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お化け屋敷をリフォーム  作者: 奈瀬朋樹
chapter 1
5/35

04話 河童の性癖

「うーん、こういう動きの方が怖いかな?」


 帰宅して夕食を取った後、比奈菜が身嗜みチェックで使っている大きい鏡を借りて今日のおさらいを自室でしている所なのだが。


「やっぱ衣装がないと滑稽(こっけい)というか、ただの不審者だな」


 動きは正しい筈だが、どうにも盛り上がりに欠ける。バイトを始めたばかりで役不足な面もあるけど、やっぱりお化け衣装の効果は絶大だったんだなぁ。


 そう納得してから取り出したのは、河童の被り物だ。

 家で復習すべく頭だけ拝借したのである。

 そうして顔を河童にチェンジさせて鏡の前に立ってみると。


「おおっ、すっげー不気味だ」


 胴体が人間のままだけど、これはこれでシュールな怖さがある。この機転でテンション回復、改めて復習を開始したけど、欲を言えば驚かす相手が欲しい所だ。


 けど流石にそれは欲張り過ぎ…。



「お兄ちゃ~ん、お風呂空いたよ~。髪整えたいから鏡返し…」



 ほのかに火照った肌、湿ったショート髪、ピンクの半袖パーカーにフリルのホットパンツというラフな格好の比奈菜が部屋に入ってきた瞬間、時が止まった。お風呂から上がって兄を呼びに来たら河童に遭遇という意味不明な状況に脳が処理できないらしいので。



「………………………………………ぁぁぁぁァぁあァぁぁアァぁぁああ」



 と、唸りながら迫ってみると。



「ウニョアアアアァァァアアアアア!!!!! カッパ!? カッパナンデ!?!?」



 おおっ、めっちゃ怖がってる!

 しかも腰を抜かして廊下でジタバタしちゃってるよ。


 だったらココは畳み掛けるべきで、確か河童の好物は、


「…………キュ……ウ…リ…、……ヨコ…セェ………」


 比奈菜の恐怖を煽るべく、両手を挙げてもう逃げられないという圧迫感を醸し出しつつ、飢えた獣の如くゆっくり近づいてみると。


「ニャッ、ニャイ! 胡瓜ニャイ!! でもバナナなら台所にっ!」


 うん、知ってる。

 結構好きなのに、我が家の食卓に胡瓜って出てこないんだよなぁ。



「…………………ジャア、…タマァ…ァ……、尻子玉ァ…………」


「おっ、おおお女なので玉ニャイです!!」



 両手で股間をガードしながら比奈菜が首をブンブン横に振っている。そもそも尻子玉って、確か尻穴の中にある架空の臓器で引っこ抜かれると腑抜けになるって設定だけど、女子も守備範囲に含まれるのか?


 てゆーか河童って、とんだ変態ア●ルフ●ック野郎だな。

 これで襲うのは男だけというホモ設定は個人的に願い下げなので。


「………ホントゥ…カ……………ドウカ、………タシカメルッ!」


 この言葉を放った瞬間、へたり込んでいる比奈菜の股間に手を伸ばし、この挙動に身を丸めて目を瞑った比奈菜に俺は。



「落ち着け比奈菜、俺だ。お兄ちゃんだ」



 河童の被り物を取った後、へたり込む比奈菜の頭を優しく撫でてあげました。


「ふえっ、………お兄…ちゃん?」


 このネタ晴らしに気の抜けた返事が返ってくる。


「お化け屋敷でバイトするって言っただろ。その復習をしてた所に比奈菜が来たから、ついな。いやー、悪い悪い」


 比奈菜との距離はちゃんと保ったし、あれ以上は駄目っぽかったから止め時としても適切だっただろう。


「だけどまさかここまで怖がってくれるとは。てゆーかさっき夕食でもバイト話したんだから、気付け…」


 股間をガードしたまま動かない様子にもしかして怒っているのではと思ったが、比奈菜の表情は怒りではなく戸惑いというか〝やっちまった〟という文字が書いてあり、あと風呂上がりとはいえホットパンツが濡れ過ぎている事に気付いてしまって。



「お前まさか……、おも」



 と、つい何の配慮もなく呟いてしまった瞬間、弾かれた様に比奈菜が立ち上がって。



「お兄ちゃんの馬鹿ーーーーーーーーーーっ!!!!!」



 容赦なしの右ストレートが顔面に炸裂、「カユウマっ‼」という殴られ声と共に俺はブッ倒され、比奈菜は再びお風呂直行という事態になっちゃいました。


 その後、俺は誠心誠意謝ったが許してもらえず一切口を聞いてくれない日々が3日も続いた後、比奈菜の誕生日プレゼントに更に色を付けるという条件で許してもらえました。

尻子玉は架空の臓器で、そもそも肛門に玉はありませんので。てゆーか自分で書いといてアレですが、色々調べたせいで『河童=変態』というイメージになっちゃいました(笑)

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