Lo3.仕方がないのでお父さん棒に頼ります。お父さん棒という名称に卑猥な意味は一切ありません。いいね?(迫真)
あれから何度もアワシマ様に呼びかけましたが、返答がありません。あの神様、既読スルーするタイプの神様でしたか。もしかしたら未読スルーかもしれません。
どちらにしろ、もう私にご加護をくれる気は無いようです。
なろう系によくいる何故か主人公にぽんぽんチートをくれるチョロい謎の神様と違って、とても厳しい幼女です。
でも嫌いにはなれません。私はロリコンなので。
これからもあなたを信仰いたしますので、どうか見捨てないでください。
ところであのなろう系にいる謎の神様って地球の神様とか名乗ってること多いですけど、キリスト教の神様なんでしょうか? よくわかりません。
あんなよくわからない存在に都合よくチートを貰うとか、よく考えたらめちゃくちゃ怪しくないですか?
悪魔の契約か何かですか?
その点、アワシマ様は名前からして日本の神様ですし、なんか古事記とかに出て来そうな由緒正しき名前の響きがあります。知ったかぶりですけど。
私は幼女を信じます。見た目クリーチャー系のどろどろ幼女ですけど。
とりあえず、どうしようもないので自力で何とかするしかありません。とはいっても、サバイバル知識ゼロのなまっちょろい現代人の私に何が出来るでしょうか?
ちなみに先ほど魔法が使えるかどうか試してみました。なんせ魔法のある世界らしいですからね。ちょっと期待したくもなるものです。
……はい、結果は非常に残念なものでしたけどね。
「ファイア」とか「ウォーター」とか唱えたんですけど何も出ませんでした。
ドラ〇エ世界だと思って「メ〇」とか「ヒ〇ド」とかも唱えたんですけどそれも駄目でした。
詠唱が必要かと思って「黒〇」とか「ドラグスレ〇ブ」の完全詠唱も一言一句間違わずに唱えたんですけど、それも駄目でした。
とても残念な結果です。
どうやら版権作品に厳しい世界のようです。この世界独自の魔法を教えてもらうしかないのでしょうか?
……しかし、さっき〇棺の完全詠唱したときの私の声が可愛かったです。現世のアラサーの私では出せないロリ声でした。
今すぐASMRで録音して何度もリピートしたいです。幼女の黒〇ASMR、絶対需要あると思います。まぁ、パソコン無いんですけどねこの異世界。
でも録音する魔法具とかありそうです。いつか探し出してみようと思いました。
……さて、いつまでもここでうだうだしてても仕方ないので歩きますか。東西南北どの方向に歩いたらいいのか見当もつきませんけど。
とりあえず小腹が空いたので、美味しい果物とか都合よく生っているところを目指したいです。もしくは人里とか。しかしどちらに向かえばいいのでしょう……
はっ!? そういえば今の私はケモ耳ケモしっぽのある獣人幼女のチーちゃんです!
こういうときは人間に無い鋭敏な感覚が何かをキャッチしてくれるかもしれません!!
獣人イヤー発動!
耳を澄ますと小鳥さんの鳴き声が聞こえます。
獣人嗅覚発動!!
くんくん嗅ぐと森の爽やかな空気が鼻腔をくすぐります。
……駄目です。何も分かりません。
やはり私は獣人幼女では無かったようです。地衣類で苔の娘でした。
種族設定がフワフワしてたのが仇になりましたね。チーちゃんはチーちゃんなので。見掛け倒し乙です。
ついでに中身も幼女じゃなくアラサー女です。中身詐欺乙です。
ですが、この状況でも希望はあるかもしれません。先ほど、あれほど神様に懇願して土下座までしたのに『お父さん棒』を1本貰っただけで放置されたということは、逆説的に神様が「まぁこれくらいなら死なんやろ」と思っている証拠です。
多分そう、きっとそうです。私はアワシマ様を信じます。
未読スルーされているだけかもしれませんが。
ハッ!? もしかして私がアワシマ様に嫌われていたとしたら……?
初対面からアワシマ様のどろどろの身体を見て「えっちだな」って思っていた私です。もしその邪な感情がバレて罰として森に放置されたとしたら……
有り得そうで怖いです。嫌わないでくださいアワシマ様! 信仰しますので! 私の渾身のアワシマ様のちょっとえっちなイラストを描いて神棚に捧げます!!
……いや、それやったら本気で嫌われるかもしれないので、本人の確認は取りますけど。
Vtuberにも叡智な絵がウェルカムな人と苦手な人がいらっしゃいます。そういう場合は本人の意思を尊重します。
まぁ、公開しないときでもムラムラしたときは描いてるんですけどね、清楚系Vtuberの叡智絵。
今はハードディスクの墓場に眠っています。
規約違反の特級呪物なので、このまま永遠に誰の目にも触れることなく眠っててください。
とりあえず、私はアワシマ様から唯一貰った『お父さん棒』を拾います。うん、確かな重みを感じます。
若かりし頃のお父さんが四国お遍路に使っていたという伝説の巡礼用金剛杖……略して『お父さん棒』。
何十年も経ったのに未だにしっかりとしたヒノキの感触が手に馴染みます。これが私の相棒です。
……棒だけに相棒、なんちゃって(クソ寒ギャグ)
なんかこの棒を握りしめると、不思議と元気が湧いてきます。長さ130cmの勇者の初期装備。
身長108cmの今の私にはとても大きく感じますが、この長さがかえってカッコいい感じがします。
【同行二人】という言葉があります。
あまり一般の人には聞き慣れない言葉かもしれません。
意味は、四国お遍路を一人で巡る際に、この金剛杖を弘法大師空海さんに見立てて、二人で旅をするということを同行二人と言います。
私も一人で旅行をするときは隣に推しの幼女がいることを妄想しながら旅をしたことがあります。ロリと一緒に同行二人、素敵な妄想ですね。
しかし、この棒はあくまでお父さんがかつて使っていた『お父さん棒』。幼少期からの刷り込みでお父さんのイメージが拭えません。仕方ないので、このお父さん棒をお父さんに見立てて旅をすることにします。
遠い遠いお空のお父さん。どうか見守っていてください。
お父さん、別に死んでないですけど。むしろ死んでるの私ですけど。
さて、お父さん棒と同行二人するに当たってまずは進むべき道を決める必要があります。
方角すらわからない完全に詰んだ状態ですが、神様のご加護によりお父さん棒が手に入った今、出来ることがたったひとつだけあります。
それはーー【棒占い】!!!
棒占いとは、棒を立てて倒れた方角に進むやつです。
進む道は運任せ。
私は運は良くも悪くも普通程度なので、ならばせめてお父さん棒の力を貰って運命力を高めます。
正しく棒占いをするにはランダム性が必要です。最初から傾いた状態で棒が倒れるなら、確率も偏ることになり、棒占いの信頼性が薄まる恐れがあります。だから私は慎重に棒を真っ直ぐ立てます。
お父さん棒は見事に地面に対して垂直を保ち、棒の先は天を突いています。
……おかしいですね? ただ棒を立ててるだけなのに、何故かえっちな表現に聞こえます。
お父さんの棒、長くて大きいです。
……何言ってるんですか、私は?
こんなことを考えてると、アワシマ様のご加護が無くなる気がします。棒しか貰ってないですけど。
それはともかく、棒占いです。アワシマ様から貰ったこの棒なら、必ず正しい道を示してくれると信じてます。私は慎重に垂直に立てた棒から、余計な振動を与えないようにそぉっと手を離しました。
私の支えを失った棒はほんの少しだけ体勢を保ったと思いましたが、やがてぐらついてゆっくり倒れていきます。地面でこぼこですからね、倒れるのは当然です。
もし奇跡的にバランスが釣り合いそのまま立ったままでしたら、行先はお空の先にあるということで垂直に天を上らなければなりませんでした。
【空島編】が始まらなくてよかったです。
……空島はあったろう?
ワンピース姿の幼女もそうさ! 実在する!!!(それは普通に実在する)
そんなことを思ってると何故か棒は私の方向に倒れてきました。
ゴツン!
ぁ痛った!?
棒が私のおでこに直撃しました。ぶったね……お父さんにもぶたれたことないのに!! ぶったのお父さん棒ですけど!!!
ううう、私が変なことばかり考えてるから、アワシマ様の罰が当たったのかもしれません。
おでこを擦りながら、私は言います。
「と、とりあえずこの方向に進めばいいんですね! 分かりました、アワシマ様!!」
天に向かって話しかけたけど、返事がありませんでした。ううう~、アワシマ様は意地悪です。どうせどこかで見てるんでしょう!?(疑心暗鬼)
私はおでこを擦りながら、棒が倒れた方向……すなわち私の立っていた方向に歩きだしました。
……ただ歩く方向を決めるだけなのにどんだけ時間かかってるんですかね、私?




