第217話 レオナ・キャンベルの懺悔室
ここから少しずつ元通りの咲人や美佳子を取り戻す話になって行きます。
次回から即回復とはいきません。ですが和彦の親友枠としての活躍と、美佳子のヒロイン力に咲人君の主人公感をお楽しみ頂けたらなと。
VB所属のVtuberには、特徴的な女性が多い。破天荒代表の園田マリア、京都弁の毒舌と歌が特徴の寺町こなた。
そしてこなたと同じ1期生のレオナ・キャンベルという女性Vtuberが居る。彼女は前者2名と違って、ある意味かなりまともな女性である。
マリアとこなたは容赦なく切り捨てるタイプだが、レオナは逆で非常に優しい対応をする事で有名だ。
VBの癒し枠と呼ばれている彼女は、青い髪にフレームレス眼鏡。そして白衣を着た女医の様な見た目のアバターを使用している。
設定年齢は25歳で精神科医、というキャラクターとなっていた。マリアとは違う意味で女性リスナーが多い。
「ハロー! アメリカから来たインターネットメンタルケアラー、レオナ・キャンベルです! 今夜のマリアさん枠は私ですー! 皆よろしく~」
『ああ~癒しの音ぉ~』
『溢れ出る優しさ』
『いつもと違って何か良いなコレ』
『普通はシスターがこの枠なんだよなぁ』
『マリアはね、破戒僧だからね仕方ないね』
インターネットメンタルケアラーを名乗っているレオナだが、現実でもメンタルケア心理士という資格を所有している女性だ。
実際にスクールカウンセラーをやっていた経験を持つ。その経験から来る的確なアドバイスや、心を病んだ人のケアが理由で人気が出ている。
しかも性格も穏やかで優しいので、癒しを求めて配信に来るリスナーは多い。VBの癒し枠と以前から呼ばれて来た。
今回はマリアの代理として、懺悔室を引き継いでいる。彼女もまた美佳子を尊敬している1人だ。
そんなレオナの記念すべき1人目の紹介が始まった。生理期間になると彼氏にキツく当たってしまうと懺悔する、17歳の女子高校生からの投稿だった。
「あぁ~なるほどね。いやこれは仕方ないのよ、男性達はピンと来ないと思うけど」
『それな過ぎる』
『分かって貰えないとキツイよね』
『イライラするのは許して欲しい』
『重いからめっちゃ分かる』
『コメ欄が女子女子してまいりました』
生物学上どうしても男性には理解するのが難しい問題だ。女性にしか発生しない生理現象であり、その辛さを男性が経験する事はない。
そもそも個人差が大いに出る為に、男性が理解するにはそれまでに付き合った女性の影響が大きい。
症状が軽い女性しか知らないと、重くて大変な女性の辛さが想像出来ないままなんて事は普通にある。
これは女性同士でも発生する問題で、凄く症状が軽くてケロっとしている人との間で対立が生まれる事も。
大袈裟にしんどそうにするな、等とお局様に言われてしまうケースがある。インターネットで色々知れる時代になっても、まだまだ理解の浅い人達は居る。
「これは男性達が慣れるしかないのよ。ああ今日は気分悪いのかなって、察してあげてね彼女や奥さんに対しては。それと、すぐ生理中かよって笑う男にはならない様にね」
『いるいるw』
『あれマジでなんなの?』
『効くと思ってるとかじゃない? 俺は言わんから知らんけど』
『女性は大変だなと思いました(小学生並の感想)』
『ガチでキツイ人は起き上がれないらしいな』
相談者の女子高校生に対しては、発言する前に一旦深呼吸を挟んで話す様にすると良いというアドバイスを入れる。
所謂アンガーマネジメントの解説をしてから、次の投稿者へ。2人目の投稿は懺悔というより相談だった。
元々人生相談も受け付けているので、内容としては問題ない。迷える子羊達を導くのが、懺悔室という企画の目的だ。
そしてその相談内容は、自分がメンヘラである自覚のある女性からの投稿。彼女はどうしてもダメな男に行ってしまう事を悩んでいた。
どうすればまともな男性と、ダメな男の判別がつくかも教えて欲しいとも書かれている。
「先に判別から行きましょう。これは簡単で、最初から耳当たりの良い事ばかり言う男性は怪しい」
『メンヘラワイ、死亡』
『心当たりがあり過ぎる』
『泣きそう』
『元カレ全員これでドカ鬱』
『ああwコメ欄がw』
レオナ・キャンベルに女性リスナーが多いのは、メンタルケアを求めるメンヘラ気質な女性が救いを求めて定期的にやって来るからだ。
質問や相談を送れば、しっかりとメンタルケアをしてくれる。その内容も素晴らしく、恋愛関係で悩む若き乙女達がレオナに癒されに来る。
もちろん全肯定ではなく、駄目な事についてはちゃんと怒ってくれる。だからこそ、これまで積み重ねて来た根強い人気があるのだ。
ただ少し、1つだけ彼女にも欠点はある。だからこそVBのライバーというか、流石は1期生に選ばれるだけの理由はあった。
「やっぱり顔面の整った男性よね。綾森豪志みたいな顔の男性は大体まとも。性格って顔に出るのよ」
『でた綾森豪志理論w』
『元も子もないwww』
『お前の好みやないかーいwww』
『綾森豪志理論ほんま草』
『結局それで押し切ろうとすなwww』
そう、レオナ・キャンベルは非常に面食いな女性ライバーなのだ。好きな男性のタイプはイケメンと公言して憚らない。
最後は人気イケメン俳優である綾森豪志を例に出し、彼みたい男性ならこうだと言って結論づける。
良く訓練されたレオナのリスナー達からは、綾森豪志理論と名付けられた定番のネタであった。
レオナの最推しでもある綾森豪志は、イケメン俳優として主婦や女子学生達まで幅広い層に人気の男性だ。
それもあって言いたい事は分からなくもないが、そもそもお前は会った事もないだろうとツッコまれるまでがセットである。
今回もしっかりとリスナー達からツッコまれまくり、配信は盛り上がっていく。終始笑いの絶えない楽しい配信となった。
咲人と美佳子が大変な状況にある裏側で、VB所属のライバー達が尊敬する園田マリアの不在をしっかりと支えていた。
活動報告に書いておきましたが、本作は好評につき4章200話構成を6章300話構成に変えたからこそ、詳細が書けた4章と5章、そして6章になります。
それから本作を完結させた後に書く予定だったラブコメに、新たな選択肢が生まれたので活動報告『次回作で書くラブコメ』という記事にてアンケートっぽい事をしようかなと。
本作完結までの期間で、そちらで最もコメントが多かった作品を先に書くという方向でやらせて頂こうかなと。
ご協力頂けるのであれば、お手数ですがコメントを頂けると助かります。




