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第286話 咲人の大学生活

 大学生になった俺、は体育学部に所属している。授業の内容は高校時代の体育より複雑化し、スポーツ医学やスポーツ心理学等の専門的な授業が多い。

 普通にアスリートとして参考になる内容も多いけれど、思っていたより頭を使う。ただそんなに単位を取るのは難しくないらしい。

 卒業後に目指す就職先次第では、講義にさえ出ていればサクサク進級をしてけると先輩達から聞いた。

 単位云々はともかくとして、スポーツ医学はもう少し本格的に学んでおきたい。健康的な生き方について、色々と知る事が出来るから。

 今日も朝から講義に出席する為に、教室へ早めに来ている。美佳子(みかこ)と連絡を取りつつ適当に時間を潰していたら、一哉(かずや)が入室して来る姿が見えた。


「うーす咲人(さきと)! 今日も早いな」


「まあね、遅刻はしたくないから」


「相変わらず真面目だねぇ」


 高校1年生の頃からずっと軽いノリだった一哉は、大学生になってからも変わっていない。むしろより自由に羽ばたいている様に思う。

 まだGW前だというのに、早くも3年生や4年生の女性達と交友関係を持っていた。変わらぬ行動力には感心するしかない。

 ただ彼氏持ちと知らずに行ってしまい、トラブルにならないか若干不安だ。少なくとも一緒に居る範囲では、それなりに注意してはいるけど。


 大学での俺は一哉の他に、和彦(かずひこ)夏歩(なつほ)と共に過ごす事が多い。一哉と幼馴染の2人は、結構簡単に仲良くなった。

 夏歩は学部が違うので、一緒に居ないタイミングもあるけれど。基本的にはこの状態に、プラス和彦の3人組で居る。

 いつも通り適当に一哉と雑談をしていたら、和彦も少し遅れ気味にやって来た。


「2人ともおはよう」


「おーす!」


「おはよう和彦」


 少し遅くなったのは、多分夏歩と登校して来たからだろう。いちいち聞かなくても何となく分かる。

 高3の冬ぐらいから、2人はそれなりに良い感じの関係だ。付き合ってはいないけど、ただの幼馴染や友人というには無理がある。

 元々俺から見れば2人はお似合いなのだから、収まるべき所に収まったという事だろうね。

 高校で野球を頑張っている和彦を改めて見て、夏歩も色々と思う所があったのだと思う。

 あとはもう、いつから付き合うかって所じゃないかな。今度こそは上手く行って欲しいと願っている。


「なあなあ、GWどっか行かね?」


「良いけど、俺は野球部があるからなぁ」


「陸上部はどうする気なんだよ?」


 唐突な提案をして来る所も変わっていない。ちょっと遊びに行くぐらいなら、まあ出来るかも知れない。

 ただ美佳子との時間も欲しいってのも本音ではある。一緒に住んではいるけれど、そういう事じゃなくてね。

 陸上部の練習とバイト、そして婚約者との時間。このバランス取りが結構難しいと感じている。

 確かに高校の時より自由な時間は多いけれど、それは時間の使い方が自由だと言うだけ。


 やる事とやりたい事が決まっていると、思っていた程に自由とも言い難い。常に決まったスケジュールの中で、忙しなく動き続けている。

 多分俺が全部をやろうとしているからで、そこまで忙しくない学生の方が多いのだろうけど。

 1年生から学業とスポーツにバイトと、更には妊活までこれからやろういう人はそう多くはないだろうし。


「彼女も一緒で良いからさ!」


「いやまだ夏歩は彼女じゃ……」


「ん~~まあそれなら良いか」


 美佳子も連れて行って良いなら、俺としては特に異論はない。というかその集まりの場合、恐らくは一哉が連れて来るであろう女性が辛いのでは?

 他は全員顔見知りで、既に親交が十分積み重ねられた間柄だ。そういう事を気にしない相手と出会ったって事だろうか?

 まあ何も考えていない筈もないし、多分大丈夫なのだろう。そういう気遣いが出来ない奴でもないしなぁ。

 帰ったら美佳子を誘っておこう……って、日によっては配信が被るのでは? そこだけはハッキリさせておきたい。


「なあ一哉、行くとして何日だ?」


「そうだなぁ、3日でどうだ?」


「ああ、それなら野球部も休みだ」


「うーん……うん、多分美佳子も行けるかな」


 5月3日の配信スケジュールには、夜の配信しか予定されていない。前後数日の予定を見る限り、恐らくは普通に夕方まで休むつもりだったのだろう。

 何かの打ち合わせでも入っていた場合は残念だけど。まあ帰って聞けば済む話だし、後で良いかなその話は。

 それよりもどこで何をするかだよ。あんまり帰るのが遅くなるのは困るからな。美佳子の配信に支障が出たら不味い。

 海に行こうぜ! とか言われたら断るしか無くなってしまう。俺にも多少ながら遊びたい気持ちだってある。

 普段から忙しい分の、息抜きというか気分転換は必要だ。それも出来るなら気の知れた相手である方が望ましい。


「一哉、どこに行くんだ」


「とりあえずボウリングとか、カラオケ辺りで良いか?」


「ああ、そういう感じね」


 わりと無難なプランだったので安心した。一哉が連れて来る予定の人は、まだそこまで親密な相手ではないのかな?

 無難で定番のデートを目的としているのだろう。というのは昔に一哉から教えて貰った事だけどさ。

 先ずは複数人で遊ぶ所からスタートして、親密な関係に発展させていくらしい。女性を落としに行く恋愛をやった事がないから、俺とは一生縁が無い話だ。

 恋多き男達は、色々なテクニックを使っているからモテるのだろう。そんな感じでGWの予定について話しつつ、俺達は今日の講義を受けて行った。


 昼食を済ませて陸上部の練習に参加して、バイトが無い日はそのまま美佳子との時間が待っている。

 充実していると時間の経過を早く感じるもので、1日の始まりから終わりまでがあっという間だ。

 毎日忙しいし大変だけど、友人達にも恵まれ最高のパートナーも居る。こんな環境に居られる事に感謝しながら、GWに入ってからも変わらず積極的に行動を続けた。

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