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第234話 東咲人の甘え方

遂に小説家になろうだけで、本作は30万PVを突破しました! 本当にありがとうございます!

 咲人(さきと)が退院してから、今までと咲人の様子が少し違う。一言で言い表すなら、とても可愛い。

 多分和彦(かずひこ)君の真似をしなくなったからかな? 料理をやっていたり掃除をしていたり、そういう時は職人っぽくてカッコイイ。

 だけど完全にオフモードの時は、頭がおかしくなりそうなぐらいに可愛い。咲人って、本来はこんなに可愛い男性だったんだね。

 今も咲人は、ボクを後ろから抱き締めて密着している。こうしていると落ち着くらしい。なんだそれ、可愛過ぎない?


美佳子(みかこ)って良い匂いするよね」


「え、そ、そう? 酒とタバコの匂いしか、しなさそうだけど」


「その向こう側にあるんだよね、良い香りが」


 もちろん体臭には気をつけてはいるけどね? ボクも33歳になったし、加齢臭とかそろそろね。

 スキンケアと同様に、匂いのケアには注意をしているつもり。女性は大体40歳ぐらいから、加齢臭が出始めると言われている。

 だけど40歳になるまでは、絶対に大丈夫って意味じゃない。むしろ30代に入った内から、しっかりと意識をしておく必要があるよ。

 シミやそばかすと同じで、若い間からしっかりとケアをしておかないとね。女性ホルモンが減っていくと、加齢臭が発生し易くなる。

 ホルモンバランスについて、意識するのも大切な要素だよね。まだおばさん臭くはない筈だけど、良い匂いかはちょっと分からない。


「最近の咲人、結構積極的だよね」


「……嫌だった?」


「嫌じゃないよ!! もっと構って!」


 それはもうウェルカムだけどね、もっと沢山ボクに構って下さい。沢山甘やかして、一杯愛でてくれて良いからね!

 咲人がこうして一杯構ってくれる分だけ、嫌な夢を見る回数が減っているから。ボクのメンタルケアも兼ねて、もっと積極的になって頂いて結構です!

 でも本当に最近の咲人が、とっても可愛くて仕方がない。ボクって年下好きだったのかなぁ?


 年上のオジサン好きではないと分かっていたけど、こっちの方向性は思わぬ適正だったなぁ。

 普段は優しくて頼りになる、そんな咲人が甘える姿を見せてくれる。実に良いと思うんだよね。

 事故の事は絶対に一生許さないけど、咲人がこうなったのは大きな収穫だよ。甘えてくる咲人が可愛くてたまらない。


「そっか、じゃあ続ける」


「ねぇ、咲人。もう映画観てないよね?」


「美佳子だってそうじゃないの?」


 最初は自宅のリビングで、ソファーに座って映画鑑賞をしていた筈。それが今となっては、ただイチャついているだけになっている。

 正直ボクも今となっては、映画の内容がどうでも良くなって来た。そんな事よりも、甘えてくれる咲人を見ていたい。

 もっと沢山甘えて、もっと沢山構って貰いたい。辛い事があったからこそ、こうしてまた一緒に居られる幸せが良く分かる。

 咲人と過ごす時間が、何より尊いものだと実感出来ている。そこから自然な流れで、2人してソファーの上で横になる。

 大きめのソファーだから、2人で並んでも狭くない。でも広々という程に、隙間が出来る事もない。繋いだ手から、咲人の温もりを感じる。


「咲人ってさ、大人っぽくなったり可愛くなったり不思議だよね」


「変な奴って事?」


「そうじゃなくて、これが咲人の個性なんだなぁって」


 ただ頼りになる優しいだけの彼氏じゃなくて、こんな可愛さまで持ち合わせていた。きっとこれが本当の咲人なんだよね。

 正直どうにかなりそうなぐらい愛おしい。ズルいでしょ、こんなギャップを持っていたなんて。

 まだ他にも隠された顔があるのだろうか? 恋人からパパになったら、また違う表情が見られたりするのかな?

 それはそれでまた楽しみだなぁ。親になるなんてのは、随分と先の話になるけれど。大体ボク達はまだそういう事をしてないしね。


 でもそれだって、そう遠くない未来だ。来年には咲人が3年生になって、次の年には咲人は高校を卒業する。

 卒業まではしないって、ボク達の決まりが終了する。もう何年もそういう事をしていないけど、大丈夫かなぁ?

 いざそうなって、咲人にガッカリされたら悲しい。今の所お腹周りに無駄な肉はないし、胸もまだ垂れていないけどもう30代だからね。


「ニャー」


「こらこらマサツグ、ボク達は今忙しいから」


「お腹空いたのかな? ちょっと野菜を切って来るよ」


 せっかくの良い雰囲気だったけど、マサツグの乱入で一旦中断。咲人に着いて行ったマサツグは、野菜を貰って満足したのかもう用事はないらしい。

 リビングに戻って来た咲人と、再びスキンシップの時間。手を繋いだり、頭を撫でられたりキスしてみたり。

 最近咲人が気に入ったのか、ボクを背後から抱き締めたがる。ボクとしては一番好きな恋人との体勢だから、幾らでもウェルカムだ。

 是非ともこれから毎日やって貰いたい。もう十分男性らしくなった、大きな体に包まれるのは安心感がある。

 咲人は自分を情けないと言っていたけど、全然そんな事は無い。こんなにも安らかな気持ちになれるのは、それだけ咲人に安心感を覚えているからだ。


「ねぇ咲人。夏休みに遊べなかった分、毎日構ってね」


「言われなくてもそうするよ」


「約束だよ? 一杯構って貰うから」


 咲人がこうして側に居てくれる、その幸せをここ最近の出来事で嫌と言うほど思い知らされた。

 だからこそボクは、全力で咲人を大切にする。居てくれてありがとうって気持ちを、ちゃんと表明する事を忘れない。

 ボクにとって大切な人だって、毎日忘れない様に口にする。咲人の方も同じみたいで、好きだと毎日言って抱き締めてくれているからね。

 察して構ってちゃんムーブなんて、ボク達はやらない。言葉にして相手に伝えるのを忘れない。

 結局映画をまともに観ないまま、2時間近くただイチャイチャしているだけだった。でもそれで良いよ、ボク達は幸せだから。

これが甘える事を覚えた咲人君Lv1です。6章では激甘えモードを書く予定です。

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