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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第八章

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第三百六十八話 平和な証拠

「戦いばかりだった小生だが、勉強や魔法を教えることはできると思い、この集落で幼子たちの面倒を見るという仕事を任せてもらえるようになった……最初は肌の色の違いや、何よりも仏頂面の小生に子供たちは懐いてくれず、日々四苦八苦していたのだが……それではまずいと思い、色々と試したら……」


 族長の家のリビング。

 まずは俺らだけで話し合おうと、俺、エスピ、族長、そしてラルウァイフの四人。

 ラルウァイフが十数年前から今に至るまでのことを語り出し……


「んで、その果てで子供たちの受けをよくするためにウサギさんになったってことか?」

「いや、ウサギだけでは……他にも猫とか……あとはイタズラな子供たちには獅子の着ぐるみを着て『食べちゃうぞー』とかやったり……」

「あっ!? それ、アミクスもやってた! え? じゃあ、アミクスのアレはあんたの影響だったのか!?」

「まぁ、確かにアミクスもたまに口癖のようにやるな……」


 そして、あれから充実した日々を過ごしていたラルウァイフの話に、俺たちは笑い合っていた。



「小生はそれまで人の目や格好を気にして……恥ずかしいとかそういうことを意識して、子供たちと一緒に大きな声で歌うこともできなかった。しかし、それではダメだ……変わらないとダメだ……と、思い始めて、……うむ……小生も気付いたころにはああなっていた」


「はは、そうかい。だが……あの小さな子供たちやアミクスのあんたに対する態度を見てたら、あんたは本当に変わったんだなって思ったよ」


「子供たちに人気があるという意味では、エスピとスレイヤも負けてはいない。二人もよくこの集落に遊びに来ては子供たちの面倒を見ている」


「そういや、アミクスも二人のことを兄や姉として慕ってたな……」


「うむ。特にスレイヤはこの地と密にかかわっていた。あまり頻繁にエルフは人里に降りれないため、この集落にある道具の類もスレイヤの道具屋から仕入れているものばかりだからな」


「へぇ、そんなことが……」


「七勇者のヒイロとマアムの間に子供が生まれ、それがアース・ラガンという名前だとエスピから聞いたときは驚きと同時に、お前の言っていたことは本当だったんだと改めて認識したのも大きかったがな……未来に向けて生きようと……」



 本当にこの十数年の日々で、ラルウァイフは変わったんだな。

 何だか、俺もそれが嬉しくて、そしてホッとした。


「俺としては、俺がアカさんと出会った直後辺りにはもうあんたにはアカさんと再会してて欲しかったが……今のあんたなら、アカさんと正面から会えるだろうに」

「うぅ、そ、それは……」


 と、俺が冗談交じりでそんなこと言ってみると、ウサギさんを恥ずかしがらないくせにラルウァイフは急にモジモジしだした。



「その、十数年も会ってない女がいきなり現れても迷惑だろうし……そ、それに、十数年前と違って、直前になると……いざ、探しに行こうとすると……その……緊張……」


「あはははは、仕方ないよお兄ちゃん。なんだかんだでラルさんは初恋の人を十数年想い続けている一方で、恋愛経験無いんだし♪ 実際、この集落でもラルさんの健気さにプロポーズしようとした人も居たみたいだけど、ラルさんはアカさんしか見てない……でもだからこそ、へたれちゃうんだから」


「だだだ、黙れ、エスピ! 小生は貴様とスレイヤのように『何となく』で済むような間柄ではなく……アカは小生が血にまみれて醜かった時期を知っているからこそ、受け入れてもらえない可能性もあり……アカに拒絶されたら小生は……もう、生きる気力が……」



 正直ラルウァイフが何歳なのかは知らないけど、まさに恋をしたばかりの初々しさというものが……なんか、この人かわいくなったな。

 アカさんが拒絶するとかないと思うけどな。まぁ、恋愛云々はアカさん自身の好みもあるからそこまでは分からないけど……


「まぁ、そんなこんなで……お兄ちゃんとも再会できたんだし、アカさんのことも探さないとね」

「ああ。俺もアカさんと会いてえ……あんたもビビッてヘタれてないで、踏み出せよな」

「うぅ……や、やかましい」


 いずれにせよ、「いつかアカさんとも再会したい」という思いは、俺も過去の世界に行って余計に大きくなった。


「まぁ……みんなそうやってラブコメで盛り上がるのは平和な証拠……お兄さんも大層モテモテなようで」


 と、コーヒーを飲みながら俺をジト目で睨んでくる族長。



「お、おお、族長。そういやディスティニーシリーズの続編書き続けてくれてありがとな」


「べつに~……続編を書くのは大恩あるお兄さんとの約束だったし~、でもさ~、せっかく生まれた娘を……」


「そ、それは勘弁してくれ」


「いや~、本気だったらいいんだけどさ~、そうなると当人同士の話だし~、でもさ~、お兄さんってモテモテなんでしょ~? もしこれでうちの娘までハーレムメンバーの一人みたいな感じで加えられると~、一人の親としてはかなり傷つくわけで~」


「ハーレムって、おい……」


「はぁ……お兄さんへの感謝を込めた、ラガーンマンの物語を……まさかアミクスが大好きになっちゃうとはさ~……これでお兄さんの正体が、マジックアイテムを使って過去の時代にやってきたラガーンマン本人だったと分かっちゃったらもう篭絡一直線だから、それが心配だったのに……見事やってくれたし~」



 ものすごいネチネチと言われてしまい、思わず俺も縮こまっちまう。

 正直、俺にはどうしようもなかったことであり、今更どうしろって――――



――ガタガタンッ!!


「「「「ん?」」」」

 


 そのとき、なんか家の床下からガタンと大きな音がした。

 なんだ? 床下に何かいるのか?


「……ふぅ、床下に……猫がいるようだな」

「うん、かわいい困った猫さんだね」

「俺にとっては世界一可愛い猫だな……」


 三人は今ので床下に何がいるのか分かったようだ。

 そして俺も、マジカルレーダーを発動してみて……人の形をして、やけに胸の形がデカい猫が床下で聞き耳立てているのが分かった。

 なるほど……盗み聞きしていたか……



「とりあえず、この話はまた後で。とにかくお兄ちゃんとは色々としておかないといけない話があるの。真面目に」


「ん?」


「お兄ちゃんが知ってるかどうか、気づいてるかどうか分からないけど……魔族たちの間でもお兄ちゃんはあの御前試合以降かなり動向を気にされてるってこと。あの試合は私たちだけじゃなく、魔界の魔族たちも見てたみたいだし」

 

「って、本当に急すぎる真面目な話だな!?」


「もちろん、私とスレイヤ君が今後何があろうとお兄ちゃんを守るし、傍にいる。でも、知っておいてもらわないといけないことがあって……」



 正直、ウサギさんの話から急にそんな話をされても急に切り替えられないと思いつつも、エスピも真顔なだけにかなりガチなんだろうなと空気で伝わってくる。



「お兄ちゃんは帝国から追いかけられている……その動向を元・六覇で現・魔界政府総統のライファントも把握している……ブレイクスルーを使ったってのもあるし、ヒイロたちとの情報交換以外でも独自で人を使ってお兄ちゃんを調べようとしているみたい……まぁ、私とスレイヤくんも何でお兄ちゃんが魔王の技を使えるのかは知りたいけど……それはまたいつかでいいよ」


「おお……そうか……」


「あと、ハクキもお兄ちゃんを気にしているっていう情報を入手したの。ハクキはお兄ちゃんが十数年前に会ったあのお兄ちゃんだってことまでは気づいてないと思うけど……。ただ、ハクキはボクメイツファミリーの残党ともつながりがあるから、ライファント以上にアンダーグラウンドな人たち使って情報を入手しようとしているみたい」


「ふ~ん……それもまぁ……」



 エスピが教えてくれた話は確かに真面目な話だ。

 とはいえ、そこら辺は、なんとなくだけど俺も分かっていた話でもあった。

 元・六覇のライファントとは会ったことないけど、あの御前試合を見たっていうなら、俺のことは気になるだろうし、ハクキのこともヤミディレやクロンのことがあったしな……

 だから、真面目な話ではあるがそこまで驚く話でもないので、俺は落ち着いてコーヒーを……



「あと……ノジャはお兄ちゃんが十数年前に戦ったラガーンマンだって知っちゃったの……絶対に責任取らせるって喚いてて、今回のシソノータミの遺跡調査のために魔界から来たってのは建前で、本当は目を盗んで抜け出してお兄ちゃんを誘拐しようとしてるの」


「ぶぼぉおおおおおおおっっ!!」



 コーヒー噴いた。



お世話になります。本日この作品の運命を左右する(ガチで)コミカライズの2巻が発売ですので、何卒ぉ……何卒ぉぉ!! えとうヨナ先生が描く素晴らしい世界をどうか!


ちなみに、店舗特典とやらもあるようで、漫画版の御前試合で披露できなかった、『サディスのチアリーディング姿』と、この姿をさっさと披露していればアースもひょっとしたら……な『姫のチアリーディング姿』のイラストペーパーがあるようですぞ!

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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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