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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第五章 それぞれの再会

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94 外交官クララ 4

 手記を読み終えた私は少し考えた。ヤスダが転生者であることを話すと私が転生者であることもバレてしまう。バレたところで、どうということはないが、それでも大ぴらにするメリットもない。それにそのことをネスカたちに説明するのに時間を食ってしまう。なので、スキルで解読したことにした。


「なぜか分かりませんが、スキルで8割くらいは読み解くことができました。資料室に少し色の違うレンガがあるはずです。すぐに探してもらえませんか?」


「詳しいことは後で聞くとして、すぐに探しなさい」


 文官たちが総出で探し始めた。しばらくして、報告が入る。


「ありました!!ここです」


 確認すると明らかに色の違うレンガがあった。

 後は、「大切な人(友達でも、恋人でも構いません)の手をつないで」か・・・


 誰でもいいんだったら、この中ではネスカしかいない。私はネスカの手をつないだ。


「クララ、これって!?」


「手記に書いてあったことよ。じゃあ私が今から言うことを一緒に言って・・・」


 ネスカに耳打ちをする。そして、二人一緒に唱えた。


「「友情は永遠に!!」」


 すると付近の壁が崩れた。そして中には大きな宝箱と日本語で「転生者様へ」と書かれた手紙があった。

 ネスカたちが宝箱を確認している側で、私は手紙を確認した。


 転生者様へ

 見付けてくれてありがとう。でも、残念!!ハズレです。

 ちょっと怒りましたか?でも許してください。貴方は既に宝物を手にしています。それは貴方と一緒に呪文を唱えてくれた人です。どうか大切にしてくださいね。

 それと悪いことが起きれば、今度は良いことがあります。聖女の私が言うのだから、間違いありませんよ。


 ふざけたことが書かれていた。私が人格者でなかったら、宝箱ごとぶっ壊すところだった。


「クララ、その手紙にこの宝箱を開けるヒントは書いてある?よく分からない鍵が掛かっているんだ」


 宝箱を確認するとダイアルロックが施されていた。


 ★★★


 ダイアルロックは3桁、間違えたらどうなるかも分からない。

 魔王様が言う。


「壊すしかないのでしょうか?でも・・・」


「数字を3つ揃えるというのは分かるが・・・間違えた時はどうなるんだ?無駄にリスクは取れないぞ」


 チャーチル様もネスカも困り顔だ。そんなとき、オルガ団長がやって来た。


「もう限界だ。奴らが喧嘩を始めやがった。止めるに止められない」


 ネスカが言う。


「この際、このロックが解除できないことで手間取ったことにしてしまいましょう。そして、正直にロックが解除できないことを謝罪するのです。それを交渉の糸口にしましょう」


 流石はネスカだ。その策略なら、怒り出したりはしないだろう。


 応接室に戻るとベンドラ様とブリギッタ、ブリギッテ姉妹が言い争いをしていた。


「もうビッテを許してはくれんか?反省しておるだろうし」


「それはできないよ。ヤスダがいいと言うまで許さない」

「そうだよ。いくらベンドラだからって、虫が良すぎるよ」


「そこを何とか頼む」


 ビッテ・・・あの浮気したドラゴンか。多分、中庭で寂しそうに座っているドラゴンがそうなのだろう。

 そんな中、魔王様が声を掛ける。


「ブリギッタ様とブリギッテ様、こちらがお渡しする品です。しかし、ロックが掛かっており、こちらでは解除することができないのです。そのため、お時間をお取らせしまして・・・」


 すぐにブリギッタとブリギッテ姉妹が宝箱をひったくる。


「そんなの簡単だよ。ヤスダが好きな数字だよ」

「ヤスダのラッキーナンバーだよ」


 ヤスダという女性は、単純でおっちょこちょいで・・・多分、愛されキャラだったんだろう。手記などからよく分かる。そしてその番号というのが「777」だった。

 流石は幸運に愛された「聖女」だ。考えることが違う。


 ロックが解除され、宝箱が開いた。私たちは固唾を飲んで見守った。宝箱の中身をチラッと見たが、私にはガラクタにしか見えなかった。よく分からない石や指輪、ペンダント、それと姉妹に宛てたであろう手紙などが入っていた。例えると子供の頃に詰め込んで、大人になって恥ずかしくなるタイムカプセルの中身のようだった。

 ふとその中の物に目が留まる。ブライトン王が残したアルバムの最後のページにあった写真とブリギッタとブリギッテ姉妹、ブライトン王夫妻、そしてビッテと思われる女性が笑顔で写っている写真だった。


 昔は仲が良かったんだね。


 しばらくして、手紙を読み終えたブリギッテ様が呟く。


「ビッテを呼んできて」



 ★★★


 宝箱の中の手紙を読ませてもらったが、ほとんどがガラクタの説明だった。ブリギッタとブリギッテ姉妹が特に気に入っているのがペンダントで、二つのペンダントを合わせるとハート形になるニコイチペンダントだ。お世辞にも出来がいいとは言えない。多分手作りなのだろう。手紙にもこう書いてある。


「二人の為に作ったんだよ。もし喧嘩したら、ペンダントをくっつけて、仲直りしてね」


 そして、手紙の最後にはこう書いてあった。


「小さな宝箱はビッテに渡してください。もう怒ってないし、許します。本当は生きているときに伝えたかったけど、二人から伝えてね。生まれ変わったら、必ず会いに行くからね」


 それを見たのだろう。ブリギッタとブリギッテ姉妹はビッテを呼んだのだ。


 しばらくして、妙齢の女性が入って来た。写真に写っていた女性だ。ビッテが人化したのだろう。


「本当にすいません。ごめんなさい。反省してます。お兄様もお久しぶりです。ご迷惑をお掛けしてます」


 虚ろな表情だった。


「ビッテこれを見て!!ヤスダが許してくれるってさ」

「それにプレゼントもあるよ」


「本当だ!!ごめんね・・・ヤスダ・・・」


 ビッテは嬉しそうに小さな宝箱を開けた。すると驚いたことに宝箱からバネの付いたボクシンググローブみたいな物が飛び出し、ビッテの顔面に直撃した。


「痛ッ!!」


 ビッテが叫ぶ。

 そして、宝箱の中を見ると手紙がまたあった。そこにはこう書かれていた。


「バーカ!!引っ掛かった?これで気が済んだから、許してあげる。私はもうすぐ旅立つけど、ブリギッタとブリギッテとはずっと友達でいてね。それにベンドラとは兄妹仲良くね」


 ビッテは泣き出した。


「ごめん・・・ヤスダ!!本当にごめん。出来心だったの。もうしないから・・・」


 話の見えない魔王様たちが私に説明を求めて来る。

 仕方がないので、ブライトン王とビッテが浮気して、それで関係がギクシャクしていたことを答えた。

 チャーチル様が言う。


「ブライトン王も過ちを犯すこともあるってことだよ。男として、同情するところもあるし・・・」

「貴方!!もしかして東大陸で浮気を?詳しく聞きましょうか?」


 新たな危機が生まれそうな予感がした。



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