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【始まる瞬間】/【境界の下と上】
#雨という文字を使わずに雨が降るを文学的に表現してみろ
【始まる瞬間】
鼻の頭に何かが触れたと思ったら手の甲、頬、あちらこちらに感触が散った。
見上げた重たいグレーの空に湿気た空気。
「大変。じゃあ、また!」
井戸端会議をしていたママ達が蜘蛛の子を散らすようにまちまちに駆けて行った後、ざあっときた。
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これ誰視点なんだろうね?と後で思った。
ママ達を外から見てる通りすがりの誰か。
#光という文字を使わずに光が差すを文学的に表現してみろ
【境界の下と上】
水底から白い揺らめきが崩れたりひとかたまりになったりするのを眺める。
吐く息はあぶくになって、煌めきを返しながら昇って行く。
私もそろそろあちらへ戻ろう。
魚達に別れを告げ、白い輝きに向かってフィンで水をひと蹴りした。
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あぶくとかシャボン玉とか好きです。
これは境界の内と外。




