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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

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39 野外実習

 レベッカさんが語った内容は衝撃だった。


「実は栗鼠人族の里は夏以降、3回盗賊襲撃の被害に遭っているのだ。いずれも新型装備と罠を効果的に使った戦術で撃退しているのだが、発展著しいケンドウェル伯爵領の評判を落とさないように公にしていない。私たちがここにいるのも、表向きは冒険者の管理ということになっているが、実際は、この事件の背後関係を捜査するように依頼されている。ギルドを通じて、極秘依頼があったというわけだ」


 一緒に話を聞いていたミリアが質問する。


「申し訳ないのですが、これって機密情報じゃないのですか?いいんですか?私たちに話しても・・・」


「もちろん、口外するとそれ相応の罰則はあるが、君たちを信頼しているからな。当然だが、エスカトーレ嬢もレニーナ嬢もケンドウェル伯爵から直接聞くことになるだろう。ただ、ゴンザレスには言うなよ。アイツはいい奴だが、隠し事には向かんからな・・・」


 また機密情報を知ることになってしまった。


「まあ、平たく言うと我々の捜査に協力してほしいということだ。学生が大勢来ているこの時期に何か行動を起こすかもしれないからな」


「分かりました。それと私たち執行役員には、ネスカもいるのですが、彼には伝えていいものでしょうか?」


「ロイター王国のか・・・クララ嬢に任せる。何かしら意図があってケーブ学園に通っているのだろうが、今のところ利害が一致しているようだから、変なことはしないだろう。情報部隊がいくら調べても怪しいところはないしな」


「分かりました。ネスカには口外しないことを条件に伝えます」


「そうしてくれ。それと何か特別なことをしろということではない。事が起こるまでは、計画通りに実習を進めてくれ」



 ギルドから戻り、夕食を食べて終えて、部屋に戻るとエスカトーレ様とレニーナ様とも、この件で話し合った。結論は出ずに警戒しながら計画通りに実習を続けることになった。



 ★★★


 次の日から早速、活動を始めることになった。最初の一週間はこちらが指定した場所で実習をしてもらう。狩りをしたり、釣りをしたり、ナッツを採取したりと半分以上が遊びだ。ケンドウェル伯爵領の良さを知ってもらい、その上で色々と提案をしてもらうという形にしている。



 順調に一週間が過ぎた。今日は全員を集めて、今後の活動方針について提案をしてもらう会議を開いた。みんなケンドウェル伯爵領を気に入っているようで、評判もいい。狩りや釣りをメインで活動したいという者が多い中、問題児の伯爵家三人娘が提案を始める。


「襲撃に遭い、復興途中の栗鼠人族の村の復興支援を提案するわ」

「そうよ!!それ以外に私たちがここに来た意味はないわ」

「栗鼠人族が困っている姿を見るのは辛いからね」


 これは予想外だった。

 てっきり、「優雅にお茶や温泉を楽しむ」とか「田舎は嫌だからすぐに帰る」とか言い出すと思っていた。後で聞いてみたところ、栗鼠人族の愛くるしさにメロメロになっていたらしい。小さくて可愛いし、みんな人懐っこいからね。三人娘は「栗鼠人族のメイドを雇う」とまで、言っていたそうだ。


 これにはエスカトーレ様もレニーナ嬢も反応する。


「素晴らしいですわ。それでこそ、貴族の鑑です」

「我が領のために・・・ありがとうございます」


 満場一致で栗鼠人族の村の復興支援が決定した。

 裏話をすると、ケンドウェル伯爵領から栗鼠人族の里の復興に当たる人員が不足していると相談を受けていたので、それとなく議論を栗鼠人族の里の復興支援に誘導する予定だったのだが、予想外に問題児の伯爵家三人娘が提案してくれて、ラッキーだった。


 その日から、復興支援は始まった。

 建物は焼け焦げ、畑は荒らされていて、本当に酷い有様だった。みんな心を痛めていた。その中で、問題児の伯爵家三人娘は一生懸命に働いていた。彼女らがこんなに働くのなんて見たことがない。

 彼女たちの思いは伝わったようで、栗鼠人族の子供たちから、ご褒美をもらっていた。


「お姉ちゃんたち、ありがとう。これはお礼のエナジーナッツだよ。食べて。美味しいよ」


 もちろん、三人娘がメロメロになっていたのは言うまでもない。



 ★★★


 私たちの目的は復興支援だけではなかった。襲撃事件の調査も行っている。冒険者のリタさんとルタさんの案内で、いつものメンバーとイカルス教官が調査に当たる。でもゴンザレスは復興支援のリーダーを押し付けられ、調査には参加しない。気付かないゴンザレスは、一生懸命に資材を運んでいる。

 他の生徒から離れたところで、私が質問を始めた。


「何か襲撃で気付いたことはありますか?」


「そうね・・・いつも決まって、里の防衛力が下がったときに襲撃を受けるわ」

「栗鼠人族も戦闘職はそれなりに戦えるし、エルフも熊人族も住んでいるからね」


 実際にリタさんとルタさんは短剣使いで、素早く身軽なので、並みの冒険者では太刀打ちできないレベルなのだ。

 イカルス教官が言う。


「だからこそ、戦闘職ではない者の為に「スナイパーボウガン」を配備し、罠を設置することにしたんですが、それが功を奏しましたね。これも厳しい財政の中で、配備を決断してくれたレニーナお嬢様のお陰です」


「ま、まあ領民のためですもの・・・当然ですわ」


 レニーナ様はかなり嬉しそうだ。


「そうだ!!今思えば、この里に来ること自体がおかしいのよ。道に迷って偶然たどり着くなんて、まずないし」

「そうだね。詳しく検証はしてないけど。どう見てもこの里の実情を知っている者じゃないと襲撃は無理だしね・・・」


 やはりそうか・・・

 この領の関係者に内通者がいるのだろう。私もそんな経験があるからね。あのときはショックだったな・・・

 でもお決まりのアレをやっておきますか・・・


 私は探偵漫画の決め台詞を叫んだ。


 「犯人は!!この領内にいます!!」


 ドヤ顔で叫んだ私にミリアがツッコミを入れる。


 「そんなの分かっているわよ。問題は誰が内通者で、どうすればあぶり出せるかでしょ?」

 

 それはそうなんだけど・・・やってみたかったんだよね。

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