに直結するVRに乗ることになりました」
4課の仲間に報告すると拍手をもらった。僕は照れ臭く、嬉しかった。
「無人搭乗で遠隔操作をするタイプと、搭乗員ありで、補佐の役割に回るタイプがあるよ」
「搭乗員に万が一がないように、はじめは遠隔操作のタイプでやってみようか」
僕はVR装置に乗り込んだ。ゴーグルとヘッドギアを装着した。
ヘッドギアには電極が組み込まれていて低く、ブーン、という音が響いていた。
バチっ。
途端に目の前が真っ暗になる。
「大丈夫かな?」
ショートしたのか?




