プロジェクト進行中
「お?どうした、シュート」
会議室の前で待っていたら、ようやくお偉いさんと兄貴が出てきた。
「みんなが、兄貴を兵役に取られるって言ってるよ!どういうこと?」
僕の叫びにお偉いさんと兄貴は顔を見合わせ、失笑した。
「兵役なんかにとられないさ。ところでリサは?」
「飛び出して行ったきりだよ」
「よっぽどショックだったのかな」
兄貴は頭をぽりぽりかいた。
「シュートはゆうきまさみさんのマンガのパトレイバーって知ってるかい?」
「知らない」
「人型ロボットイングラムを操縦して、工事現場とかで作業するんだけど、悪さしたら、警察の特車二課?だかのパトレイバーが出張っていく。それを操縦してる女の子が主人公で……」
「それがどうしたの?」
「今度レイバー開発に携わるプロジェクトが立ち上がって、レイバー乗りを探さなきゃなんないんだ。まあ、あらかた目星はつけてあるけどね」
「マンガの話じゃないの?」
「SFは現実になるのさ」
「じゃあ、本当に危ないことないんだね?」
「ああ。あったりまえじゃないか」
兄貴は僕の頭をくしゃっとなでた。
「オールマイティなヤツと発展途上なヤツを何人か集めてレイバー開発を手伝ってもらう。もちろん報酬はいいし、自慢できる仕事だぞ」
「ふうん」
「お前、他人事みたいにしてるけど、お前も白羽の矢が立ってるからな」
「えっ!?」
僕は素っ頓狂な声をあげた。




