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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第四章 就職

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75 変わりゆく魔王軍 2

 出会いもあれば別れもある。

 魔王軍は大幅な組織改革が行われた。まず、ドシアナが第三軍団の所属から外れ、魔王軍全体の工兵隊長に就任し、以前ドシアナが工房長をしていたドワーフの工房の職人全員を工兵として採用し、工兵隊が発足した。ドシアナが工房の職人たちに「私が間違っていたッス!!申し訳なかったッス」と謝罪したことがきっかけだった。ゆくゆくは魔王軍からも独立し、技術開発庁になる予定だそうだ。これでドシアナが再び天才職人として復活したことになる。


 ドシアナ復活物語は、追放物お決まりのざまあ展開にはならなかったけど、ハッピーエンドだ。最初の態度からすれば、ざまあされるのはドシアナの方だろうけど。


 他にも嬉しいニュースがある。一つ目巨人族のロプス君の兄、ラプス君の結婚が決まった。第二軍団の一つ目巨人族一家の娘さんとだ。まさに世紀のビッグカップルの誕生だった。一つ目巨人族は結婚すると独立するのだが、新たな配属が決まるまでは、今のまま暮らすみたいだ。


 魔王軍全体の編成も大幅に変わる。

 壊滅状態の第一軍団は、ハイドンが頑なに解散を拒否、最終的にはハイドンを慕う10名のオーガだけになってしまった。よくあんな奴に従うなあ?と思って、残っている団員に聞いたところ、「あれでも、結構いいところがあるんですよ」と言っていた。私には全く理解できないけどね。


 仕方なく、ハイドンを第一軍団長にして、まだまだ続くスライム被害の討伐専門部隊にしてしまった。一応軍団長だが、給与は一般団員の基準に減額され、定例会に出席する以外の軍団長としての仕事はなく、他の軍団員からは、スライム団長と揶揄されている。

 実質、降格処分に等しいものとなったが、当のハイドンは「これで俺も軍団長だ。オルガも認めてくれるだろう」と前向きな発言をしている。


 第二軍団と第三軍団は戦力が拮抗し、兵種もほぼ同じになってしまった。もう張り合うことも意味がないと思ったのだが、「今度はどちらが優秀な指揮官を育てられるかで勝負する」とオルガ団長が鼻息を荒くしている。これにはネスカが裏で糸を引いていた。指揮官の育成は急務だと考えて、上手くオルガ団長を乗せた経緯があったのだ。


 そんなこんなで、今は魔王軍は過渡期だ。緊急出動に備えながら、訓練に励む。第三軍団には多くの部隊長が、そのノウハウを学ぶために研修に来ている。ゴブリンやハーフリングから指導されて、必死でメモを取る精鋭部隊の部隊長の姿が、駐屯地各所で見受けられる。ゴブリンやハーフリングが、強面のオーガやリザードマンを指導している光景は、本当にシュールだ。


 そして、もう一人第三軍団に入り浸る人物がいる。スターシア団長だ。

 各種の兵器開発でドシアナと急速に仲良くなり、今も私には理解できない魔法陣談義に花を咲かせている。


「見てくださいッス、スターシア団長。この美しい魔法陣を!!可憐で純情な中にも、清楚で凛とした感じは、何とも言えない美しさがあるッス!!」

「ドシアナもまだまだね。この辺を見てよ。強欲で傲慢で、どす黒く蠢く心の闇が隠されているわ。まるで悪魔のようね。表面だけしか見ていないと、そうも思っても仕方ないけどね」

「本当ッス!!流石はスターシア団長ッス。でも、この辺は微かに、ほんの少しだけ、優しさと気遣いが感じられるッス」


 私には全く理解できないと思っていたら、急に話を振られた。


「ところで、クララちゃん。この魔法陣集を作った人は、どんな人なの?」


 私はキャサリン様のことを正直に話した。もちろん私に対する監禁事件や自称聖女被害の胸パット強奪事件も・・・


 スターシア団長は、納得した顔で言う。


「アイツか!!私は小国家群の学園都市に身分を隠して留学していたんだけど、ある研究発表会で、ソイツは、テーマと全く違う発表を始めたのよ。テーマは「合成魔法の有効利用」だったけど、彼女は時空がどうのとか、空間を捻じ曲げて、新たな世界への扉を開くとか言ってたわね。

 荒唐無稽な話だけど、論理はしっかりしていて、みんな聞き入っていたわね。でも結論を言う前に、急に出て行ったのよ。「発表する会場を間違えた」と言ってね。よく分からない奴だけど、相当な魔導士で、危険な奴であることは間違いないわ」


 スターシア団長の見解には100パーセント同意する。


「でも、怖い物見たさで、会ってみたいかもッス!!」


 どうしてもというのなら、止めないけど、後は自己責任でね。



 そんな話をしていたら、私は魔王様から召集命令が下った。



 ★★★


 魔王城に着くと、私は控室に案内された。そこで、なぜかドレスを着せられ、化粧までさせられる。メイドさんに質問しても、「言うなと指示されています」と言われた。仕方なく、されるがままにしていた。

 しばらくして、私は謁見の間に案内された。

 謁見の間には魔王軍の幹部全員と宰相以下大臣が全員集合していた。ただならぬ雰囲気に、私は魔王様の前に歩み出て、魔王軍の最初の研修で習った作法のとおりに申告をする。


「魔王軍参謀長クララ・ベル、応召致しました」


「よく来てくれました。貴方の功績は我が魔王国ブライトンに多くの物をもたらしてくれました。よってここに魔王ダイアナ・ブライトンの名において第一級ゴルド勲章を授与します」


「ありがとうございます。勲章に恥じぬように、今後も精進いたします」


 慌てて、勲章授与の作法どおりの対応をして、勲章を受け取る。ネスカ辺りが、サプライズでの表彰式を企画してくれたんだろうね。まだ、許してはないけど・・・これは正直嬉しいな。あくまでネスカにじゃなくて、魔王軍やそのみんなってことだからね。


 しかし、その後の魔王様の発言で私は固まってしまう。


「クララ・ベル参謀長は、参謀長の任を解き、魔王軍名誉顧問へ昇格。併せて、総務、改革推進担当、復興支援担当大臣に任じます」


「つ、慎んで拝命いたします・・・」


 言ってはみたものの、総務、改革推進担当、復興支援担当大臣ってなんだ?

 それに私が大臣?


 思考が追い付かない。



 ★★★


 ~魔王ダイアナ・ブライトン視点~


 クララちゃんをネスカが連れて来たとき、その理由を聞いて愕然とした。「私は人攫いを育てた覚えはありません」と怒鳴ってやりたかった。私も子を持つ親として、クララちゃんのご両親の気持ちは痛いほどよく分かる。きっと、今も胸が張り裂けるような思いをしていることだろう。夫のチャーチルを含めて、魔王の血を引く男どもは馬鹿ばっかりだ。


 でも次第に評価が変わっていく。

 クララちゃんの能力は凄すぎる。スキルも凄いが、それだけではない。性格も良いし、是非、嫁に来てほしいと思ってしまった。この頃から「人攫いの馬鹿息子」から「よくやった馬鹿息子」にネスカの評価は訂正した。まあ、馬鹿息子であることには変わりはないけどね。


 最近、ちょっと仲直りの兆しが見えて来た。母親としても、魔王としても是非ともネスカにクララちゃんをものにしてほしい。


 だから、ちょっとだけ魔王の権限を使った。本当にちょっとだけよ。


 ネスカ、後は上手くやりなさいね。応援してるから・・・

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― 新着の感想 ―
ネスカ、読者から、総スカン(笑) ねちっこいし、ウジウジだし。 でも、クララも、はっきり出来ないし、お似合いか? なんか、恋愛入ってきたら、わくわく無くなってきた。 最初の頃の、お店盛り立ててた無双が…
周囲はクララを見下してるから、こうして追い詰めていくよね。 「俺の好意は価値があるから、相手の意思は無視していい。好きだから近づきたいは許される。」 「あの子はあなたが好きなだけだから許してあげて。あ…
ええええー!クララーーー! ベル商会を盛り立てるって初心忘れないでーーー! ネスカも最低な野郎だけど、、、母親もだったか。。。 この世界に本当にクララのことを考えてくれる、まともな男性がクララパパしか…
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