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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第四章 就職

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80 クララの町づくり 2

 ネスカが言う。


「7年前のクララの活躍も、僕なりに調べたよ。その頃からクララは凄かったと感心したよ。それで7年前は冒険者だけでなく、若い騎士団員も犠牲にしようとしたんだろ?おかしいと思って色々調べたんだけど、どうもロイター王国が長年、魔族の襲撃を自作自演して、支援金をせしめていたのを神聖ラドリア帝国に掴まれたようなんだ。ここからは推測なんだけど、神聖ラドリア帝国とロイター王国が組んで、更にルータス王国も巻き込んで、本当にこちらに攻めてこようとしてるんじゃないかってね。

 留学し、勇者パーティーのメンバーになって、つくづくそう思ったよ。こう考えたらどうかな?あの時、アイリーン以外の勇者パーティーのメンバー全員が神聖ラドリア帝国の暗殺部隊に皆殺しにされ、母国に帰ったアイリーンが、『魔族の卑怯な策略で、全員死亡した!!』と言えばどうなるか、想像がつくよね?」


 間違いなく、各国から部隊を招集し、魔王国ブライトンに攻めて入るだろう。


「だからそうなってもいいように、ここに防衛拠点を築こうと考えたのさ。流石に人族が協力したら、強力な魔物地帯も抜けて来るだろうし、最近では、魔物の数も減っているからね」


 そうなのだ。いいことか悪いことか分からないが、魔王軍の戦力が大幅にアップしたので、魔物の被害を事前に防ぐために色々な場所に行って、魔物を狩るようになったことで、魔王国ブライトン全体の魔物の数が減っているのだ。それはロイター王国との国境沿いも例外ではなかった。


「なので、城壁を築いて城塞都市にしようと思うんだ。そのつもりでみんな頼むよ」



 ★★★


 駐屯地に来て1ヶ月、それなりに発展してきた。しかし、問題点も多い。

 まずは、資源の問題だ。ドシアナが代表して意見を言う。


「ロプス君夫妻やゴブリンたちのお陰で、計画よりも早めにインフラ整備はできているッス。でも、それだけに資材や魔石が足りなくなってきているッス。今のところ、必要物資は王都から取り寄せているッスけど、よく考えたら魔石を運ぶために大量の魔石を使ってるッスからね・・・何とかすれば、もっと効率よくできるッスのに」


 ハイドンが言う。


「黄色いスライムを使えばいい。そうすればホバークラフトも動く。だが、スライムがこの駐屯地周辺には、あまりおらんからな・・・」


 これにはライアンさんが言う。


「スライムだって?いっぱいいるぞ!!探し方が悪いんじゃないのか?」

「何だと?しっかり探しているぞ」

「やり方を教えてくれ?」


 ハイドンが探し方を説明した。私から言っても、それは探していない。ハイドンはスライムデザスターの発生を受けて、スライム討伐隊長になったので、スライムなんてホバークラフトで適当に走れば見付かると思っているようだった。


「ドブの中とか、ゴミ捨て場とか・・・いっぱいあるだろうが。今、言っても仕方ないから、後で教えてやるよ」

「よろしく頼む。スライムの討伐と研究は、俺の使命だからな」


 ハイドンも変わったと思う。今までなら、確実にライアンさんと喧嘩になっていた。なぜ、ハイドンが変わったのかは、私には分からないけどね。


 議題は移り、ドシアナが発言する。


「もっと効率的に、大量に物資を運べる乗り物があればいいんスけどね・・・クララ大臣、なんかアイデアはないッスか?」


 いくらキャサリン様の魔方陣やドシアナの技術力で、魔石の使用量が抑えられたとはいえ、ホバークラフトは燃費が悪い。前世でもホバークラフトが一般的に普及しなかったのは、その燃費の悪さが原因と言われている。

 大量に物資を運ぶとなると、船か鉄道だろう。ここは内陸地だし、船は無理だ。となると鉄道だけど・・・まあ、思いつきを言うだけだし、私は作らないからと思って提案する。


「街道を整備するのは大変だけど、レールを敷いて、決められた場所と場所を往復するだけなら、こんなのはどう?・・・」


 鉄道のコンセプトを説明すると、ドシアナが喰いついた。


「それッス。それを完成させたら、ロキ殿に勝ったことになるッス!!クララ大臣、すぐに行きましょう。会議なんてしている場合じゃないッス!!」


「落ち着いてドシアナ!!後で研究には付き合うから、まずは会議を終わらせないとね・・・それじゃあ、これが最後の議題ね。自由に要望を言ってください。ルルとロロもね」


 ドシアナを宥め、ルルとロロの意見を聞く。


「缶詰もいいけど、新鮮な魚が食べたいニャ」

「近くに川とかあれば、いんだけどニャ」


 この駐屯地付近は、探索が全く進んでいない。オーガ族やダークエルフなどの戦闘力の高い種族は、先祖代々、同じ土地に住んでいるし、弱小種族は、魔王軍がすぐに駆け付けられる距離にしか、基本的に住んでいない。なので、未開の土地に踏み入るような物好きはまずいないのだ。

 何の気なしに呟く。


「冒険者がいればいいのに・・・依頼を出せば、それなりには・・・」


 ライアンさんが言う。


「冒険者ならここにいるぞ。元だけどな」


 ネスカが解説をする。


「冒険者がいても、今まで開発が進まなかったのには、理由があるんだ。一番は魔物が強力だからだ。今いる冒険者で、ここら辺の魔物を相手にできるのは、ライアンさんと他数名くらいなんだ。探索能力はあっても、戦闘で負けるなら仕方ない。でもハイドンの部隊が協力してくれて、冒険者と同行してくれれば、その問題も解決できるんだけどな」


「ネスカ王子、俺はそれで構いません。冒険者と一緒にいれば、スライムのいる場所に案内してくれるんですよね?」


 ライアンさんも答える。


「オーガの兵士が一人居てくれるだけで、心強い。冒険者の仕事ができなかった奴らが嬉しがるよ」


 しばらく、細かい調整をした後、会議は終了した。

 この会議で決まったことは、スライムの有効利用、鉄道の開発、冒険者活動の推進の三つだった。


 この会議以後、駐屯地は飛躍的に発展するのだった。

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