山登り
今日、僕は不幸なことに登山に来ている。
大して仲の良くもないクラスメートに、無理やり付き合わされたのだ。
当然僕は断ったのだが、同調圧力で来るハメになった。
こういうケースは本当によくある。
「はぁ……、はぁ……」
僕は……、山登りが、嫌いだ……
何故、わざわざこんな辛い思いをしてまで山に登らなければならないのだろうか?
健康に良い? 癒し効果がある? 美容に良い? 絶景を楽しめる?
そんなのは別に他の方法がいくらでもあるだろう。
山である必要を感じない。
むしろ山にはデメリットが多い。
足腰への負担は健康を損ねる可能性だってあるし、高山病になる可能性もある。
滑落する危険もあるし、遭難の恐れや、熊やイノシシとの遭遇するという危険性もある。
それだけリスクがあるというのに、あえて山を選ぶメリットは少ないと思う。
可能性は低いと思う人もいるかもしれないが、リスクというのは一定確率がある時点で問題なのだ。
近所を散歩するのと山登りとでは、死ぬ可能性に大きな差がある。
そんなリスクを冒してまで山登りで得られるメリットなんて、ゴミのようなものだ。
大げさと思うかもしれないが、命がかかってるのだから決して大げさではない。
そんなことを言っていたら色々なことができなくなるだろうって?
少なくとも山登りをしなくても、人生において何も損はないのだから、僕はやらないことを推奨する。
本当に、山ガールだとか登山者だとかいう人種には関わりたくない。
だというのに……
「おーい! おせぇぞ!」
うるさい! 人を無理やりこんなことに付き合わせておいて、なんて言い草だ!
そう言い返してやりたかったが、そんなことを言うとさらに僕の立場が悪くなりかねないため黙っている。
その分、僕は心の中でヤツのことを罵倒しておいた。
景色は好きです。歩いて登らないのであればギリギリ許せます。
ヤマビルは嫌いです。




