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【幾つも針を刺したような空のこと】/【永遠には続かない日々】
#夜という文字を使わずに夜が来たを文学的に表現してみろ
【幾つも針を刺したような空のこと】
窓から覗く海が墨を撒いたように真っ暗で、思わず窓枠にぎゅっと爪を立てた。
「甲板に出てごらん。今日は新月だ。空の祭りが始まってる」
はしゃぐ声に手を引かれ、出ると空に無数の銀の砂が散らばってチカチカ瞬いていた。
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新月の日は星がたくさん見えるんじゃないかって期待してしまいます。
でもうちのあたりはあんまり。
船の上はよく見えそうです。
#朝という文字を使わずに朝が来たことを文学的に表現してみろ
【永遠には続かない日々】
窓から差す光に顔を背け、しじら織のパジャマがペッタリと張り付つくのも平気で眠り続ける我が子。
汗だくの頬をつついてもまだ夢の中だ。
「いいかげん起きないと、遅刻するよ!」
「あと五分、五分したら起きるから……」
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これはたぶんそう遠くはないいつか、懐かしくなるだろうやりとり




