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幼女勇者チーちゃんの異世界奮闘記 ~限界ロリコンアラサー女がオリキャラ幼女に転生した結果 ><~  作者: オフィ


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54/206

Lo54.ま、まさかあなたが敵だったとは!?

 ダンジョン内でナメクジを倒した後、突然謎の田舎の田んぼ空間に転移してしまった私。

 そこには割烹着かっぽうぎを着た狐耳のお姉さんがいたのでした。


 私は突然現れた謎のお姉さんに話しかけます。


「あの、ところでお姉さんは何者でしょうか?」

「くっくっくっくっく……」

「あのー……なんで不気味に笑いながら近寄ってくるんですか?」


 じりじりと近寄ってくる狐耳のお姉さん。次の瞬間、お姉さんが消えたと思ったら背後からガバッて抱えられました。


「引っかかったな! うちは敵や!!」


 な、なんと! 衝撃の展開です!!

 ダンジョンの中で出会った狐耳お姉さんは敵で、私はまんまと掴まってしまったのでした!!


「ぐ、ぐわー! やられたー! これから私はどうなってしまうのかー!」

「めっちゃ棒読みやん」

「あ、自分的には迫真の演技だったんですが……」

「急に素に戻るやん」

「うぅ、すみません……」


 私の演技力がお気に召さなかったのか、狐耳のお姉さんはパッと私を手放してしまいました。

 当然ながら、手放された私はべちゃんと地面に転びます。扱いが雑です。


「それにしてもあんた警戒心無いなぁ。簡単に掴まるやん」

「私は警戒心めちゃくちゃある方ですよ? ただ、私の警戒心は可愛い女の子と狐耳のお姉さんには発揮されないので……」

「え、うちが敵じゃないと見破ったとかそういうのやないん?」

「うーん、どうでしょう。あなたが敵だった場合も行動が変わらない気がします」

「なんでやん?」

「だって、謎空間に突然拉致されて私一人で敵とタイマンになった時点で『詰み』じゃないですか。私に出来るのはせいぜい媚びを売って命乞いをするくらいです!」

「めっちゃ情けないことを堂々と言うやん」


 情けないかもしれませんが、私一人には全く戦闘力無いですからね。どうせ戦って死ぬくらいなら、媚びを売って敵の温情を買う方がいいじゃないですか。

 というわけで、既に私は降参モードなのです。まぁ、このお姉さんが本当に敵には見えませんけどね。


「まぁええわ。実際うち、敵やないし」

「あー、そんな感じだと思いました。ケモミミですし!」

「どんだけケモミミに信頼置いとるんや。まぁ、あんたがうちに襲い掛かってくるならそれも面白いと思ったんやけどねぇ」

「えっと、そんな蛮族みたいなことしませんよ?」

「いや、普通の冒険者やったら突然拉致られたら『ここはどこだ!?』『貴様は何者だ!敵か!?』『怪しい術を使いやがって!元の場所に帰せ!!』みたいなこと言うやん」


 はえー、そっちが冒険者のテンプレ対応なんですか。血気盛んなんですね、冒険者って。

 あ、私も冒険者でした。つい最近なったばかりのピカピカの初心者いちねんせいですけど


「思っとった感じの反応返ってこんかったから、敵モードは終了やで」

「……あ、もしかして対応次第でガチでボス戦になるところでした?」

「今からボス戦やってもええけど、どうせあんたは土下座して降参するやん?」

「……よく分かりましたね。命乞いの準備は出来てます!」

「いや、開幕土下座の構えやめーや」


 私がいつでも土下座できるように両足を揃えて正座して、指を着いて待ってるとお姉さんから制止を受けました。それにしても対応次第で戦うことになるんですか、この謎の狐耳のお姉さんと。回避できてよかったです!


「ところで話は戻りますが、結局お姉さんは一体何者なんでしょうか?」

「ん? 言わんでも薄々勘づいとるやろ?」

「あー……んぅー、薄々分かってますけど、堂々と言って外したら恥ずかしいので……」

「うわー、予防線引きまくりやん。とりあえず外しても馬鹿にせんからうちの正体当ててみ?」

「あ、はい。えと……『ぶいちゅーばー』の方ですね?」

「はいどーもー♪ 冒険者のみんな、今日もダンジョン潜ってるかな? 早速だけど、異世界実況配信やっていこうと思います♪……ってやっとらんわ!」

「ノリツッコミありがとうございます!」


 どうやらこの狐耳のお姉さん、ぶいちゅーばーの方では無かったようです。動画配信とかしない方ですかぁ。しかしノリが良かったので感謝。こんなにビジュアルも声もいいのに配信ないのは勿体ないですね!


「まぁ自分から言うのもなんやけど、うちの正体は『神様』やん」

「ええっ! 神様だったんですか!? へへー(平伏)」

「すぐ信じるやん。さては気付いとったやろ?」

「あ、はい。すみません」


 はい、正直そんな気はしてました。ヒントは既にあったんですよね。レベルアップのシステムボイスそっくりの声に、ダンジョンの石板カシャカシャに描かれた絵にそっくりの容姿。

 これで無関係の敵だったらビックリですよ。


「うちは宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。豊穣の神様や」

「おお、お稲荷(いなり)さんですね!」

「よく知っとるやん」

「オタクですので!」


 こう見えても創作系のオタクなので、日本神話くらい知っています。ギリシャ神話や北欧神話も大好物ですけど、やはり日本人のオタクとしては日本神話は抑えておくべきでしょう!

 宇迦之御魂神は別名『お稲荷さん』とも言われて全国で信仰されている有名な日本の神様なんですよ?


「そしてこの空間はうちの領域、言うなれば【神域(しんいき)】とでも言うべき場所なんよ」

「しんいき! すごい!」

「周りが田んぼなのもうちのイメージやな。豊穣神やからこういう空間になるんよ」

「神域ってダンジョンの中とは違うんですか?」

「似たようなもんやけど、強いて言うならダンジョンは公共空間で、神域はプライベートゾーンみたいなもんやんね」

「なるほどー……ふしぎですね」

「理由考えずに思考停止しとるやん」


 まぁ、そういう不思議空間なら仕方ないですね。そういうものなので。


「あの、それで何故私は貴方様の神域に召喚されたのでしょうか?」

「くっくっく……なんやと思う?」

「えっ、それもクイズなんですか? むぅ……」


 またもやクイズを出されました。神様はこういう「人に問いかける」系の行動が好きなんですかね? 上位種みたいな感じです。神様だからね、仕方ないね。


 ふむ、推理してみましょう。ダンジョンのボスを倒して良い感じにレベルアップしたタイミングで神様からの呼び出し。そして呼び出された場所が【神域しんいき】とかいうなんか凄いパワースポットっぽいところ。


 ……これってもしかして、物語ではよくあるパワーアップイベントなのでは?(期待)


「パワーアップイベントですね!(確信)」

「そんなもんないで?」

「え?」

「そんな都合の良いことあったらおもんないやん?」

「えー……」


 違いました。パワーアップイベントはありませんでした。ご都合主義はないみたいです。


「じゃあ何故私はここに召還されたのでしょうか?」

「普通にお話しよかなーとおもただけやん」

「アッハイ。よろこんでー」

「喜んでーとか言うとる割に目が死んどるやん」


 だってこういうときの「お話」ってイコール説教のことじゃないですかー! 分かってるんですからね! こういうところだけ経験豊富なので!!

 言っておきますけど、私は無罪ですよ! ロリコンですけど、まだ犯罪はしていません! ……多分ね?(目そらし)


「そんなシュンとせんでも別に怒らんて。むしろようやっとると思っとるで」

「そ、そうですかねぇ?」

「まぁ、ほとんど行き当たりばったりで適当な割にはようやっとる」

「それって本当に褒められてます?」


 まぁ、振り返ってみると行き当たりばったりが多すぎますね。計画性皆無。それでもなんとかなってしまうのは、まぁぶっちゃけ運ですよ。


「きっと私はめちゃくちゃ運が良いんですねぇ」

「プラス思考はええことやんな。うちから見るとそんな運良くないように見えるんやけど」

「はて……なんか運悪いことありましたっけ?」

「認識しとらんの強すぎやろ」


 神様も呆れてます。はい、まぁぶっちゃけ運そこまで良くないんですけどね私。ソシャゲピックアップガチャは基本的に天井いきますし。

 今回の異世界転生でも、いきなり山の中でハンガーノックで倒れたり、野生の鹿に殺されかけたり、最初の村が滅んでたり、冒険者モヒカンに絡まれたり、ナメクジの体液を飲んだり、運が良くない部分も多少はあったかもしれません。


 でもよく考えてください……なんやかんやありましたけど、今自分がロリの姿になってロリと一緒に旅をしてるのはもう幸運を使いきってませんか?

 運が良いとか悪いとか、そういう次元を越えてますよ。たぶん私、今が一番運が良いです!


「ホンマちょっと変わった子やね。アワシマちゃんが選んだ勇者なだけあるやん」


 ふぉ? アワシマ様とおっしゃいましたか。

 アワシマ様は私を異世界に呼んだ張本人ですよね。


「アワシマ様とはお知り合いなのですか?」

「まぁ神様やしな。まぁちょっと話長なるからお茶でも用意するわ」

「わーい」


 そういって私はうかのみたまのかみ様(名前長い)に招かれて、お茶を頂くことになったのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます 薄々神と気づきながらVTuberとか言ったんか しれっとダンジョンが神域であるっていう後々重要そうな情報でできてる 一人だけだし神様呼びでいいのでは?
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