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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第八章

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第三百九十八話 本来なら王族の娘

 なんか、朝からイイ匂いがしてきた。

 


「どうぞ。炊き立ての白米。ジャポーネ伝統ミソスープ。焼き魚。玉子焼きと漬物よ。そして、族長さんには豆やお野菜を中心にしたものを用意したわ」


「「「「「おぉおおおおお~~~……いただきます!!」」」」」



 食卓に並ぶのは、俺も知識として知っているが、まさに伝統的なジャポーネ料理だ。

 そして……


「「「「う、うまっ!?」」」」


 これがまた見事にうまい。


「このライス……モチモチっとした食感が……ふっくら炊かれてすごいウマい!」

「このスープは味の深みがまた……」

「焼き魚……一見シンプルだが、塩で身を引き締めて臭みをとり、その上で旨味も封じ込めて……見事だ」

「この玉子焼きって、オムレツと違って出汁で焼いてる……これがまた……」

「美味しい~!」

「うん、ベジタリアンな俺にもありがたい……精進料理だね」

「ウガ、ガウ、ガル♪」


 まさに絶賛の嵐だ。そして俺もまた食う手が止まらねえ。

 シノブの手料理は、これまでライスボールとかしか食ってなかったけど、料理の腕前凄かったんだな。

 帝国の料理とは味付けも調理方法も違うけど、これは俺も好きになる味だ。


「シノブも腕前上げたやないの」

「うん、良い味でござる」

「これならいつでも嫁にいけるじゃな~い」


 オウテイさんもカゲロウさんもコジローも、ジャポーネの人でも唸るほど。


「ふふふ、そう言っていただけると嬉しいわね」


 シノブも嬉しそうに微笑んで、またキッチンに身体を向けた。

 そしてライスを素手で掴み、そのまま丸めてライスボールを作っていっている。

 俺たちにだけじゃなく、恐らく外でキャンプしている仲間の忍者戦士たちの分の朝食を作っているんだろう。

 黙々と……


「あっ、そういえばハニーの服……所々痛んでいたから、直しちゃったわ。気になってしまって……」

「え、あ、そうなのか? そ、それは、むしろありがとう……」

「お礼はいいわ。私がやりたくて勝手にやったことだから……」


 何だろう。なんか、シノブが昨日やって来てからどんどんと……そういや、今までは後を付け回されたり、ちょっと一緒に戦ったりしたぐらいで、こうして一緒に過ごすことなかったから分からなかったけど……シノブって……



「うん……とっても美味しい。料理の腕前は抜群だね」


「しかも、裁縫などの腕前も良い」



 そんなシノブを査定するかのように、エスピとスレイヤはどこか真剣な顔で頷き合っている。

 だからお前ら、何をメモってんだよ。

 まぁ、高評価なのは間違いなさそうだが……


「シノブちゃん、この玉子焼きって、すごい美味しい。どうやって作っているの?」

「あら、それなら後で教えてあげるわ」

「ほんと!? シノブちゃんって……優しいんだね……」

「そんなことないわ。仮にこれが敵やライバルならば塩は送らないけれど……でも、今のあなたは……」

「……?」

「ううん。別に何でもないわ」


 昨日は色々とあってあまり話をできなかったようだったが、同世代ということもあってアミクスもすっかりシノブと打ち解け……打ち解け……てるよな?

 まぁ、それはさておき、俺はあることに気づいて思わず笑ってしまった。



「よくよく考えればこれってすごいことなんだよな……シノブ」


「え? どういうことかしら?」


「いや、お前ってさ……血筋としては王族なわけじゃねぇか。お姫様って呼ばれてもおかしくなかったわけじゃねぇか。それがこうして家庭的で、なんというか……」



 同じ姫でもフィアンセイとは全然違うな。あいつ、学業という面ではメチャクチャ優秀だったけど、料理とかそういうの作ってるの見たことねぇし。



「そうね。だからこそゾッとするわ。ほんと、お父さんが婿養子として王族から追放されて良かったわ」


「え?」



 だが、シノブは俺の言葉に対して「姫でなくてよかった」とアッサリ答えた。

 それは……



「だって、お姫様だったらハニーと出会えなかったわけだしね」


「……ふぁっ……」


「ましてや、か弱いお姫さまでは、ハニーに振り向いてもらえる要素はないものね」



 シノブが俺を好きでいてくれているのは俺も分かっているのに、それでもこのドストレートな想いにはやはり照れてしまう。

 俺が俯いてしまうと、何だか脇でエスピとスレイヤがコソコソ話をして「いいよね」、「うん、ポイント高い」と頷き合っている。

 そして、そんな堂々としたシノブにアミクスは……



「かなわないなぁ……シノブちゃん……こんな美人でお料理もお裁縫もできて、体もスリムで――――」


「す、すりむ……え、ええ、そうよ。私のバランスは際立っているわ。む、む、胸だって、お母さんのように成長するという可能性だってまだあるわけで……っ~~~た、たしかに、サディスさんとかフィアンセイ姫は大きいし、あ、あなたのそれは、い、異次元規格外だけど……で、でも、ハニーはオッパイモンスターではないもの! クロンさんだってそこまで大きくないと思うし……そう、今のところ私がライバルだと思っているクロンさんもスリムだもの!」


「え? さでぃ……ふぃあ……クロンさん? えっと、その人たちもアース様の……?」


「まぁ、そんなところね」


「ふぇえええ!? す、すごい……やっぱり、アース様は……って、ノジャちゃんがまたぐずってる?! お、落ち着いてよぉ!」



 アミクスがサラリとシノブが唯一……なところを無自覚に突くが、別に俺はそこはそんな気に病むものではないと思うが……


「クロンちゃんか~……その娘もいずれチェックだよ、スレイヤくん」

「待って、ボクは知らないんだけど……その人は誰なんだい? その人もお兄さんのお嫁さん候補なのかい?」

「……は~、オイラはお兄さんはソルジャの娘のフィアンセイ姫と将来結婚するって、ソルジャとヒイロから聞いてたじゃない……それが家出してこんなことになってるとは……」


 どうやらシノブはクロンのことを相当意識しているようだな。

 俺の初恋はサディスだって知ってるのに……


「で、お兄さん。そのクロンちゃんってのはどこの娘じゃない?」

「あ、ああ、カクレテールで出会って……今は六覇のヤミディレと一緒に旅してるよ」

「ほぉ~、六覇のヤミディレ………………ん?」


 クロン、ヤミディレ、ブロ、ヒルア……今頃何やってんだろうな~。元気かな?

 と、そんなことを考えていたら、コジローとかオウテイさんもカゲロウさんも表情が固まって……



「「「ぶふううう!? ろ、六覇のヤミディレっ!?」」」



 あっ、これはまだ言ってなかったんだ……


「ちょ、お、お兄さん、どういうことじゃない?! なんで、六覇のヤミディレが出てくるじゃない!? いや、お兄さん、ヤミディレとも会っていた?!」

「あ、ああ、会っていたというか、しばらく世話になっていたというか……」

「……はっ!!??」


 これもちゃんと説明しておくか? と、俺が思った、その時だった。





『我が伝統ある偉大なるジャポーネ王国の民たちよ、朕でおじゃる! 天子たる偉大なる王・ウマシカでおじゃる!』



「「「「ッッ!!!??」」」」




 朝早くに家の外から、何だかとんでもないボリュームと共に間抜けそうな男の声が聞こえた。


「おい、今の!」

「外から!」

「ちっ」

「お父さん、お母さん!」

「やれやれ……」

「朝は落ち着いてメシを食いたかったじゃない……」


 俺たちはその声に反応して、一斉に家の外へ飛び出した。

 すると……



「な、なに……あれ?」


「あれは……」



 外に出ると、集落のエルフたちや忍者戦士たちもポカンと晴れた青空を見上げて……青空? 違う。

 空に、巨大な人間の姿が映し出されている。

 実体じゃない。

 すると、傍らのトレイナが……



『アレは……自分の姿を壁や海、更には空などに映し出す『魔法』だ……』


「魔法……だって?」


『うむ……『投影魔法・エプソニー』だ。ただ、空に映し出すには相当高度な技術と大量の魔力が必要となるのだが……』



 投影魔法。そういえば、帝国に居た頃……そう……子供の時……あんな感じの魔法で壁に投影して大きくさせた絵本を俺たちに……



『ぐふふふ、驚いたでおじゃろう? これぞ偉大なる王の御業でおじゃる! 今日はこの業を使い、国民に重大発表をするでおじゃる!』



 デブ、ハゲ、ブサイク。人は見かけではないというけれど、なんというか、見事に三拍子そろったうえに、更には何ともイライラするような喋り方をするオッサン。

 しかし、それでもアレは……いや、本当にまったく似てないけど……でも、それでもオウテイさんの兄であり、シノブにとっては叔父さんでもある……噂のジャポーネの現国王本人なんだ。


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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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