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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第四章 就職

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63 参謀長クララ 2

 何から調べようか・・・まずは魔王軍の組織図からだな。


 魔王軍は第一軍団から第三軍団までの編成で、一軍団が約3000~5000人だ。有事となれば、各種族から義勇兵という形で部隊を集めるという。まあ、未だ召集したことはないらしい。それで第一軍団は魔王直轄の精鋭部隊、第二軍団はスターシア軍団長を筆頭にした弓と魔法に特化した遠距離攻撃部隊、そして第三軍は・・・よく言えば寄せ集め、悪く言えば吹き溜まりだ。


 そうなるのには訳がある。

 魔族といってもすべてが戦闘に向いている種族ではない。ゴブリン族やコボルト族のような小型種は、明かに戦闘に向かない。第一軍団と第二軍団はオーガ族、ダークエルフ族、ダークドワーフ族、リザードマン、獅子族、虎人族のような戦闘に特化した種族で構成されている。元々魔王軍は第一軍団と第二軍団しかなかったそうだ。

 第三軍団が発足したのは、ちょうど10年前だという。獣人や亜人への迫害が激しくなり、魔王軍を増員することになった。魔王軍の正規軍以外でも各種族で独自の軍を編成している関係で、第一軍団と第二軍団の所属している種族からは捻出できなかった。そこで、戦闘に向かない部族も召集されることになったのだが・・・


 問題点を何から指摘しようか?

 元々弱兵を集めた段階でこの計画は破綻していたのだが、最も大きな原因は軍団長だろう。指導方法を見て愕然とした。素人の私が見ても間違っている。そして、誰も意見しない。そんなことをしようものなら、たちまち殴り倒されるだろう。なので、軍団員のやる気も全くない。ただ、決められたカリキュラムをこなすだけだ。それに卑屈になっている。第一軍団や第二軍団の団員に馬鹿にされるからだ。最近では、このことがオルガ団長の知るところになり、オルガ団長が馬鹿にした奴らを片っ端から殴り倒したので、それ以後、あからさまなことはされなくなったらしい。


 こんなの立て直すなんて無理でしょ!!私は一流の軍事専門家でもなければ、一流のコンサルタントでもない。タダの「雑用係」には荷が重い。

 でも私はやるしかない、家に帰るために。


 ★★★


 まずやったのは、オルガ団長との面接だ。トップの考え方や為人を知らないと始まらないからね。


「勤務する前に質問させてもらってもいいでしょうか?」

「いいぞ」

「ではジョブを教えてください。無理なら結構です」

「ジョブは「猛将」だ。集団戦では味方の先頭に立ち、士気を上げる。実力は見てのとおりだ」


 結構なレアジョブだ。多分、集団を率いなくても単騎で十分強い。


「質問を続けます。第三軍団をどんな部隊にしたいですか?」


 少し考えたオルガ団長は答える。


「とにかく強くて、頼もしい部隊にしたいな」


 やはり、具体的なイメージがない。


「その軍団を作るにして、どのようなことコンセプトで、指導をされていますか?」

「言葉では難しいな。とにかく厳しく激しくやっているよ」

「それは分かるのですが、もっと具体的にお願いします。目標とする部隊でもいいんですけど」

「ああ、それなら第一軍団と第二軍団よりも強い部隊にしたいな」

「それは分かりましたが、その軍団にするためにはどのような訓練が必要でしょうか?」


 オルガ団長は何かを閃いたようにこう答えた。


「第一軍団と第二軍団よりも厳しい訓練だ。なるほど・・・お前は凄いな!!

 つまり、第一軍団と第二軍団の訓練を合わせ、厳しくすればいいんだな!!よし分かった。後はやるだけだ!!」


 そこで面接は強制終了になった。しばらくして、団員から悲鳴が上がったのだが、私は聞かないことにした。


 ★★★


 面接して思ったのだが、オルガ団長はタイプ的にゴンザレスを激しくした感じだ。なので、ゴンザレスの指導法を応用しよう。やる気はあるし、実力もある。しかし、方法が激しく間違っている。実は前世で私は、このような人のマネジメントをしたことがある。OL時代ではない。高校のときのバスケ部でだ。何を隠そう私は全国大会に出場したこともあるのだ。


 もちろん私が名プレイヤーだったわけではない。入部3日目で重度の突き指、5日目に重度の足首の捻挫、捻挫が治った3日後に骨折、その怪我が治った丁度入部3ヶ月目に膝の靭帯を断裂し、半月板まで損傷した。バスケ選手がなるであろう怪我トップ5を総ナメにした結果、半年で選手を引退しマネージャーに転身したのだった。

 そのときの顧問は、プロにスカウトされる直前までいった名プレイヤーで、脳筋でスポコン漫画に登場するような熱血教師だったのだが、「名選手、名コーチに非ず」を地で行く人だった。しかも新人教師で、多分女性との交際経験もないだろうと思われるほど、女心が分からず、部員との溝は深まるばかりであった。


 ちょうどその当時、野球部のマネージャーが大活躍する映画がヒットしたのだが、私はその主人公であるマネージャーと自分を重ね合わせて、バスケ部を強くすることを決意する。試合にこそ出なかったが、あれば私の青春だった。

 そのことを思い返す。


 顧問の教育、戦力の分析、自分たちにあった戦術の習得、練習の改善・・・・やれることは何でもやった。最終的に当時、NBAを席巻したプロチームを参考に3ポイント主体のチームに生まれ変わらせ、3年生のときに全国大会の切符を初めて掴み取ったのだ。それ以後、母校は強豪校となり、2年後輩にはプロ選手も誕生、顧問は名将として名を馳せることになる。

 そういえば、「最近勝てなくなったから、相談したい」って連絡があったな・・・仕事が忙しくて、会うこともなかったけどね。


 まあ、会わなかった理由も他にあった。卒業式のときに「お前がもし俺のことが好きで、その気持ちが大学の卒業まで続いたら、俺にその気持ちをぶつけにこい!!俺は受け止めてやる」という、謎の告白をされたからだ。そう言えば、私のお葬式でも激しく泣いてくれてたな・・・


 そんな前世の思い出に浸るのはさておき、私が家に帰るためには、なんとしても魔王軍を強くしなければならないのだ。

 とりあえず顧問の教育、つまり軍団長の教育だな・・・


 私は自分を奮い立たせるため、鏡に向かって呟く。


 ここから私たち第三軍団の快進撃が始まるんだ。

 私は物語の主人公!!なんでもできる!!



 もし映画にするならタイトルはこうしよう・・・・


「もしも雑用係の転生OLが、魔王軍の参謀長になったら」

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!


因みに登場する映画は「もしド〇」です。

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