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覚醒  作者: 星野☆明美
3/10

姿勢を正しく

リサ師匠はボルダリングをやっていた。

「シュートもやってみる?」

頭上から声が落ちてくる。ついでに僕も落ちそうだと思ったので、遠慮して、兄貴を探した。

しゅー、ひゅー。

吊り輪をやってる!

すごいなぁ。一通り連続技をみる。

僕は腕力もないし、到底無理だ。

「いきなりウルトラcなんて、だれもできやしないよ。ちょっとずつできるところからやってくといい」

兄貴が僕に声をかけた。

「うんていとか棒上りとか」

「どうしても身体動かさなきゃだめですか?」

「何もしないで何でもできるようにはならないと思うわよ」

いつの間にかリサ師匠が近よってきていた。

「まず、普段から姿勢に気をつけて、自分の手足の先まで意識して」

なかなかコツがつかめない。もどかしい。僕は癇癪を起こしそうになるのを必死でこらえた。

「ダンスとかもいいかもね」

そんなんで本当にシューティングゲームが上達するのか疑問だった。

イヤイヤやってたら、リサ師匠も気づいたらしく、もう何も言ってこなくなった。

「君の世界を広げるための道具と援助は揃ってる。あとは君の心次第だ」

半べそをかいて逃げるように帰る僕の背中に兄貴の声が響いた。

今は、無理だ。できない。僕は世界から爪弾きされてるんだ。悔しくて本当に涙がボロボロ出てきた。

ひとしきり泣きじゃくって、外の空を見上げた。広い大きな世界。そしてちっぽけな僕。あっけらかんと嫌だという気持ちが消え去って、僕は何を嫌がってたんだろうと、さっきと真逆のことを思った。

「リサ師匠!兄貴!ごめん。やっぱり最初から教えて!」

施設に飛び込んでいった僕を二人は暖かく出迎えてくれた。

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