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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

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40 野外実習 2

 復興支援は順調だった。学生も毎日復興支援に携わるのではなく、狩りや釣りに出掛けたり、ナッツやキノコ採取も合わせて行っていた。私も私で、領主館や統合ギルドで帳簿や報告書をチェックして不審点のあぶり出しをしていた。

 そんなある日、久しぶりにネスカと栗鼠人族の里に向かった。息抜きと復興状況をチェックするためだ。かなり、復興が進んでおり、場所によっては襲撃前よりも立派になっている所もあった。そんな中、問題児の伯爵家三人娘が大騒ぎしていた。


「ミスリルが大量に!!」

「アダマンタイトもあるわ!!」

「これを売れば、大儲けよ!!」


 この三人は、キノコ狩りの途中で大量の希少な鉱石を見付けたようだった。リタさんに事情を聞く。


「あの三人は、なぜかミスリルやアダマンタイトをよく見付けるのよ。特殊なスキルを持っているのかしら?」


 不思議な才能だった。

 ケンドウェル伯爵は「活動中に見付けたミスリルなどは、野外実習の思い出にお土産として持って帰るか、ギルドに売ってお金に換えてもいい」と言っていたのだが、量が量だけにケンドウェル伯爵に報告することにした。

 結局、三分の一はギルドに売り、残りはケンドウェル伯爵に寄贈することになった。ミスリルやアダマンタイトを売ったお陰で、多くの活動資金が得られたし、復興もかなり進んだので、栗鼠人族の里でお祭りをしようという話になった。これにはみんな大賛成だった。

 ここで一人だけ、怪しく笑いながら提案をする者がいた。ネスカだ。


「これって、利用できるんじゃないの?これで悪者退治したら、実習は大成功だよ」



 ★★★


 私はエスカトーレ様、レニーナ様とともに栗鼠人族の里の祭りの計画について、ケンドウェル伯爵に説明をしている。


「ミスリルとアダマンタイトの採取量は前年比の約5倍です。祭りは1週間後、祭りのメインイベントとして、採取した鉱石を栗鼠人族の族長からケンドウェル伯爵に贈呈する式典を企画しています」


「エルフの里、熊人族の里で採取できたミスリルやアダマンタイトもその時に贈呈されるんだったな?」


「はい、もうすでに倉庫に保管してありますよ」


「そうか、祭りは一週間後だったな?領都の蒸留所でできた火酒を持っていくと伝えてくれ」


「分かりました。それと祭りの3日前から、宴の料理の準備のため、里の若者と戦闘職の男子学生の多くは狩りや釣りに出て、里の警備が手薄になります。できましたら、警備の強化をお願いします」


「まあ、心配せんでもいいだろう。ここ最近は盗賊も出ておらんからな」


「分かりました。説明は以上です」


「それではせっかくだ。お茶でもしよう」


 説明を終えた後、お茶とお菓子が運ばれてくる。


「旦那様、私はこれで失礼させていただきます。残った仕事を少し片付けて参ります」


 そう言うと家令のワルスが退出した。

 しばらくして、ケンドウェル伯爵が呟く。


「まさか・・・ワルスがなあ・・・目を掛けてやったつもりだったのだが・・・」


「お父様、ショックなのは分かります。でも領民のことを思うと・・・」


「分かっておる。領主として私情は挟まんつもりだ」


 様々な調査の結果、家令のワルスが内通者であることが決定的となった。噂レベルでは、そのような話も出ていたのだが、決定的な証拠が出たのは私が帳簿や報告書を整理しているときだった。時間が空いたので最近の物だけでなく、少し遡った物を整理していたのだが、明らかにアクツール商会を優遇するような内容の契約が多数結ばれていた。

 また、ワルスが企画した定例の担当者会議の前後に盗賊の襲撃事件が集中しているし、アクツール商会以外の商会が盗賊に襲われた事件も予めルートや行程が分かっていなければ襲撃できない状況だった。そして、最近ワルスが頻繁に接触している商会が判明する。ゴアクム商会という得体の知れない商会で、商会の本拠地は小国家群の自由都市ということになっていた。当然、ギルドに調査を依頼した。そしてある事実が判明した。


 ゴアクム商会は登録はされているが、ほとんど活動実績がなく、アクツール商会の非合法活動の隠れ蓑になっていることが判明した。まあ、ここまでくれば誰が犯人かは分かるだろう。私は探偵漫画のように再度叫ぼうとしたが、この世界の人間にはウケが悪いことが分かったので、止めておいた。


 領主館から統合ギルドに移動し、レベッカさんから話を聞く。


「ワルスには尾行を付けている。報告によると、ゴアクム商会の関係者と接触したようだ。ゴアクム商会だが、実質は商会に偽装した盗賊団だ。馬車には商品ではなく、武器と防具を満載しているからな。それにアクツール商会長の姿も確認されている。アクツール商会も調査したが、かなり資金繰りが悪化しているようだ。間違いなく襲撃してくるだろう」


「分かりました」


「本当はこの段階で身柄を確保したほうが安全なのだが、言い逃れをされると厄介だ。危険を伴うがよろしく頼む」


「まあ、いつものことですから。それに準備万端で待ち構えますからね。ネスカが言うには、『ただの作業』だそうですよ」


「それは頼もしいな」


 ★★★


 それからすぐにエスカトーレ様が学生全員を集め、今後について説明を始めた。


「・・・・今まで話したとおり、この作戦には危険が伴います。参加者は希望者のみにしますし、希望しない方についてはエルフの里で保護してもらうことになっています」


 ここで予想外のことが起こる。戦闘職の者は武功を立てるチャンスと思って参加してくれると思っていたが、問題児の伯爵家三人娘も参加を表明した。


「栗鼠人族に手を出すなんて許せません!!」

「私たちが血祭りにあげてやりますわ!!」

「そうです!!皆殺しですわ!!」


 これに感化され、全員が参加することになってしまった。

 心の中で、「アンタらは戦闘力ゼロでしょ!!」と呟いたが、口には出さなかった。


 後で聞いた話だが、彼女たちは「スナイパーボウガン」を自費で購入していたらしい。武器頼みだったなんて・・・



 ★★★


 そこから、栗鼠人族の里の要塞化が始まった。大量に物資を運び入れても、祭りに使う物資や食材と思われていたので、ワルスに怪しまれることはなかった。着々と準備が進む中、レベッカさんから呼び出しを受けた。


「襲撃予想日を割り出したぞ。祭りの2日前だ。その日に領都を出発する商会が集中している。多分、ワルスが意図的に申請書類を遅らせたりして、調整したのだろう。その日は護衛で冒険者が出払ってしまう状態なのだ。それと、敵さんは前回返り討ちにあったことを反省して、重装歩兵を大量に動員しているようだ。重装歩兵だけで100はいる」


 ネスカが怪しげに笑う。


「だったら、アレの餌食ですね。作業というか虐殺になるかもしれませんね」


 ちょっと、ネスカが怖い・・・

 まあ、今は味方だから頼もしいけど。でも、本当にスパイだったらどうしよう・・・・

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