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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第九章(三人称)

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第五百六話 運命の一撃

 アースがマチョウ戦やパリピ戦の時のように渾身の力を込めた左右のパンチをノジャに向けて叩き込む。

 だが、ノジャの巨体にはアースのパンチでのダメージはそれほどなく、余裕の……いやらしい笑みを浮かべている。

 一方で、ノジャも尾を振り回してアースを薙ぎ払おうとするが、アースの的確な読みと感知と足捌きによって全てを回避。


「すごい……本当に全部避けている……流石アースだ。六覇の攻撃をあれだけ……しかし……」

「一発でも当たれば坊ちゃまは大ダメージ……対して六覇のノジャはあれだけ拳を叩きこまれても、まるでダメージはなさそうですね」

「そして、相手も流石に六覇……アースの動きをそろそろ読み始めている」

「うん……あのノジャ……攻撃を当てようというよりは、アースの動きを観察しているような……」


 一見、アースが六覇のノジャを相手に堂々と渡り合っているように見えるが、そうではない。


『おぬしが次にどう動くか見えてきたのじゃ……捕まえるのも時間の問題かもしれぬのじゃ~』


 ノジャの方が明らかに余裕がある。


『捕まったら覚悟するのじゃ。まずは口の中に入れてクチュクチュと何時間舐めまわす? そのあと裸にひん剥いて、一本一本抜いて……にははははは♡』


 そして、その余裕から漏れる、おぞましい発言に世界中が凍り付く。


「う、うわ、逃げろぉ、アース! そんな変態に捕まってはならん! あ、相手が、クロンとかシノブならまだしも……お前の貞操を奪うのがその変態な獣だけは勘弁してくれ!」

「そうです、坊ちゃま! 坊ちゃまを舐め回すなど私はヴイアールで我慢しているというのに、実際に行うなど……ゴホンゴホン!」

「六覇のノジャか……パリピとは別の方向で狂った将だな……とはいえ、力は本物か」

「うん……………え? どうしました、サディスさん、ボクタチハナニモキイテマセンヨ?」


 ノジャの名前だけはずっと知ってはいたが、その存在を初めて見た者たち。

 そのノジャが登場してわずか数秒で色々とヤバイ存在であるということを世界が理解した。


「いずれにせよ、あのノジャという化け狐の耐久力は、拳ではどうにもならん。そして、アースも当然それは理解している。となると……」


 そんな中、マチョウが冷静に戦いの行方について呟くと、それに続いてバサラが笑みを浮かべた。



「な~にか、狙っておるのぅ、あの小僧。とは言っても、ノジャにダメージを与えられる技など限られておる……それをどのタイミング、どのシチュエーションでどこに叩き込むか……それを探っているということじゃろう」



 アースはノジャにダメージを与えるためではなく、狙いがあって動いてるのだとバサラは見抜いた。

 バサラの言葉を聞いた上で改めて皆がアースの動きをみると、「確かに……」と納得した。

 だが、バサラはその上で……


「まっ、この場にいるワシが見抜けるんじゃ。小僧と直接対峙しておるノジャも気づかんはずがないが、それはどうするつもりじゃ? 小僧よ」


 ノジャもああ見えてちゃんとアースが何かを狙っていることに気づいていることも見抜いていた。







『にはははははは、さてそろそろ分かってきたことだし……鬼ごっこもそろそろ終わりなのじゃ!!』


 そして…… 


「アースは何かを狙っているね……」

『うむ、逃げ回っているわけではなく、目的を感じるゾウ』

「しかし相手は―――ふごう!?」


 帝国でもソルジャ、そしてリモートのライファント、口をふさがれているライヴァールもアースの動きから何かを感じ取った。


「しかし、ノジャもそろそろアースの動きを読んできている」

『見事なフットワークと先読みでも……捕まるゾウ! ノジャの野生の動きに!』

(流石にダメだ、そこから退いてはノジャの風林火山の餌食になる!)


 そして、ついにその恐れていた事態に直面。

 ライヴァールも口をふさがれているので心の中で叫ぶしかなかった。



『その距離、もらったのじゃぁぁぁぁ!!!! 侵略すること―――――』



 ノジャに風林火山を発動させない距離でチョロチョロしていたアースが逃げ場を無くして、流れでノジャから距離を取ろうとするが、その距離こそノジャの風林火山の距離。

 


「九つの尾を全て束ねた! あれは、火の技!」


『肉片一つ残さず叩き潰すつもりだゾウ!?』


(……いや……アースの動き……)



 そのとき、ライヴァールは妙な引っ掛かりを感じた。


(アースは完全に目的があって動いていた……どういうわけか、風林火山の間合いも知っていたようだし、それを封じ込めるための動きも問題がなかったのに、ここに来て間合いの外に離脱……ひょっとして、アースはこういう流れで風林火山をワザと発動させようとしていたのでは……もしそうだとしたら……一撃必殺の大技の時こそ、隙が乗じる! そうか! 『ノジャはアースが何かを狙っていることに何も気づいていない!』 ならば――――)


 と、心の中で思ったところ……



『にはははは、さぁ、見せるのじゃ! これもおぬしの望んだ展開なのじゃろ? 何を出す? 何を―――』


(……あ……)



 ノジャがそう叫んだ。



「やはりノジャは気づいている! アースが何かを狙っていたことに気づいていた……まぁ、当然か」


『いやいや、ソルジャ、お前らしくないゾウ。あやつは六覇。ノジャが何も気づいていないなどと思うほど、安く見ていたゾウ?』


「もちろん、そんなバカなことはね……あいつの意外と鋭い野性的なところに我らがどれほど苦しめられたか……七勇者ほど六覇の恐ろしさを知っているのだ」


(……………………)



 そして、ライヴァールはこの瞬間から考えるのをやめた。


『ラガーン・ギガ・スパイラルッッ!!』


 だが、そこから先のアースの行動には、ソルジャもライファントもハッとした。








「尾が上がった瞬間に、ノジャが硬直しやがった!」

「そ、そうか! 流石にノジャもアースがその技を使うのは予想外!」

「さらに、ノジャがアース・ラガンの狙い……追い詰めた先で何を出すのかに興味を持ったことで、仕留められるうちに仕留めなかったことがここに来て……!」


 ヒイロとマアムに続き、ハクキも立ち上がった。

 アースが何かを狙っていることをノジャも気づいていることを、ヒイロもマアムもハクキも気づいていた。

 だが、ノジャが気づいていることをアースも気づいていて、それを逆手に取った。

 

「あの技でノジャが硬直することを読み、その上で風林火山でもっとも強力であるとともに最大の隙が生じる火の技の発動のタイミング……尾が全て頭上に収束されている今、ノジャを守る尾はゼロ!」


 ノジャは硬直して隙だらけ。



「って、ちょっと待て! あいつ、本当に何で、風林火山の内容やらその間合いの距離とかまで完璧に分かってるんだよ!? あんなのアカデミーの授業でも教えるわけねぇし!」


「アースの先読みでも、知らない技の間合いを事前に知るなんて不可能よ……誰かに教わった? 誰? ヤミディレなわけがない……パリピでもないわよね? なら、ノジャの風林火山を知っているものって、他には――――」



 アースは大魔螺旋を発動中。たとえ、拳が通じなくても、アースの大魔螺旋を叩きこめば……

 

「って、とにかく、もう叩き込んでやれ、アース! 今はそれからだ!」

「アースがノジャの背後に回り込んだ!」

「あそこから急所に……ん? あの位置から?」


 そして、アースは飛んで……









「とう! 婿殿お~♥ ついにわらわが復活なのじゃ~!」



 と、その時エルフの集落で、トイレで悪戦苦闘の風林火山を繰り広げていたノジャが、身も心も軽くスッキリした状態で出てきた。


「あっ……ノジャ!? おま、よりにもよって……」


 その瞬間、アースは顔を青ざめさせる。

 

「ん~? なんなのじゃ、婿殿、その顔は。わらわの禁断ボディにいけない指でホジホジイタズラしおったのをいまさら後悔かぁ? むふふふ~……婿殿ならば、わらわへのホジホジは許すのじゃぁ♥」


 アースの反応に復活したノジャがニヤニヤしながらすり寄る。

 だが、そのときだった。


『おにーーーーちゃーーーーーんっ!!!!』


 空から、幼いエスピの声が響き……


「ぬんう!? なんなのじゃ、全身に鳥肌が!? このデジャブ!? あ……」


 その瞬間、ノジャは全身から細胞の一つに至るまでに刻まれた過去の忌まわしき記憶がよみがえり、ノジャがハッとなって空を見上げた瞬間……



―――ずぼりゅんぬうううううう


『んごっぉ、ほぉ……ん、んほぉぉぉぉおああああああああああああああああああああああああああ!!!!????』


「……ふぇ?」



 指ドリルとは比べ物にならない大魔螺旋がノジャの……


「ふぎゃあああああ!? あ、あ、アース様が、ノノノノジャちゃんのぉ!?」

「ちょ、ハニー!? そ、それは!? え、そ、ソコに!?」

「見えないのに……恐怖で尻を抑えてしまったじゃない」

「お、おわぁ……なんちゅうことを……わ、わし、あんなの……」

「この時のことは小生もよく覚えている……」

「僕もだよ……」

「あ、あはははは……実は私はあんま覚えてなかったり」

「い、いやいや、お兄さん、な、なにやってんの!?」

「あれは……たまりまへんえ……」


 その瞬間、集落の広場に腰を下ろして鑑賞していた全員が、尻を抑えて立ち上がった。

 顔を青ざめて恐怖し、ノジャに同情してしまうほど……


『んほおおああああ、んおあああああああ、んほああああああああああ!!!??? ほんぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!??』


 そして、世界に響く六覇のノジャの狂ったような悲鳴。

 そこで……



――巻き戻し


「「「「「ッッ!!!???」」」」」


 

 まるで時が逆行したかのように、空の場面が巻き戻っていき、そして……



―――ずぼりゅんぬうううううう


『ん、んほぉぉぉぉおあああああああああああ!!!!????』



 もう一回。



―――ずぼりゅんぬうううううう


『ん、んほぉぉぉぉおあああああああああああ!!!!????』



 もう一回。



―――ずぼりゅんぬうううううう


『ん、んほぉぉぉぉおあああああああああああ!!!!????』



 短く何度も繰り返し。



――ズボズボズボズボズボズボズボズボ!!!!


『んほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉんほぉ』



 ぶっ刺され、ノジャの顔面崩壊するシーンを何度も繰り返され……


「もうやめてえ! ノジャちゃんが可哀そうだよぉお! アース様ぁ、ノジャちゃんがぁ!」


 それは、愛しのラガーンマンに興奮して盲目気味だったアミクスにまでそう叫ばせるほど。


「ち、ちが、これは、俺がやったのは一撃だけの、ってか、これはパリピの編集で……あっ、ノジャ……」


 何度もリピートされることで、まるでアースが大魔螺旋をノジャの尻に何度も何度も繰り返し叩き込んでいるように見えるわけだが、それはあくまでパリピの編集だと否定するアース。

 だが、ノジャは……




「( ゜д゜)」




 六覇の威厳もくそもないかつての自分の運命を変えさせられた場面を、面白おかしく編集された状態で世界に放映されてしまった。





 そして、その痴態はこれだけではなかった。

昨日も紹介しましたが、下記にて新作始め……



日間ハイファンタジー【3位】になりました!!!!!



まだ読まれていない方は、是非にお読みいただき、応援お願い申し上げます。



『冗談で口説いたら攫われた大魔王~知らなかった? 女勇者たちからは逃げられないよ』

https://book1.adouzi.eu.org/n1660hv/



下にもクリックで直接飛べるリンクがあります!!!!

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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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