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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第五章

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第二百二十五話 別れのハグ

 どうやら、話しはまとまりそうだな。

 クロンがこれからもヤミディレを「お母さん」と呼び続けられるか、それをヤミディレが受け入れるかは二人の問題だろう。

 だが、クロンがヤミディレとこれからも一緒に居たいという望みは聞き入れて貰えそうだ。


「あとは、俺だけど……」


 ヤミディレとクロンの今後については一旦「あいつ」に任せてみてはというのが、パリピの提案。

 今のカクレテールに戻したり、二人をその辺に放り出すよりはよほどいいかもしれない。

 ただ、そうなると後は俺がどうするか……


「ハニー」

「坊ちゃま」


 そんなとき、切なそうな表情でシノブとサディスが俺の前に立った。


「ハニーは皆と一緒に帰らないということだけれど……」

「それはつまり……ここでお別れ……そういうことなのですね?」


 俺の言葉の意味を改めて確認してくる二人。

 そう、つまりそういうことだ。


「サディスとは元々カクレテールでそういう話をしていたからな……」

「ええ。今回のトラブルで助太刀させて頂いたりと、うやむやにできるのではという淡い期待もありましたが……」

「そうか……まぁ、サディスが居てくれてスゲー助かったのは事実だけど……でも」

「はい。分かっております」


 一度は、カクレテールでハグをして別れることまでやったんだ。

 サディスも今さら「考え直して」、「私も一緒に」とかそういうことを言わない。


「たとえ、目と鼻の先に旦那様と奥様が居ようとも……私は坊ちゃまの味方ですから」

「サディス……」


 俺の両頬を両手で優しく包み込みながら、瞳に涙を浮かべて改めてそう告げるサディスは、また……


「でも、ハグはもう一回です」

「あぅ」

「ん~、坊ちゃま……すりすり、おっぱいむぎゅむぎゅ」

「お、あ……」

「今の坊ちゃまなら、今の坊ちゃまの力と心の強さであれば、私はその背中を押して差し上げます……今、戻れば……オッパイもエッチなことも好き放題何回でもという特典ありますよ~……」

「こらああああ!」


 俺をもう一度見送ろう……そのためのハグ……と言いながら、ふざけ半分でチャッカリと俺を誘惑してくるサディス。

 まったく……お、おっぱい……エロいこと……好き放題……何回でも……うそぉ?


「……これをこうして……ああして……こ、コホン、ハニー!」

「はうっ!?」


 と、俺が少々混乱しかけた時、何やらコソコソしていたシノブがちょっと拗ねた表情をしながらも、サディスに抱きしめられている俺の袖を掴んだ。


「私も……本当ならハニーと一緒に居たいわ……デートして、一緒にご飯を食べて、イチャイチャして、夜伽で大ハッスルハッスルとか……」

「お、おう……」

「でもね、私は……どんな世界でも状況でもハニーの味方……ハニーが私たちを置いてまた一人で旅立つことに何か意味があり、そしてハニーがそれを求めている以上、女の私が足を引っ張るようなことはしない」


 俺のことを好きでいてくれて、本当はこのまま俺と一緒に居たいと望んでくれながらも、頑張って聞き分けのいい女になって俺の背を押そうとしてくれるシノブ。

 やっぱこいつ……本当に……もったいないくらいいい女だな……


「でもね、私も……せめて……ハグが欲しいわ」

「それぐらいなら……な」


 だから、そんなシノブがハグを俺に要求してきたとき、俺は自然と受け入れることが出来た。

 本当はサディスのおっぱいやら擦りつけてくる体や匂いをもっと堪能……じゃなかった、もうちょっとハグしておきたかったが、俺はサディスから離れシノブに両手を広げる。


「んむぅ、坊ちゃま……私のオッパイを振り切るとは……本当に精神的にも逞しく……やはり次は服越しより生の方が……」


 ちょっと物足りなさそうに唇を尖らせるサディス……あ~、くそ、その顔も可愛いよぉ……っていうか……


「ほら、シノブ」

「あ、ん♡」

「その……今回のことも色々とありがとな。お前にはアカさんの時から助けてもらってばかりで……」

「ハニー……大きい、温かい……包まれる……ああ、自分の語彙力の無さが恨めしいわ……ボソ……時空間忍術用のマーキングは完了……ふふふ、これで……」

「シノブ? なんだ? ボソボソと」

「な、何でもないわ! あん、もっと強く抱きしめてえ、壊れるぐらいに♡」

「お、おう」


 思った以上に小さい体。サディスのように大人の女の肉付があるわけではない。

 しかし、この小さな体でこれまで何度も俺を助けてくれた。

 本当にこいつは……



「うふふふふ、みんな仲良しですね」


「クロン様! 何を悠長な! 今後については理解しましたが、少なくともこういう状況で出遅れると他者にアドバンテージを取らせることになります。将来誰よりも早くアース・ラガンとの御子を産むためにも、ここは便乗です!」


「あら、そうなのですか? お……お母……」


「あーあーあー! 何も聞こえませぬ。ほら、早くしないと……」


「んもう、ヤミディレってば照れて……うふふふ、でもいいですよ~、いつか受け入れてもらいますから。そのためにも今は、親の言うことをよく聞くいい子になります! というわけで、アース~!」


 

 と、俺とシノブのハグに、自分もとニコニコしながら飛びついて、俺とシノブ両方を包むようにハグしてくるクロン。

 その表情はどこか開き直って、スッキリしている。

 きっと、ヤミディレに対してのことで一段とクロンもまた……


「ちょ、あなた! いくらあなたが強敵と書いて友と呼ぶ存在だとしても、ここは空気を読んでくれないと困るわ!」

「でも、私もアースを大好きですから、好き好きハグを私もしたいのです」


 にしても、同世代の女の子とこうしてハグするのは初めて……なんだけど……っていうか……


「……ハニー?」

「アース?」

「ん? いや……」


 いや、こういうときに不謹慎だが……今……俺って……結構モテ期だったんだな……と思ってしまった。

 一方で……



「ふ、が……あ、が……んんがぁ……」


「ひ、姫様、お、おち、おちつ……無理だよね……」


「御労しい……本来なら俺が……と言いたいところだが、それができぬぐらい哀れな……」



 そのとき、俺の視界の端でミイラみたいな顔した何かが……って姫か。

 

「って、うおっ!?」

「「??」」


 ビックリした。

 姫がこれまでで一度も見せたことないぐらい血の涙を……



「う、あ、ううう、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん、アースうううう!」


「は、え、な、なに?」



 そして、ついにはいつもキリッとクールで大人びた姫が……



「なんでええ? なんでそんなにわれにいじわるするの? なんで?」


「…………は?」


「なにもおしえてくれなくて、みせつけるかのようにわれのまえでほかのおんなと、う、浮気ばかり! 愛人増やすのも限度があって……でも、でもおお!」



 ついに頭を抱えて幼い子供のようにワンワンと泣いて……どうした?



「おしえてえよお……われにも……アース……もう、教えて! 何があったのか、アースに何があったのか! 教えてよお!」



 あっ、そうか……


「姫……」


 そういうことか。今まで冷たく、蚊帳の外に、みたいな感じだったからな。

 幼馴染として、いつまでも俺にそういう態度を取られ、何も教えてもらえないのがいい加減心細くて辛くなっちまったんだよな。

 コマンのこともあったし……


「そうだな……流石に……悪かったな姫」

「うぇーん、ううう、ぐす、ひっぐ……」


 流石にある程度は教えないとな。

 姫にも、フーにも、リヴァルにも……今回は助けてもらったことだし。


「だいたいお前は……我のことがずっと好きだったんじゃないのか? 愛していたんじゃないのか!?」

「え? べつに?」

「ぐすっ……なのに、何で我の知らない女とばか………………え?」

「……は?」


 ………ん? は? 何のこと?



「「「あちゃ~…………」」」



 何でそこで、サディスもフーもリヴァルもアチャァ顔してるんだ!?



『あちゃ~……』



 トレイナまで?!



最近の小説家になろう内にて、幼馴染に対するザマァとか絶縁が流行っているのを見ると悲しくなりますね。

幼馴染というものは本来尊いものです。人と人との繋がりが人生の財産だというのなら、幼馴染というのは苦も無く手に入る資産であり当りの宝くじのようなもの。

たとえ、性格最悪だろうがなんだろうが、幼馴染という繋がりがあるのなら、それは大切にするべきなのです。


だからね、幼馴染は大切にしなさい。幼馴染は泣かせてはいけないのです。悲しませてはいけないのです。


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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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