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第248話 園田マリアとレオナ・バレンタインの結婚相談所

 一度目の結婚相談所企画が結構な人気を博したので、二度目の企画が早くも行われる事となった。

 予定通り園田(そのだ)マリアとVB(ブイビー)所属ライバーの組合せで2回目も行われた。今回はインターネットメンタルケアラーであるレオナ・バレンタインがゲストだ。

 銀髪のシスターと、青髪の女医が並んで画面に映っている。既に配信は1時間を超えており、時刻は21時を過ぎていた。

 平日ながらも視聴者ランキングで、10位以内に入る程にリスナーが集まっている。

 今回もリスナーから送られて来たスペックを見て、異性として有りか無しかの判断が行われる。


「ボクは有りかな~細マッチョって良いよね」


「私は微妙だなぁ。もうちょっとゴツイ方が好き」


綾森豪志(あやもりごうし)理論はNGって最初に言われたやろwww』

『い、一応好みの話だから』

『ホンマこの女医』

『私は言いたい事分かるなぁ』

『太い腕にぶら下がるのはやってみたい』


 今リスナーアンケートが取られているのは、体育会系の細マッチョな20代の男性だった。

 会社員をやりながらテニスをやっているレオナのリスナーで、服装から漂う爽やかさがリスナーにも好評だ。

 リスナー達の判断は8割が有りで、2割が無しという結果となった。やはり爽やかな大人の男性というのは大きかった。

 続いて紹介されるのは再び男性なのだが、どちらかと言えば投稿に対する注意喚起の意味合いがあった。

 この企画では、必ず写真に加工を加えて送る様に決められている。どこで悪用されるか分からないので、顔は隠して下さいと美佳子(みかこ)は周知していた。


「この人さぁ、前回も無加工で送って来たんだよね。今日はボクが加工したけどさぁ。何? 顔に自信があるって事?」


「あ~~そういうタイプね。次から加工無しは自信ありと判断して良いんじゃないかしら?」


『うわないわー』

『少なくとも服装にセンスは無い』

『雰囲気イケメン系?』

『微妙そうだなぁ』

『30代半ばでこのムーブは痛くない?』


 前回もルール違反で送って来た男性であり、念押しの意味も込めて紹介された。学歴も職歴も年収も平凡で、恋愛経験も1人だけという男性だ。

 服装にあまり大人らしい落ち着きが感じられず、30代にも関わらず大学生の様な格好だった。

 ルール違反も含めてトータルのイメージが微妙で、マリアとレオナは揃って無し判定となる。リスナーアンケートも無しが約7割となっていた。


 何とも言えない男性の紹介は終わり、お次は女子大生からの投稿だった。現在2回生のモデル体型ではあるものの、性格が内気で積極的にはなれないらしい。

 同級生の男子に好意を持っているので、OKを貰えそうか知りたくて応募したのが動機だった。

 ついでに脈アリかどうか、判断する方法が無いかという相談もセットだった。これについては先日、田村美沙都に教えた方法を伝授する美佳子。


「最近健康に気を遣っててさ~、私って脈拍を測るの超上手いんだよね~。あ、○○君のも測らせて~って言いながら相手の脈を測れば良いよ」


「あはははははは! ダイレクトだなぁ~。でも女子がやるなら有りかぁ」


『脈アリ(物理)』

『これがオタクに優しいギャルですか?』

『童貞ワイ、そんな事されたら好きになっちゃう』

『でもそれ消極的な女子がやれる?』

『お酒の席ならワンチャンいけるかも?』


 当然ながら美佳子ほど積極的ではない美沙都なので、そんなスムーズな行動には移せなかった。

 物凄く中途半端な結果となり、とても成功とは言えない。しかしその様子に何かを思ったのか、柴田聡(しばたさとる)の方から質問が入る。

 思わず本音をポロリと零してしまった美沙都の不器用な告白に、聡が応えて付き合う事になったのが真相だ。


 元々両想いだったのもあって成功で終わったが、この方法は大人しい女子には少々厳しい。ただ直接的かつ手っ取り早い方法ではある。

 好きでもない女子から急にそんな事をされても、普通の男子は拒否をするか困惑をするだけだろう。

 しかし異性として見ている相手がやって来たのであれば、大体の男性はそんな事をされれば脈拍が早くなる。


「え~そんなに難しいかなぁ? デートにでも誘って2人きりの時にやるだけだし。皆の前でじゃないよ?」


「そのデートに誘うのが、先ず勇気いるって事じゃない?」


『そうそうそう』

『言うて女子から誘うのって楽そうだけどな』

『男からの方がキツイって絶対』

『相手によるくない? 超人気者とかなら女子からでもキツイ』

『デートぐらいは気楽に行こうや』


 相談者の容姿云々よりも、異性をデートに誘う難易度についての議論が集中してしまう。

 そこでデートすら断られたら、結局ノーチャンでは? というレオナの発言により議論は終了。

 元の話に戻しつつも、このスペックだったらデートぐらいは行けそうという結論に落ち着く。

 マリアとレオナの両方が有りと答え、リスナーアンケートも8割が有りだという結果に。

 大人の女性達による応援も最後に追加され、女子大生の投稿については区切りがついた。次の紹介を用意しつつ、マリアとレオナの雑談が挟まる。


「マリアも彼氏出来たしさ~羨ましいよね~皆恋をしてて」


「うちは恋愛OKの事務所だから、レオナも好きにしてくれて良いよ」


『流石は社長自らが交際宣言をする事務所』

『ぶっちゃけ公言してくれる方が助かる』

『裏でされるよりも良いよな』

『でもガチ恋は死ぬで』

『ガチ恋が多いエイラはやばそう』


 美佳子の方針として、ライバー達に恋愛を禁止にしていない。自分だって結婚したかったし、メンバーにも余計な強要をしたくはないからだ。

 それに最初から宣言しておけば、変なガチ恋勢はつきにくい。ここ数年では公言するVtuberも増えている。

 ファンに黙って裏でやるから炎上するのであって、ライバーが堂々としていれば話はまた別だ。


 恋人が出来たらリスナーに教えるというスタンスも、既に一部では定着しつつある。

 結婚式も配信をして欲しいと願うリスナーも居るぐらいで、Vtuberの文化も色々と変化をして来た。

 美佳子と咲人が結婚する時には、本当に配信でやる未来があるかも知れない。しかしそれについては、まだまだ先の話である。

※補足

美佳子の提示した脈アリ確認(物理)ですが、あくまで恋愛経験が浅い学生同士を前提として教えています。

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