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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第八章

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第四百二十三話 なんのこっちゃ!?

 元クラスメートにして、実はパリピの手下でスパイとして帝国に忍び込んでいた女。

 小動物みたいにいつもオドオドビクビクしていた女だけど、その本性は……とりあえずあまり深く関わりたくないような奴だ。


「ったく、ワザワザこんな夜中に……ほらよ、これでいいんだろ?」


 現れたコマンに対し、俺は懐から取り出した魔水晶を投げた。

 パリピから色々と情報提供を受ける代わりに、これを返して欲しいという要望。


「うん。確かに」

「ああ」


 正直俺としてはこんなもんはさっさと手放すか捨てるかと考えていたものであり、特に躊躇いはなかった。


「…………」

「…………」


 それで終わり。

 正直、こいつとはアカデミー入ってからは特に親しかったわけでも関りがあったわけでもないので、こうやって改まって面と向かっても話すことが何もない。

 こいつもそうなのか、なかなか何かを話そうとしない。

 もしくは、後ろのエスピとスレイヤを警戒しているのか?

 だが、こいつは少し間をおいてようやく……


「なんだか……アースくん、幸せそうだね」

「……なに?」

「あ、うん、ごめんね。急に変なこと……でも、なんか、……うん、そう見えるの」


 コマンが俺をジッと見ながら予想外のことを口にし、急にアタフタモジモジしながら話し出した。


「うん……昔の……流石は勇者の息子……勇者の息子のくせに……そう言われて苦しんで、不貞腐れて、周囲を敵視していた……あの時のアースくんは本当に気の毒で……でも、今のアースくんは、なんだろう……力にあふれてて、自分に自信があって……うん、すごく輝いているかな?」


 唐突に褒められているみたいで、少し照れ臭かった。

 隣のエスピとスレイヤは「おっ、分かってるじゃん」みたいにウンウンと頷いている……が……



「だから、私は残念……あっちのアースくんの方が私はよかったかなって思うよ? 誰も本当の自分を知らないっていうのは私と同じかなって……もっと不幸になったアースくんの顔を見たかったよぉ」


「「「……ん?」」」


「あっちのアースくん、かわいかったなぁ! 今のアースくんは、満ち足りているただの勇者っぽくて……やだなぁ……歪んだアースくんの方が私はかわいいと思うのに……濡れちゃうもん……♥」



 何か話の流れが……コマンは苦笑しながら……いや……苦笑なんてもんじゃない。

 最初は切なそうにしながら、どんどん瞳孔が開ききったような歪んだ目で……



「どっちのアースくんが私の初めてを奪ってくれるのかなぁ? 覚えてる? あの方が仰ってたでしょ? 一応、私もアースくんへの貢物の道具なんだよ? 『そういうこと』に使っていい道具なんだよ? どんな気持ちで私を使ってくれるのかなぁ! シノブちゃんやクロンちゃんの時のための練習台? 処理用? はけ口? オモチャ! あっ……出てきちゃダメ……押さえて……私……フー、フー、フー……アハ!」


「「「…………」」」



 なんか……改めて関わっちゃいけない危ない奴だな……というか、前のパリピとのやり取りから思ってたけど、こいつ……


「この子……頭おかしいの?」


 族長の純粋な感想に俺は頷くしかなかった。

 とはいえ、こいつが何と言おうと、俺は俺で言われっぱなしではなく、



「ったく……、お前は何を考えてんだ? パリピの駒ってことらしいが、お前のパリピに対する行いを見てると、別に脅されてるってわけでもなさそうだし……別に助けて欲しいとかそういう雰囲気を出しているわけでもなさそうだし……まっ、だから俺もお前に対してどうこうしようって気はねえけどな。ただ言えることは……」


「?」


「お前が昔の俺をどう思おうと、俺は今の俺の方が好きで、自分で自分を誇らしく思ってるんでな。残念でした。お前の好みなんざ、知ったことか」



 そう、コマンに自分の言葉をぶつけてやった。


「……ふーん……そうなんだ……」


 すると、常軌を逸して息を荒くしていたコマンだったが、徐々に落ち着きを取り戻し、軽く深呼吸して俺たちに背を向けた。



「助けてって言えば……ううん。そういう雰囲気を出せば、アースくんは何かしてくれるんだ……だから、シノブちゃんのことも……このジャポーネのこともどうにかしちゃうんだ……」


「ん? いや、それはまだ検討中だ。ハンター連中が襲い掛かってきたりとか、ハクキが絡んで色んな連中が捕らえられた……ってことまでなら手を出したが、ここから先のジャポーネの内政だとかまではな……」



 背を向けたまま森の闇の中へと消えようとするコマン。だが、コマンは振り返らないまま……



「でも、シノブちゃんは助けを求めるよ? 口に出さなくても、そういう雰囲気を出しちゃうよ?」


「なに?」


「あのね、私には分かっちゃったの……ちょっと調べるだけでね……今回のジャポーネの黒幕が、ただのクソ豚国王だと思ってたら……大間違いだよ?」



 コマンのどこか断言しているかのような言葉。

 黒幕があの国王じゃない? なんでそんなこと言えるんだ?

 パリピが何か情報掴んでるのか?


「黒幕……ハクキのことか? それとも……あのシテナイとかいう、ボクメイツの残党的な奴か?」

「ううん。そんなんじゃないよ」


 パッと思いつく限りの名前を並べたが、コマンは否定した。

 なら一体何が? 普通に気になって俺たちが耳を傾けると……



「アースくん。教えてあげる。これはね……女を駒のように扱っているようで、実は駒になっているのは自分で、それが分かっていない……そういう簡単な話だよ。私と同じで……自分のことがよく分からなくなっちゃった……自分で自分のことが、自分で何をしたいのか、何が望みだったのかもよく分かんなくなっちゃった……壊れた女の子だよ」


「ど、どういうことだ?」


「説明すると長くなっちゃうから、あとはシノブちゃんと答え合わせして。私は早くこの魔水晶を今夜中に持って帰らなくちゃいけないし……」



 俺には、そしてエスピもスレイヤも族長もコマンの言葉が何を指しているのかよく分からなかった。

 だが、ウソを言っているように感じない。たぶん、こいつは今回のことを分かっているんだろうな。

 一体……? 



「ま、でもアースくん……ジャポーネをどうこうするとか……そんなことしている場合じゃないかもしれないけどね……あの方は徹夜で編集作業だ~って張り切ってるし……」


「あ? 何のことだ?」



 そして、最後の最後にまた訳の分からない思わせぶりなことを口にするコマン。

 ちょっとイラついた態度を出して俺が尋ねると……



「もうすぐアースくんは、世界一の有名人になるんだから」


「……は?」


「後悔するよ、アースくん。あの方と取引なんて……あの方が何の面白くもない、何も迷惑をかけない、そんな平和な取引なんてするわけないんだから……これ、今後の助言だよ?」



 そう言って、コマンはそのまま姿と気配を消して立ち去った。

 最初から最後まで本当に意味不明で、残された俺たちは首を傾げるしかなかった。



 今回のジャポーネの騒動の黒幕?



 そして一番気になるのは……俺が世界一の有名人に?



 なんのこっちゃ!?

お世話になります。今日からシルバーウィーク、のんびりしましょ。


さて、本作の漫画ですが【コミックシーモア 電子コミック大賞2022】にエントリーされました。何でか知らんけども。期間中はコミック1巻が会員登録なしでも無料で全部読めるようなので、是非に立ち寄ってください。あと、これは全然まったく関係ないけど投票もできるみたいで……会員登録しなくても投票もできるみたいで……ま、全く何も関係ないですけども……|ω・`)チラ……応援してやってくださいませ。

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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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