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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第八章

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第三百八十八話 してない

 互いに話すべきこと、聞くべきことは色々とある。

 しかし、ノジャを大人しくさせたとはいえ、状況が収まったわけではない。

 何故なら、コジローたちを狙って森の外で待ち構えている連中がまだ居るからだ。


「ねぇ、詳しい話は後で聞くとしても、コジローは懲戒解雇とか忍者戦士に狙われたりとか、もうジャポーネのお尋ね者なの? そして、カゲロウさんとその旦那さんも」

「うん。ま~、オイラもそうだし、この旦那が特にそうじゃない」

「カゲロウさんの旦那さん? 忍者戦士みたいだけど誰なの?」

「ジャポーネの最後の希望……ってところじゃない?」

「最後の希望?」

「とにかく旦那を何とか守るためにも帝国に亡命しようと思って、丁度シソノータミでベンリナーフたち帝国の調査団が来てるからと思って、オイラたちは最短ルートで目指して今に至っているじゃない」

「でも、その場所に居たノジャがこんなになってるし……正直、何かあったんだろうね」

「ああ。だから、まずはエスピ嬢の言う通り……あいつらに聞けば分かるって話じゃない?」


 そんな話をしながら、エスピとコジローを先頭に皆で堂々と森を進む。

 とにかく俺たちの中での話は後回しに。

 まずは、邪魔な連中を片付けてからゆっくり話を聞こうということに。


「かたじけないでござる……エスピ殿」

「別にいいけどさ。その代わり、もうこの土地でゴタゴタは絶対にやめてよね。そうじゃないとぶっとばすから」

「……拙者らは当然……しかし……ウマシカが……」

「あ~、あの噂の国王ってホントヒドイみたいだね。ジャポーネでコジローとミカドのおじーちゃんクビにするとかさ」

「……本当に……申し訳ないでござる」

「いや、別にあなたが謝る必要も……えっと……」


 この事態になったことに何やら責任を感じている様子のカゲロウの旦那さん。


「オウテイ……某の名はオウテイと申す」

「オウテイさんね……あなたもコジローと一緒に狙われてるってことは、普通の忍者戦士じゃないってこと? ……って、その話も今は後回しだったね。今は……」


 そう言って、また色々と気になることもあるが、一度話を中断して前を見て口元に笑みを浮かべるエスピ。

 その方角から聞こえてくる声……


「おい、どうなったんだ? なんか静かになったぞ?」

「ひょっとして、あのバケモノがコジロウを仕留めたのか? それとも返り討ちに……」

「分からねえ。いずれにせよ、決着ついたなら俺らの仕事だ」

「仮にあのバケモノが負けていたとしても、連中も無傷なはずがねえ。全員でかかれば……」


 もう、声も聞こえるぐらい近い。

 そして、俺たちは構わず森を進み、抜けたその先には聞いていた通りの光景が広がっていた。



「全員大人しくしないとぶっとばすから!!」


「「「「「ッッッ!!!???」」」」」



 エスピがそう宣言して堂々と森から出たそこには、驚いた顔して動揺走る千人規模の武装した男たち。

 そして、奴らはエスピ、更にはコジローたちを見て顔を青ざめさせる。


「七勇者のコジロー! オウテイとカゲロウも居るぞ!」

「待て、先頭に居るのは……まさか……七勇者のエスピッ!?」

「ちょっ、ちょっと待て、七勇者がもう一人いるなんて聞いてないぞ!」

「く、あのバケモノはどこに行った!? ノジャはどこへ行った!」


 ノジャはどこに? 

 ノジャはちゃんとここにいる。

 俺に……


「く~ん♡ ほお~ずり、ほお~ずり♡」

「…………」


 正面から抱き着いた状態で俺にスリスリしてた。



「「「「「ちょ……勢いよく殺しに飛び出したはずなのに、なんでサカって帰ってきてんの!!!???」」」」」



 いや、そうツッコミ入れたくなる気持ちも分かる。

 あんだけ雄叫び上げて走り出したノジャが、戻ってきたらこうなってるわけだしな。


「あなたたちさ~、ノジャがどうしてこんな正気を失った状態なのか、分かってるの? 分かってたら教えてよ」


 ハンター風の男たちにエスピが声を上げて尋ねる。

 だが、男たちはその問いに答えることなく、激しく動揺してしまう。


「くそ、ふざけんなよ! 誰だよ、これが楽な仕事だって言ったのは!」

「で、でも、もうやるしかねえよ!」

「ばか、相手は七勇者の二人だぞ!? 忍者戦士数十人とかはどうとでもなるが、流石に七勇者二人はヤバいぞ!」

「お、俺は降りるぞ! いくら報酬がいいからって、こんなの無理に決まってる!」

「ノジャも向こうに寝返ってんだからどう考えても無理だろ!」


 そして、もはや戦意すらも失ったのか、逃げるだの、降りるだのという言葉まで飛び交う。

 まぁ、気持ちは分からんでもねえけどな。

 すると……



「もう、私の質問に誰でもいいから答えてよね~……ふわふわ世界!!」


「「「「「ッッッ!!!???」」」」」



 無視されてムッとした様子のエスピがその場で両手を突き出して能力を発動。

 次の瞬間、ハンター風の男たちが装備していた剣、槍、矢、棍棒や斧など数百以上の武器を強制的に男たちから引きはがして上空に集めてしまった。


「これ……一斉に勢いよく叩き落としちゃうよ?」


 それは、俺には決して言わないようなとても冷たく圧のあるエスピの声だった。

 相手に対して一切容赦も手心も加えないと、相手の心を脅している。

 いくら千人規模とはいえ、全員武器を取り上げられた状態で、七勇者にそんなこと言われたら反抗できる者がいるはずもない。



「ま、まってくれ……いや、待ってください! お、俺ら、本当に何も知らねぇんだ! ただ、雇われてここに集められただけで、ノジャのことも……」


「そ、そうだ、信じてくれ! 俺たちはただボスに言われて……ノジャだってボスが連れて来たんだ! 詳しいことは何も知らないんだ!」


「我々はジャポーネ王国に反逆している不穏分子でもあるコジロウ、オウテイ、この二人を国外逃亡させない手助けをしてくれって言われただけで……報酬に釣られて……でも、本当にそれ以上は何も知らないんだ!」



 気持ちは分かるが千人規模も居てアッサリ命乞いをする男たち。あまりにも情けなさ過ぎて気の毒になってくる。

 エスピも、そしてコジローたちも呆れた表情をしている。

 



――その通り、彼らは何も知らないよ。だから見逃してあげてくれないかな? ある意味で彼らは……まだ何もしてない。このまま退散させるよ。我々も依頼ではあったけど、想定外の事態だから仕方ない



「「「「ッッッ!!!???」」」」



――彼らは森の外で立っていただけ。私有地に足を踏み入れてなければ、手も出してない。たまたま連れていたノジャ氏が暴れたかもだけど、彼ら自身は……ほら、まだ何もしてない。一部暴走した忍者戦士たちが何かやったかもだけど……そこに居る彼らは何も知らないし、何もしてない



 そのとき、誰かの声が唐突に響いた。

 目の前のハンターたちの誰かか? いや、ハンターたちも訳が分からず互いを見合っている。

 すると……


「あっ……いまこれから……何かあったら『これ』で連絡するって……」


 中心にいた一人のハンターが、戸惑った様子で懐から何かを取り出す。

 それは、通信用の魔水晶だ。



『それにしても、あまりにも壮観だね。その場に居なかったことを今さらながら後悔。まさか、オウテイ氏、カゲロウ氏、コジロウ氏たちと一緒に七勇者のエスピ氏までいるのは予想外だった……』



 魔水晶から聞こえてくるのは、どこのだれか分からない男の声。

 だが、ハンターたちは……


「ぼ、ボス!?」

「ボスの声だ!」

「ああ、シテナイ様の声だ!?」


 ハンターたちがそう叫んだ名に、俺らだけでなくコジローたちも少し驚いた反応を見せる。

 それは、俺も最近何度も聞いた男の名前。



『ふふふふ、それにしても預かっていたノジャ氏まで取られてしまうとは……しかも……ふふふふふ、君に懐いているとはね。君は本当に俺を驚かせてくれるな……アース・ラガンくん』


「……え?」


『君の足取りが途絶えてしまって少し探していたんだが、まさかこんな所に居たとはね』



 え? そこで、俺の名前?


「アース……!? え、エスピ嬢!? お、お兄さんの名前、アース・ラガン……って、……それって……」

「ラガン……でござるか……その名は……」

「……は~……なんと……そないなとんでもない……」


 そして、俺だけじゃなくてこんな形で俺のフルネームを知ったコジローたちも流石にビックリしている。

 だが、今は目の前のことだ。

 なんで、水晶の主は……



『ふふふ、直接会えないのは残念だが、初めましてだね、アース・ラガンくん。俺は……君のファンかな?』


「ふぁ、ファン!?」


『君のことはね、あの御前試合でヒイロ・ラガンの顔面を殴った時から注目し、応援していた。アレには俺もスカッとしてね』



 どういうことだ? 俺のファン? こればかりは俺も予想外過ぎて訳が分からねえ。

 そもそも、最近よく聞くあまり評判のよくない奴が何で俺を……



『その後も、『魔極真流闘技大会』での活躍も魔水晶を通じて知っていた。優勝おめでとうと直接賛辞を贈りたかった』


「ッ!? ちょ、ま、魔極真だと!?」



 そして、更にありえない言葉が飛び出した。

 魔極真の大会は、カクレテールで行った大会であり、鎖国されていたあの国での大会なんて外の連中は誰も知らないはず。

 なのになぜ!?



「どういうことだ! なんであの大会を知ってる! テメエ、一体何者だ!」


『ははは、そう驚かないでくれたまえ。たまたまあの島には、かつて俺の父の部下だった男が住んでいてね……彼を通じて色々とね。ワチャ・ホワチャって知っているだろ?』


「わ、ワチャッ!?」


『まぁ、俺自身は彼が父や『ハクキ氏』との間で交わした任務や関係に興味はないが、一応顔馴染みでもあったし、君については偶然教えてもらえたんだよ』



 ワチャ!? ここにきてあの人の名前!? そういえば、確かにあの人は色々と事情がありそうな人だった。

 純粋にあの島の住人じゃなくて、ヤミディレのように外の世界から来たような話を大会中の合間にも……



『自己紹介がまだだったね。俺は現在帝国のイナーイ都市から世界各国の裏社会へ向けて手広く何でも屋のような商人をしている、『総合商社イナーイ』を取り仕切っている『シテナイ』という者だ……フルネームは……』



 ワチャは魔族の反政府組織とも連絡とり合って……




『シテナイ・ボクメイツ……それが俺の名だ。よろしくね、アース・ラガンくん』

今日は母の日ですね。いつも照れくさくて言えない母へ日ごろの感謝を言うキッカケを与えてくれる日です。親子はちゃんと仲良く会話しないとダメっすよ? もし日頃互いに不満を持ち合っていても仲直りしましょうね。

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