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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第八章

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第四百十二話 長い年月を経て再会の六覇

「新たな伝説の始まりじゃな~い。これを見ているのがオイラたちだけってのが寂しいが……『どうにかして後世に伝えたい』と思えるほどじゃない」



 俺たちのトリプル大魔螺旋がミカドの全てを打ち抜いた。

 手応えあり。



「どうだ! たとえあんたがどれほどの伝説を打ち立てていようとも―――」


「私たちはその全てを穿つ! もう私たちを別つことも、そして―――」


「止めることなんて、この世の誰にもできやしない!」



 そう、俺たちを別つことも止めることも誰にもできない。

 右手を天に掲げて俺たちは叫ぶ。



「何だか羨ましいわ……あの三人……」


「ふふふ、あの三人の関係に割って入るのは無粋だ、シノブよ。時を越えてようやく一つになったあの三人にはな……ふ、ふふ……不思議だ……最初はハクキ大将ぐ……いや、ハクキの存在に不安はあったが……今のあの三人を見ていると、ハクキすらも怖くないと思えるほどの無敵感」



 強烈な光と激しい爆音と土煙がようやく晴れていく。

 ミカドの気配は感じる。

 だが、反撃してくる気配は感じない。

 それどころか……


「ひゅー……ふゅー……ふー……」


 若返った先ほどの姿から打って変わり、元の……いや、むしろ前よりもっとヨボヨボのジーサンになったのではないかと思われるミカドが、両膝ついて弱々しくこっちを見ていた。

 そして……



「何か……すごいものを体験したようじゃ……おかげで……体も心も疲れ切っておるが……頭はスッキリしたわい……」


「ッ?!」



 ミカドがこっちを見て、僅かに微笑んだ。

 

「おじーちゃん、洗脳解けたの?」

「エスピ……おぉ、何年ぶりかと思ったら……洗脳……そうか、ワシは……いや、しかし……う~む」


 まだ色々と頭が整理できていないのか、頭を押さえて目を瞑るミカド。

 だが、どうやら本当に洗脳は解けたようだ。



「この状況……オーガ共……コジロウ……ベンリナーフ……シノブ……ダークエルフ? ケースさん、アシストさん……それに……確かハンターのスレイヤという……そして……」



 周囲を見渡しながら状況を確認していくミカドの目は、やがて俺に向けられる。


「君まで……アース・ラガンくん……」


 ミカドと会ったのはブロと出会ったカンティーダン以来だ。

 数か月前か……



「へへ。よう、ジーサン。少しはボケは解消されたか?」


「……君が……ワシを?」


「俺じゃねえよ」


「?」


「俺たちだ!!」



 そう言って、俺はエスピとスレイヤの肩に手を回した。

 すると、エスピとスレイヤもドヤ顔しながら俺に手を回し返して頷いた。


「……ほ?」


 今のこの状況だけで、ミカドに俺たち三人の関係性を理解できるわけがない。

 ただ、それでもどこか納得したようにミカドは頷いた。


「そうか……ふふ……しかし、たった数か月……」

「ん?」

「あの街で会った数か月前とは……次元が違うほど見違えたのぅ……アースくん」

「……ああ。だろ?」


 そう、たかが数か月とはいえ、俺からすればあまりにも濃密すぎる数か月でもあった。

 六覇と戦ったり、冥獄竜王と戦ったり、天空世界で戦ったり、過去の世界に行ったり……自分が成長したと言われて、自信を持って頷けるぐらい、俺も戦ってきたと自負している。


「エスピも良い顔を……まったく……何が……」

「へへへ、オジーちゃんや、ヒイロのバカたちが色々やっている間に、私たちは世界を変えちゃうぐらいすごいことやってたんだよ~」

「ほぇ?」


 エスピは大げさな口調のようで、実は全部本当のことなんだよな。

 俺たちは本当に世界を……



「ギガサンダー」


――――ッッ!!??



 せっかく盛り上がっているところで淡々とギガ級の大魔法。

 俺たちの放った閃光に続いて、今度は空から巨大な雷がこの場にいるすべての者たちを滅ぼさんと降り注ぐ。

 だが……



「豪雷切!!」



 俺たちに降り注ぐ雷を、剣一本で受けて切り裂いた。

 切り裂かれた雷は空へ四散し、そんなとんでもないことを成し遂げたあいつは……


「ったく……空気も読めないなんて、次代を担う若者たちに対して恥ずかしいじゃな~い。ベンリナーフ」


 コジローは飄々とした余裕の笑顔だった。



「おおお! さすがコジロー!」


「へぇ、やるじゃん、コジロー。でも、まだ終わらせてないなんて、まだまだかな。やっぱり、私とお兄ちゃんのコンビに比べたら、おじさんはもう頼りないね~」


「本当。やっぱり、ボクとお兄さんのコンビこそ最強だよね」



 戦いはまだ終わってない。

 ベンおじさんは洗脳状態のまま。

 シノブやラルウァイフもミカドの側近とやり合っている。

 ノジャもまだ強化された百以上のオーガたちを相手にしている。

 

「……コジロー……これはどういうことじゃ? それに……オウテイ殿は?」

「……事情は後回しじゃない。今はまず、お兄さんたちに負けないよう、さっさとこっちも終わらせるじゃない」

「う……む……そうじゃな。すまんのう」

「なーに、あんたが何百年働いたと思ってるじゃない?」


 とりあえず、「今はこの場を」とミカドに告げるコジロー。

 そして、シノブもラルウァイフも同調する。



「そうね。見ていてね、ハニー。そして、ハニーの妹さんと弟さん! 審査をよろしくね♪」


「この地で散ったアオニーのためにも……小生も情けないところを見せられないのでな!」



 もはや、負ける気がしない。

 そんな雰囲気が俺たちに漂っていたし、その自信もあった。

 一方で、オーガたちはミカドがやられたということで、激しく動揺している。



「お、おい、あいつら、あの伝説のミカドを相手に……」


「ま、まじかよ、しかもほとんど怪我もしてねぇーし……」


「七勇者のコジロウもいるし、この女どもも……くそ!」



 自分たちにとっての切り札でもあったミカドが敗れたこと。

 俺たち全員がいまだに健在であること。

 たとえ、その肉体を強化されたオーガたちとはいえ、冷静でいられるはずがない。

 とはいえ……



「び、びびるな! 数はこっちが圧倒的に有利!」


「おう。ほとんどが女子供! そんなのに好き勝手されたら、誇り高きオーガの名が泣く!」


「ああ、すっかり無視してくれてるこいつらを、俺らの力でぶっ潰してやる!」


「まずは、大将軍……いや、裏切って人間側についた、誇り失いしこの狐のチビババアを―――――」



 それでも、やはりこいつらはオーガ。

 しかも、かつての大戦を経験しているっぽい猛者揃いだ。

 そう簡単に降伏するほど甘くもなかった。


「へっ、なら一気にぶちのめしてやる」

「だね、お兄ちゃん」

「うん。ボクたちはこのオーガたちを……」


 なら、俺ら三人でこのままこのオーガたちもやっつけてやるか。

 そう考えていた……その時だった!








「ふわ~~~~あ……ん? ん? あれ……ここは…………どこなのじゃ? わらわは一体……」





 ―――――――ゑ?



「ん? なんでオーガどもが……ん? そういえば、わらわは……う~ん、頭がなんだかズキズキしてよく思い出せぬが……ん? おお、エスピとスレイヤ……なぬ? ラルも……それに……」



 そのとき、きっとこの場にいる誰もが、そしてこの状況をどこかで見てほくそ笑んでいるパリピも含めて、予想外の事態が起こった。



「ん? ……あ……」


「……あ……あぅ……あ……」



 目が合ってしまった。



「あっ……お、おぬし……おぬしは……」



 さっきまで「こんこん♥」とか言って、デレデレと甘えていたノジャが、急に普通にしゃべりだして、俺を見てハッとして……ま、まさか、こ、こいつ、この状況で……


「ちょっ、ノジャ!?」

「ま、まさか……」

「大将軍ッ!?」


 ノジャの奴、まさか正気に……いや、正気じゃない! 正気だけど正気じゃない!

 だって、一瞬だけかわいい少女のように涙を浮かべて俺を見たかと思えば、すぐに口角がメチャクチャ鋭い笑みになり、その両目も異常に歪み、その全身にドス黒いオーラを纏って……



「ぐふ♥ ぐふふふふ♥ ぐふふふふふふふふふふ♥♥♥」



 まるで、腹を空かせて涎を垂らしている獣のように……



「婿ぉぉなのじゃあああああああああああ!!!!」


「ぎゃあああああああああああああ!!??」



 俺にイカれた様子で襲い掛かってきやがった。


『お、おお……あれは帝国から家出直後……腹を空かせて迷い込んだ森で兎を見つけた時……あの時の童のような……』


 そのあまりにも恐怖を感じさせる姿で俺に飛び掛かってくるノジャに、トレイナすらもドン引き。

 いや、そんな昔のことを言ってる場合じゃなくて……


「な、なんだ、こいつ、いきなり騒ぎ出して!」

「ええい、かまうな! 我らは誇り高きオーガの―――」


 そして、状況分からずも、とにかく騒ぐノジャを押しつぶそうと何十人ものオーガたちが襲い掛かるが……



「どけなのじゃァァアアア!!!!」


「「「「「ぐぎゃああああああああああッッッ!!!???」」」」」



 あっ……尻尾の一振りで……ふっとばされた


「ちょ……オーガアアアアアアア!!?? お、お前ら、もうちょっと粘れよぉおお!!」


 あまりのぶっとびぶりに、思わずオーガに俺が叫ぶほど激しく……そして……



「ガルルルルルル、婿ぉぉお、わらわの婿ぉおおおおお、十数年も待ち続けたぁぁあ、わらわの婿おおおおおおお!! 交尾いいいいい!! 首輪してツルツルに剃ってバブバブなのじゃ! この十数年我慢しながら考えた変態満漢全席プレイすべてをぶつけるべき我が婿なのじゃあァ!! ドケエエエエ! 約束ヲ果タセ……再会マデ我慢シタラ、ワラワハアアアアアッッ!!!!」



 いかん。これは、ハクキに弄られて正気を失って弱体化したモードと違い……素でイカれて正気を失ったことで、その強烈な六覇の波動が……なんか復活してしまった。


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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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