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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第六章

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第二百九十六話 対抗意識

 船の上での釣り勝負で、エスピはズルした。

 釣り竿ではなく海で泳いでいた魚を能力でゲットしやがった。

 だが、ただのズルで片づけられないほどその能力は強大で、それはトレイナすらも認めている。

 だからこそ、トレイナが提案した力技……


「エスピ。あの建物の地下の格納庫に人間が隠れている……三人だ」

「ん! まっかせてよ♪」


 俺がエスピでも見えない場所に居る人たちの位置を正確に把握し、それをエスピに伝え、エスピはどんどんそれをこっちに引き寄せて救助する。


「んふふふふ、すごいね、お兄ちゃん。私、武器とか死体とか敵とか以外で能力あんま使わないから……人助けしちゃってる!」

「ああ。だってお前は勇者なんだからな」

「んふふふふふふ」


 船の船尾に立って、空を飛ぶ船の上から救助活動をする俺とエスピ。

 そして、どうやら魔王軍の連中も気づいたようで、上を見上げながら慌ててやがる。

 でも、今のあいつらにはそれをどうにかできなさそうだ。


「く、くっそ、テメエら卑怯だぞ!」

「あ、あたいらが全滅してるから……うぅ」


 捕虜となっているハーピーたちが悔しそうな顔を浮かべてやがる。

 そうだ。空を飛べるハーピーの部隊がこうしてエスピに壊滅させられたため、空から救助活動をしている俺らを、魔王軍のアマゾネスたちにはどうしようもねえ。

 下から弓を飛ばしたって、ここには届かねえ。

 ここには――――



「轟け雷鳴! 小生の復讐道を妨げる不届き者どもに、地獄を見せてくれよう」


「「あっ……」」



 魔法だ。しかも相当な魔力を遠距離から放とうとしてやがる。

 下に居る連中や、ここに居るハーピーたちと比べて頭一つ抜けている力を感じる。

 

「ダークエルフ……漆黒の魔女はあいつだね、お兄ちゃん」

「みてーだな」


 あれが、さっきハーピーたちが言ってたヤバい奴なんだろう。

 確かに言うだけのことはありそうだ。

 だが、ヤミディレとかパリピとかに比べりゃ……



「ギガサンダーッ!!」


「エスピ。右に」


「ふわふわ旋回!」



 どうとでもなる。

 あれぐらいの魔法なら、俺がブレイクスルーして大魔螺旋で防ぐこともできる……が、あんまこの時代で見せびらかしていい力じゃないので、ここは落雷のポイントを正確に察知してから、エスピに指示して船をクルリと旋回させて回避する。



「な……なに!? 小生の魔法を軽やかに回避した?! あんな細かな動きもできるのか? あの船は! ならば、威力を落として連続で……メガサンダー! メガサンダー! メガサンダー!」


「上・上・下・下・左・右・左・右!!」


「うんっ! ほっほーい♪」



 連続で来ようと、魔法である以上はパンチや投石や弓矢ほど素早く放てるわけじゃねえ。

 無詠唱だろうとタメが必要であり、俺たちはその隙を見逃さねえ。

 しかし、救助の手を緩めることなく船も動かしたり……やっぱすげーな、エスピは……


「はは、すげーな、すげーぞ、エスピ」

「ん~♪ じゃあ、お兄ちゃん、ん!」


 エスピを褒めると能力使いながら頭だけを俺に突き出してくる。

 俺はそれを撫でてやると……


「ほんと、お前はすごいやつだ、エスピ!」

「にへへ~♪」


 もう、蕩けそうな笑顔でニッコニコ……


「ふ、ふん……な、なんだっていうんだい……確かに能力はすごいけど……戦闘だったらボクだってこれぐらい……なにさ、ボクのことは小ばかにしたくせに……あんなに褒めてベタベタベタベタ……」


 ん? なんか、突っ立ってるスレイヤがこっち見てちょっと不機嫌そう?


「おのれ卑怯な人間どもめぇ……ならば……」


 おっ、魔法が止まったな。諦めたか?


「今すぐ降りてくるのだ! さもなくば、攫った男たちを今すぐ全員殺すぞ!」

「「ッッ!!??」」


 あまりにもベタすぎることをやってきやがったよ。

 つか、そう来たか。


『安心しろ。すぐには殺せん』

『トレイナ!?』

『男を攫ったということは、戦利品……そしてノジャへの献上品なのだろう。ならば、簡単には殺せぬ』

『いや……で、でもよ……』

『それに、言うことを聞いたところでどちらにせよ殺される……ならば、気に留めるな』


 トレイナは心配ないと言うが、本当にそうだろうか?

 見せしめで一人~二人ぐらいなら平気で奴らは殺しそうな……


「何で悩むんだい?」

「え……スレイヤ?」

「街の人たちのほとんどを避難させたのだろう? なら、好都合。あとは周囲を気にせずに……こうすればいいじゃないか!」

「あ、ちょ、おまっ!?」


 そのとき、スレイヤが勝手に動いた。

 いや、特に何も言い聞かせてはいなかったけども、この状況下でスレイヤが船から飛び降りた。


「あーっ! どうする? お兄ちゃん。連れ戻す?」

「あ、えっと……」


 もちろん、それは魔王軍に降伏するためじゃない。



「ん? 子供が? 一人降りて……」


「いでよ、エクストリームライトニングスーパーバスターソード!」



 落下しながら造鉄魔法により、一瞬で超巨大な大剣を出現させたスレイヤ。


「ッ!? な、なに!?」

「お、おいおい、どっからあんな剣……」

「あ、危ないッ! 全員、離れろおお!」


 アマゾネスたちが顔を青ざめて慌ててその場から飛び退こうとしたところ、スレイヤが容赦ない強烈な一撃を街の広場に叩き落した。

 大地が砕け瓦礫が飛び散り、その衝撃でアマゾネスの連中が宙を舞っている。


「ふん、他愛ない。魔王軍とはいえ、六覇でもなければこの程度なんだよ」


 交渉もくそもなく攻撃を叩き落して相手をふっとばしたスレイヤ。

 その状況に、俺は頭を押さえたのだが……


「あ、あーー! ず、ずるい! 私だってあいつらぶっ飛ばしたかったのに……でも、危ないからまずは救出作業で……うぅぅぅう!」


 エスピに関しては良い所を横取りされたかのように、悔しそうに地団駄。

 まったく、このチビッ子たちは……


「ここはボクに任せてくれていいよ? だから、あなたたちは避難させた人たちを改めて保護したら?」

「だ、だけどよ……」


 それにしても、どういうわけか普段は冷めているくせに、なんかスレイヤのやつ、やる気出してね?

 すると……


「確かに、あの子が七勇者っていうのは驚いたけど……………ボクの方が強いし」

「んにゅ!? きみ、何言ってんの?!」

「それに、その、あなたも……」

「え? 俺?」

「ボクの方が……そんな子よりずっと強いし役に立つしすごいし! だ、だから、ちゃんと見てよ……ん、コホン……ちゃんと見ていることだね!」


 何か下からビシッと俺とエスピを指さして、メッチャやる気満々なスレイヤ。

 なんか、エスピに対抗意識を燃やしてないか?

 いやいや、その前にこれは魔王軍とまともに戦わないための作戦であって……

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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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